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実家を後に 〜 ムリったらムリなのだ
バスの車窓から見る夜の街並みは昼間と違って温かい。グレーや白いマンションが夕闇の中、橙色の燈を灯すから。たくさんの人や家族が放つ光だ。
今夜実家を後にした。ショートステイから帰ってきた母を見るため泊まるつもりだった。昨日までは泊まっていたけれど、私は実家を出て我が家に帰って来た。
今日は久しぶりに父と母がふたりきりで家にいた。母は日帰りのリハビリ施設に行くのを拒否し、結果老々自宅待機である。心配したが、母は家のトイレにもポータブルトイレにも自力で行けた。歩行器で少し移動が出来るようになってるんだ。
どうせ夜は紙パンツに尿取りパットを2枚入れた後、私は2階に行って眠る。朝まで別々なら、始発で実家に来て明日のショートステイの準備をしたら良い、そう思いバスに乗る。
冷たいかもしれない。街明かりみたいに優しく出来ない。もう限界突破しちゃったんだ。
昨夜のことを思い出すと体が震える。
ポタッ、ポタッ…天井から降ってきたんだ。
ウィーンという羽音を鳴らし
羽が生えたアリが…
そう!シロアリの集団発生だ!!
ギャーーーッツ!!!
静かな集落に恐怖の叫び声が聞こえたかもしれない。隣の家とは窓からお互い手を伸ばせば握手ができる距離だもの。
潰せども潰せどもティシュに包まれたシロアリの山は増える一方である。シロアリよ明かりが恋しいのかい?家庭が羨ましいのかい?!
今度は二匹連なって落ちてきた!
あぁ、そうかい、6月は繁殖の季節かい。
家族を山のように作るつもりなのね?!
…ムリだ。
築40年木造2階建、メンテナンスを怠るとこんなもんだ。
( ちなみに二世帯住宅仕様の2階でのシロアリ発生の為、1階にはいない )
シロアリ駆除の見積もりはどこに貰おうか?
いやいや、そんなことより家に帰ろう。
明日は夜勤だから実家に朝7時について9時には家に帰って仮眠しなきゃ。
考えることはいくらでもある。
でも仕事をするため寝ないといけないんだ。
ぐっすり寝て働くのは生きる為です!
とにかく眠って朝5時30分に起きて6時15分に家を出る。
今後の生活のリズムがどのように変わっていくのか分からない。
とりあえず、寝よう。
明かりを消しても、家族を身近に感じて眠れる幸せと
後にした実家に対する後ろめたさ
共に抱きしめておやすみ。