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星新一さんの“穴”
星新一さんのショートショートは、軽く読んでいて最後に「ドキッ」とさせられるものがたくさんあります。
いくつか印象的で覚えているひとつに「おーい でてこーい」があります。
「おーい でてこーい」
は、台風で小さな社(やしろ)が流され、直径1メートルほどの穴が見つかります。動物のすみかなのかと「おーい、でてこーい」と叫んでみたけど反響がない。石を落とすと底なしのように深い。
利権屋が「穴をください。埋めてあげます」と申し出て、ゴミ捨て場にしました。「原子炉の廃棄物」から、「伝染病の実験に使われた動物の死体」、「外務省や防衛庁から、不要になった機密書類」、「別れた恋人との写真や古い日記」など、ありとあらゆるものが穴に投げ込まれました。
いらないものを捨てるたび、都会はきれいになっていきます。
ゴミがなくなって町はきれいになり、新しいビルが次々と建てられました。ある日、建築中の高い鉄骨の上で作業員がひと休みしていると、頭上で「おーい、でてこーい」と叫ぶ声がして、小さな石が彼をかすめて落ちていきました。
この話は、「潜在意識には“感情”を伴った思考が溜まる」という説を聞いて思い出した話です。
ジョー・ディスペンザ博士や大石洋子さんが唱えるように、
たとえ、無意識であっても、
口に出さないで心の中で思っただけであったとしても、
感情を込めて思ったことは体=潜在意識の言語となって蓄積されていきます。
そして、その蓄積された“思考”が現実化します。
「なぜ、こんな現象が私に起こるの?」
と思うようなことも、実は、自分が潜在意識という穴に感情を込めて投げ込んだ思考なのかもしれません。