意識の在り方の“基準点”
加藤シャンティ徳子さんは著書「現実は脳ではなくハートでつくる」の中で、私たちは、存在の本質・魂、ハート、感情、マインド(思考)、身体、の5つの要素でできている、と説明されています。
そして、基本的な要素である「存在の本質」のことを表すのに、「すべての存在に共通する存在の本質」という言葉を使われています。
加藤シャンティ徳子さんの説明を引用しますと
「すべての存在に共通する存在の本質」は、この世界に存在するすべてのものが生まれてくる源であり、あらゆる存在の根底にあるもの。
この世界に存在するものはすべて同じ材料でできています。そして。この材料でいっぱいの海のような場から、この世界に存在するすべてのものが生まれています。これは物理的な側面からもそうですし、世界中のスピリチュアリティの伝統においてもそのように言われています。
この世界や宇宙は。このすべての存在に共通する「存在の本質」で満たされていて、あらゆるものを創り出したり、維持したり、壊したりする「力」や「知性」を備えています。そしてこの「存在の本質」は「愛」そのものです。
と表現されています。
また、ジョン・F・ディマティーニさんは、著書「The Breakthrough Experience(邦題:正負の法則 一瞬で人生の答えが見つかる)」 (本田 健 翻訳)の中で、「愛」について、次のように定義されています。
人によって愛の定義はさまざまですが、私は愛とは、「すべての二元的な知覚の完璧な融合であり、すべての両極性の調和」であると定義します。
喜びと悲しみが統合されるとき、両者は愛になります。好きと嫌い、正と負、苦しさと楽しさ、電子と陽電子・・・すべての二面性が完全に統合されたのが愛です。どんな学問を究めたとしても、すべては同じ本質にたどり着きます。それはすなわち愛です。すべての人間に影響を与え、すべての人間をつなぐ統一場です。(引用ここまで p79)
この人間を含むすべてのものをつなぐ統一場である「存在の本質」を見事に表しているマークがあります。
それは、陰陽五行や東洋医学の話になると登場する“陰陽”のマーク。
正式名は「太陰大極図(たいいんたいきょくず)」または「陰陽太極図(いんようたいきょくず)」といいます。他にも「天地自然之図(てんちしぜんのず)」と呼ばれることもあるそうです。
白と黒で表されるのは「陰」と「陽」。
白色は”陽”を表し、黒色は”陰”を表しています。
そしてこの太極図は森羅万象、全てのものが陰と陽の要素によって成り立っているという考え方から来ています。光と陰、ポジティブとネガティブ、熱い冷たいと言った2つの要素で世の中はできているという考え方です。
またふたつの要素の境界線が直線ではなく、勾玉のような形をしていることには、
陰と陽ははっきりと真ん中で分けられる物ではなく、
陰に傾いているものもあれば、陽に傾いているものもある
ということを意味しています。
時計の12のところを見てみると、白が大部分を占めており黒がほとんどありません。これは、すごく陽に傾いているということになります。
反対に6のところを見ると、黒が大部分を占めており白はほとんどなく、陰に傾いているということになります。
ただし、「陽極まれば陰となる」「陰極まれば陽となる」という言葉があり、陽は行き着くと陰になり、陰は行き着くと陽になります。12のところは白が大部分を占めていますが、その後、時計の針を進めていくと黒(=陰)が広がってくるということです。
さらに、白い勾玉には、黒円(=陽中陰)があり、黒い勾玉の中には白円(=陰中陽)が描かれています。
これは、陽の中にも陰があり、陰の中にも陽があり、「100%陽」「100%陰」というものはないという考え方を表しています。つまり、何が陽で何が陰かと分類することはあまり意味がないと言うことを表しています。
量子力学で、ゼロ点エネルギー、あるいはゼロポイントフィールドと呼ばれている領域があります。
それは、無限大ともいえるプラスとマイナスの素粒子が互いに相殺しあっている領域で、結果的にゼロに見える、けれども実際には、絶えず生成消滅を繰り返している動的な完全調和の世界です。
その動的な完全調和を、このひとつのマークは完全に表しています。
たったひとつのマークで、あらゆる深い意味を内包している、まさに「天地自然之図(てんちしぜんのず)」と呼ぶにふさわしい図であることがわかります。
そして、この「存在の本質の在り方」が、私たち個々の意識の在り方の基準点を与えてくれます。
ここで大切なことは、意識の基準点である「存在の本質の在り方」は、静的な不動の状態ではなく、絶えず動的でありながらバランスを取っている状態である、ということです。
この世界は、変化しながらバランスを取り、バランスを取りながら変化しているのが“自然”なこと、なのです。