医療介護現場でさまざまな実践をされている方たちへのインタビュー -スマレポ日記3-
さまざまな立場の人にインタビュー
これまでも複数の方へのインタビューを行い、以前の記事でもご紹介しました。
すでに様々な実践をされていたり同じような仕組みの実践を考えられている方たちにインタビューを行うことでプロダクトを開発する際の参考になることが多いので、その後もインタビューを続けており今回も報告します。
大病院に勤める医師へのインタビュー
数百床ある病院でさまざまな取り組みをされている医師にインタビューをお願いしました。
こちらの病院では電子カルテを用いているだけでなく、ほとんどの書類のデジタル化が進んでいるとのこと。
たとえば自分の患者さんに誤薬があったら、その報告が主治医にメールできてオンライン上で確認の印鑑を押すという仕様。
出張願いもパソコン上で入力したら、上長や院長にメールがいき、それぞれがデジタル印鑑で承認するようになっているとのお話でした。
新しい書類や評価尺度もお願いするとデジタル化されフォーム上で入力できるようになるとのこと。
聞くと、電算課の人が2人いらして、パソコン関係のことを一手に引き受けてくださっているとのお話でした。
大病院を複数かかえる組織だからこそできる仕組みとも言えますが、大病院でもここまでデジタル化がすすんでいるところを聞いたことがありませんでしたし、経営層が意識してテクノロジーの活用を推進されているのだと思いました。
インタビュー後、院長先生の許可も得て実際使用されている画面も共有いただきました。(ご協力がありがたすぎます!!)
X-pointという仕組みがベースになっていて、初期投資には結構な額が必要かだったとのこと。
今は電算課の方達がいるので、X-pointがなくても運用可能な状況になっているとのお話でした。
また、見せてくださった書類で、誤薬用のヒヤリハットなど、ヒヤリハットでよくある状況については専用のフォームがあり選択式で簡単に入力できるようにもなってました。
これは、スマイルレポートでも取り入れられるかもしれません。
訪問歯科医師へのインタビュー
続いてお聞きしたのは、複数の歯科医院を経営する法人の一つの歯科医院で訪問部門を統括されている歯科の先生です。
こちらの法人では、ヒヤリハットレポートは紙ベースで行われているが、報告や共有を重視していて毎月全スタッフで行われる会議で全てのヒヤリハットレポートを配布して共有しているとのことでした。
さらに、サンクスレポートにあたるものも多面評価という名前で運用していて、スタッフ間の感謝や法人の指針にあった行動をしたスタッフに関して報告する仕組みがあるということにも驚きました。
年間の多面評価の優秀者を表彰する機会もあるとのこと。
また、ニッコリ報告として、患者さんやご家族から感謝されたことを自らが報告する仕組みもあるとのことでした。
すでに、ヒヤリハットや感謝の共有をされているなかで、法人としてこれらの仕組みを重視して報告を奨励しているとのこと。
一方で、紙ベースであるため現場ですぐに書けないという課題があり、デジタル化できるならしたいとの話もありました。
複数の介護事業所をかかえる会社社長へのインタビュー
こちらの会社では、さまざまな介護施設を運営され、複数のケアマネジャーも所属されています。
やはりこの法人でも、ヒヤリハットレポートを重視していて、提出を奨励しミスを責めないことを意識しているとのことでした。
ヒヤリハットの中でも、今後事故につながりそうなものはリスクマネジメント会議を開いて多職種で検討を行なっているとのこと。
リスクマネジメント会議の対象となる案件としては離設や転倒が多いとのことでした。
また、「事故報告もヒヤリハットも鮮度が重要なのでデジタル化したい」とのことでした。
一方で、デジタル化に伴う情報管理や誤送信が心配とのお話もありました。
また、こちらの法人ではサンクスレポートにあたる仕組みはないとのことですが、あったらいいと思うとの感想もいただけました。
すずらん目安箱の仕組みについては、苦情もおおごとになる前にわかるようになるのでいいのではないかと言ってもらえた一方で、デジタルでの入力のみだとリテラシーない方が報告できず格差が生じるので紙でも書けた方が良いのではないかと目から鱗の意見もありました。
こちらの法人では、年に二回お客様満足度調査として定期的に評価をもらっているとのこと。
これは基本的に無記名で行ってるそうですが、感謝の言葉もあれば、厳しい言葉もあるとのことでした。
スタッフ研修業を行う看護師さんにインタビュー
看護師、看護教育、病院の教育コンサルタントを長年行い複数の書籍も出版されている方にもインタビューをお願いしました。
複数の連載をされているなかの一つで、まさにデジタル化の推進をテーマにしようと考えられていたとのこと。
記事の中で、Googleフォームを使って患者さんからアンケートを取ることを勧めると書いていたというタイムリーなお話でした。
会社で訪問看護ステーションの運営も始めるということで、そちらのステーションでは全患者さんから毎月Googleフォームでアンケートを取る予定で、これを了承したスタッフを採用しているとのことでした。
アンケートの内容としては、表情や身だしなみ、言葉遣いや話し方などを4段階評価。
他にも、不愉快に感じた対応や、良いところも教えてくださいと記述式の質問もあり、アンケート結果が良ければ給与面でのインセンティブもあるそうです。
また、こちらの法人ではNPS顧客満足度評価も用いて「自施設を他の人に勧めるかどうか」などを患者さんに聞いていくことも考えられているとのことでした。
他にも、報告・連絡・相談で失敗した内容を集める取り組みもされていて、他施設の失敗を自施設で生かすというアイデアもあるとのことでした。
これについては、ヒヤリハットレポートをデジタルで集めれば他施設との共有も容易にできると考えています。
インタビューを経て
インタビューをさせていただいた皆さんの組織で、ヒヤリハットの報告と共有が重視されていました。
いずれも、その道の尊敬する方達にインタビューを行なったのですが、よい組織はヒヤリハットレポートを重視するという仮説は正しいし、医療機関や施設を評価する際の指標の一つとして、ヒヤリハットレポートをきちんと行っているかを考えるのは適切だと確信しました。
また、一部の大病院のように資本があれば自院のシステムの構築が可能なものの、一般の医療機関や施設では自身でのシステム構築は難しくデジタル化したいができていないという状況にあることもわかりました。
この意味では、スマイルレポートを活用してもらえる現場は複数ありそうです。
プロダクトの名称について
今はサンクスレポートとヒヤリハットレポートを組み合わせたものをスマイルレポートと呼んでいますが、「レポート」と名前がつくものばかりで、特にスマイルレポートとサンクスレポートが混同しやすいという指摘をもらいました。
名称のわかりやすさというのはとても重要な点なので、ここについてはさらなる検討が必要だと考えています。
さらに、すずらん目安箱の仕組みも総称したプロダクト名とするか、目安箱にならってサンクスレポートも感謝報告のような日本語名にするか、悩ましいところです。
プロトアウトし続ける
自分が現場で必要だと思ったものを作れるようになりたくてプログラミングを学び始めました。
現場で使うものを開発することにおいて、完璧なものを作ってリリースしようと考えていても実際に使い出すと必ず使いづらさや不具合が生じます。
このため、まずはプロトタイプを開発して現場で使いながら仕組みを変えていくことが重要だと学びました。
今回のスマイルレポートでも、今回記事にまとめたように実際に運用してわかることが沢山ありました。
今後、ポイント制の実装やレポート共有機能などを開発して実装したものを一緒に使ってもらいながら仕組みを作っていく医療機関や施設をクラウドファンディングで募る予定です。
大病院のようにお金はかけられないけど医療・介護現場のテクノロジー活用をすすめたいという方がいらしたら、ぜひ一緒にプロトアウトを行っていきましょう!!
引き続き作成過程を記事にして発信していきますので宜しくお願いします。
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