高くてもお客様が絶えないカフェの秘密

カフェ経営というのは、とても難しいものです。
どんなにお客様が多くて儲かっているように見えても、利益はほんのちょっぴりというのが実情です。

近年食材その他の値上がりが激しく、値上げしないととてもやっていけません。
そうです。もはや、安いカフェは生き残っていけないのです。

先日とあるカフェに行きました。
そこは、ランチ1800円(カレーと魯肉飯とキノコうどんの3種類から選ぶ)、お茶と乾菓子のセットで1200円と、なかなかお高いカフェでした。

ですが!私は1か月ほど前に見かけてからずっと行きたくて仕方ありませんでした。
掘割をどんこ船に乗って川下りしていた際に見かけたのですが、そのカフェは「昔お侍さんが住んでいた家をカフェにした」のだそうです。

それを聞いてから、ぜひ1度行ってみたいと思っていました。
夏の間は5000円のコースのみだそうで、ちょっと手が出ないと思っていたのですが、10月に入って普通のランチをやっていたので早速go!

はたして行ってみると、細い道を入っていった住宅地のかなり奥でした。
「この道は~、いつか来た道~」
と歌いたくなるような細い路地です。(白秋が生まれ育った柳川のカフェです)

まず、駐車場に止めた時からセンスの良い植木にため息が出ました。
そして、入り口の門構えを見てまたまた期待値が高まった私。
古い木戸なのです。

中はこじんまりとしているけれど、とても立派で明らかにほかのカフェとは一線を画したしつらえでした。
出てきたお料理も、香りや触感など計算しつくされていて、一級品でした。

器なども昔の漆塗りのお盆や、経木で作ったひょうたんの形の箸置きなどとても趣向に満ちたものでした。
中でも目を引いたのは、隣のテーブルの方が頼んだお茶のセット(1200円)でした。

昔の平安貴族が使っていそうな四角の朱塗りのお盆にガラスの急須と小さな湯呑。そして高坏(たかつき)にドライマンゴーや干しブドウなどの乾菓子やパイナップルケーキが乗っていました。

私は高坏に乗ったお菓子が出てくるのは初めて見ました。
一発で心をつかまれ多少高くても注文してみたいと思いました。

これならこの値段でも満足できる!という内容でした。
「また来よう」と思えるカフェでした。

このカフェは「売れるための要素」を満たしていました。
それは「ブランディングがしっかりできている」ことです。

コンセプトは「お侍さんが住んでいた家屋で食べるアジアン料理で非日常を味わう」です。

このカフェ以外では絶対にこのような体験ができる場所はありません。

加えてお料理の味も良いですし。

これなら、住宅地の奥で、探さないと分からないような所にお店をオープンしてもお客様は来ます。

お店自体にもかなりお金をかけたなという印象です。

また、メニューの構成を見ても、続けていける、利益が出せる工夫がありました。
お茶セットは茶葉や、ドライフルーツ、既製品のパイナップルケーキなど賞味期限が長いものばかりで構成されています。

仕込みにはほとんど労力がかかりません。

ランチにはそれなりにかかるでしょうが、種類が少ないのでずっと同じものを出せばそんなに大変ではありません。

カフェは店内の掃除やしつらえもとても大切です。
どんなに素敵なお店でも、ほこりが積もっているのを発見したら来る気が失せます。

お料理を作るばかりで掃除やしつらえに気が回らないと、よくありません。

カフェをやりたい人は、だいたいいろいろ作って出したい人なので、このように雰囲気や食器にとことんこだわって世界観を作って高い値段を取ったり、いかに労力をかけずに賞味期限の長いものでメニューを構成するか?という工夫に気が回りません。

しかし、これはカフェを長く続けていく上では非常に大切なことです。
飲食店の半分が2年以内につぶれると言われています。

どんなにお料理が上手でも、みんなにおいしいものを食べさせたいという熱意があっても、つぶれてしまっては意味がありません。

カフェがみんなに知られるようになるまでにも、ある程度時間がかかるものです。せめて2年は持ちこたえないと、お客様もその存在に気づきません。

こちらのカフェからは学ばせてもらうものが多かったです。
私はカフェ経営の大変さはよくわかっているので自分でやろうとは思いませんが、カフェをやりたい方にはお手本にしてほしいと思えるお店でした。

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