言語から感じる感性
私は言語学習が好きだ。
この世の中、海外のものが見たけりゃ翻訳されたものがあるし、翻訳アプリを使って簡単に日本語で読むことができる。
でもそこに書いてある文字は、翻訳機で機械が読み上げる声のように聞こえてならない。
私が大人になって言語学習を始めたのは、大好きな映画を翻訳というフィルターをかけずにこの耳で感じたいと思ったからだ。
英語をぼちぼちと勉強して5年くらいたつが、字幕の力を借りながらだけれど、彼らの言葉が耳に届いてくる。
ああ、英語だとこういう言い回しをするのかぁとしみじみしながら映画を観る。
各言語にはその国の文化が隠れている。
夏目漱石が「I love you」を「月が綺麗ですね」と表現したように、その言葉に込められた本質的な意味がとても美しいと感じる。
なのでいろんな文化が入り混じった作品に出会うとワクワクする。
お気に入りの映画である「ドライブ・マイ・カー」や「永遠の僕たち」は、物語の美しさに加えてその国の文化を感じることができ、心地よさがある。
最近ハマって読んでいる岸見一郎さんと萩原のり子さんが韓国文学に強く惹かれていたことを知り私も読んでみたいと思った。
選んだ作品は「言の葉の森」。和歌を題材に、韓国人である著者のチョン・スユンさんのエッセイのような作品。
流石に韓国語の本はまだ読めないので、日本語に翻訳されたものを読んでいるが、本の中にはハングル表記もある。日本語の漢字、ひらがな、カタカナに加えハングルも加わり、ただページを開くだけで美しいと感じてしまった。
スユンさんの視点で感じる和歌、日本語、日本の文化は、当たり前すぎて気にもしなかった気づきをもらってどきっとする。
転職活動が一区切りしてまだ結果が出ていなくて不安な気持ちが溢れていて、他の勉強をしていてもソワソワして集中できない。
そんな中この本を開き読んでいると。その美しい感性になぜか涙が出てきた。悲しいことは書いていないのに。彼女の言葉や和歌の繊細な表現によって不安定な心が安らいだからだろうか。
ああ、やっぱり言語学習が好きだな、とポツリと感じた。
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