里見八犬伝
Amazonプライムで里見八犬伝があった。感受性が豊かな中学時代に鑑賞した作品なので、懐かしさと、今観ても面白いのか?の検証もかねて早速観てみた。
結果、やっぱり面白かった。それは、愛や恋の答えを必死に探していた初々しいあの頃の感情が上乗せされて、好意的なバイアスがかかっているからだろう。昔好きだった男の子が今見たら普通のおじさんになっていたとしても、やっぱり好きという感情が湧き上がる、それに似ているかもしれない。
主演は薬師丸ひろ子さんで、真田広之さん、千葉真一さん、夏木マリさん、寺田農さん、志穂美悦子さん、京本政樹さん、萩原流行さんなどが出演されている。
冒頭、まず赤黒い空が現れる。そこに、悪霊につかえ、不死身の妖怪となった玉梓(夏木マリさん)の妖怪軍団が馬に塗って現れる。手に生首を持った手下達がいる。玉梓はかつて里見家に征伐された恨みを抱いて、里見一族を虐殺したのだ。
ひとり生き残った静姫(薬師丸ひろ子さん)は、逃げる途中に親兵衛(真田広之さん)に捕まり、お金目当てに敵に引き渡されそうになる。しかし、玉梓から虐殺された村を目の当たりに見た親兵衛は、あまりの悲惨さに声を失い、静姫を助けて逃げることに・・・。
悪霊を倒すには、静姫の元に八つの霊玉をもつ八剣士が集まる必要がある。静姫と新兵衛が逃げついた洞窟には、六つの霊玉を持つ六人の八剣士がおり、静姫との再会を喜んでいた。しかし、新兵衛は霊玉を持っていない。八剣士に追い返される新兵衛。はたして、静姫と新兵衛はどうなるのか?妖怪軍団との戦いの行方は?
霊とか霊玉とか空飛ぶ大蛇とか、洞窟の中にあるおどろおどろしい悪霊の巣窟とか、鎧を着て馬に乗って走り回る妖怪軍団なども出てきて、ダークファンタジーとアクション、冒険がてんこ盛り。
ミーハーな私は、昔、映画といえば角川映画ばかり観ていた。薬師丸ひろ子さんの主演作品では「ねらわれた学園」「探偵物語」「メイン・テーマ」など観に行き、その可愛らしさに、女性ながらうっとりしたものだ。
ただ、当時も感じていたけど、薬師丸ひろ子さんと真田広之さんのラブシーンが、ちょっと長過ぎる。薬師丸ひろ子さんの顔のアップで「しんべい!しんべい・・・」と、ぷっくりとした唇がゆっくり動くさまを数分見せられるのが(しかも、音楽が流れて声はない)何だか恥ずかしい。若い男の子達には、さぞ刺激的だっただろうと容易に想像できるが。
映画の中で一番印象的だったのが、八犬士のひとり、犬坂毛野(志穂美悦子さん)と、妖怪軍団の妖之介(萩原流行さん)のシーンだ。生まれたときから、ヘビに好かれる体質の毛野は、その気味の悪さゆえ、誰からも愛されず天涯孤独に生きてきた。妖之介は(ヘビの妖怪なので)毛野の事を「俺のために生まれてきた、俺のものだ」と言って迫る。しかし、毛野は八剣士のひとりで霊玉を持っており、敵が近づけば、玉は自ずと光る仕組みになっている。「おまえは敵だ!」と毛野は妖之介を振り払うが、初めて求められた動揺が瞳の揺れにあらわれる。再会した時は決戦の時。刀て斬りあい、命を散らすが、最後に二人重なり合って息絶えるシーンが切なかった。
もう一つ印象的だったのが、薬師丸ひろ子さんと真田広之さんが馬に乗って走りながら手をつなぐシーンだ。真田広之さんは何のこともないだろうが、アイドル全盛期の薬師丸ひろ子さんが片手で馬の手綱を引き、走りながら真田広之さんと手をつなぐなんて、どれだけ練習、いや修行されたのだろう!と感動した。
今やアメリカでもその名を轟かせる真田広之さん。Disney+の「SHOGUN将軍」も観たいがそのためだけにDisney+に入るのもなんだか勿体なくもあり。もう、AmazonプライムとネットフリックスとWOWOWに加入しているし。
でも、好きな作品が好きな時に家で何度でも観れるなんて、本当にありがたい時代である。いくら仕事が忙しくても、老いを感じる年頃だとしても、自分で幸せになるための方法は、いくつもある。
さあ、今日も感謝しながら眠りにつこう。