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禿げシンガーwas偽デニーロ#2
数日間、禿げシンガーデニーロに話かけるチャンスを
狙っていた。
好きな男子に告白する女子のようにその機会を待った。
「歌上手いですね!デニーロとかも好きなんですか?僕もデニーロ好きなんですよ。」
とだけでも自分の口で伝えたかった。
しかし結局は禿げシンガー偽デニーロ氏に直接話しかける事は出来なかった。
そしてある時、業務終了後、倉庫内清掃の残り時間、禿げシンガー氏が同じ職場の容貌(きりょう)が良いと言えない女子を口説いてるシーンに境遇した。
その女子はロックバンドで歌っていたとかで、開放的な雰囲気とオシャレな服を纏いバイトリーダー的ポジションの20代前半の女子だった。
清掃の際、箒を持ちながら、お茶でも行こうというふうに話しかけていたが、ロック女子はあまり乗り気じゃなく、どないしょう口説かれているわぁとか言っているのが聴こえた。
その後でも二人で少し離れた場所まで行きなにやら話しこんでいる様子。
強調しておくがその女子は「容貌」は良くはなかった。
しかし何やら社交的な雰囲気美人をセルフプロデュースしている活動的な性質をもつ我の強い20代の独りであった。
禿げシンガーもかなりの唄い手であり、表現者であり雰囲気ロック女子もボーカリストだったという。
もしこの恋が成就すればシンガー同志のベストカップルという事になる。
しかしその後の結果は私は知らない。
また喘息が悪化して仕事を辞める事になり
その日が禿げシンガー偽デニーロ氏のパフォーマンスを観ることのできる最後の日だった。
もう一度禿げシンガー偽デニーロ氏のエモーショナルな歌唱を聴きたい・・・・
完