サブスリー達成まとめ④:食生活に答えはあるか?
トレーニング前にトレーニング後と、紅茶を沢山飲みます。1日に少なくとも2杯以上。1杯あたり少なくとも15gの砂糖。紅茶だけで毎日どれだけの砂糖が含まれているかを計算してください。
これは、現世界記録保持者であるエリウッド・キプチョゲの食生活の一部です(Matt Fox氏の報告による)。
さて、前回の記事では、
マラソンを速く楽に走れるようになるためには、
①ランニングフォームを身に付ける
その上で、
②厳しい(と感じる)トレーニングを継続する
ことと述べた上で、「練習メニューと使用シューズ」を紹介しました。
今回は、日常生活に目を移します。ランナーの食事についてです。
まずは、ケニア人ランナーの食事を観察したMatt Fox氏の報告を見て行くことにします。
簡素でいつも同じ!穀物菜食中心。
Matt Fox氏の言及を続けます。
・カプタガットのアスリートの食事は、シンプルで質素で反復的でした。
・西洋のアスリートのほとんどはサプリメントやタンパク質摂取に夢中で、トレーニングと迅速な回復のピークパフォーマンスを促進するために食事を調整しています。カプタガットではアスリートのタンパク質摂取も非常に少なく、2週間に1回以上肉を食べることはめったにありません。高価な贅沢品と考えられています。
・ケニアでの食事は主にホールフード植物ベースの食事です。食べ物のほとんどは地元の有機栽培で、周囲の農場から直接仕入れています。
◆ウガリ:トウモロコシと水から作られる、一種のコーンケーキです。この主食はでんぷんが非常に多く、低刺激で風味があまりありません。
◆マナグ:ほうれん草に似た濃い緑の葉。通常、水と油でソテーにして食べますが、牛乳で調理するというランナーもいました。
◆キャベツ:マナグと同様に調理します。
◆豆:一般的には小豆の一種で、おそらくアスリートが頻繁に食べているタンパク質(ミルク、卵、時折の肉以外)を最も多く含む食品です。
◆パン:アスリートは、チャパティや、パンをかなり頻繁に食べるようでした。彼らは、週に1回のロングラン(30 / 40km)を終えた直後を含めて、朝食に白パンを頻繁に食べます。
◆米:豆と一緒に食べています。
◆卵:揚げて、マナグとウガリの料理と一緒に食べます。
◆フォタト:ウガリと一緒に煮て食べます。
◆おやつ:最も頻繁に消費されるおやつは、バナナなどの果物でした。
◆飲み物:ランナーたちは甘いミルクティーを一日中飲んでいるかのようでした。ほとんどのアスリートがそれを介して摂取する砂糖の量は、1日あたりティースプーン15杯以上です!
・私たちの近くに住んでいたアスリートは、上記のリスト以外の食べ物をほとんど消費しませんでした。
・ほとんどの食事に風味がありませんでした。食事はほとんど純粋な未加工の果物、野菜、豆類、穀物でした。
・私たちの興味をそそった他の何かは、アスリートたちは断食状態で40kmのテンポランを含むほとんどのトレーニングを完了したことでした。最初のカロリー摂取はトレーニング後。キャンプに戻った後です。
ランナーの食事に答えはあるか?
上記報告によるケニア人ランナーたちの食事は、日本で一般的に「ランナー食」とされている食事内容とはかなり異なります。
脳生理学者の池谷裕二氏は「多くの栄養物質の有効性が、その後、無効であることが判明したりすることも珍しくな」いと言っておられますが(『脳には妙なクセがある』扶桑社)、わたしは、マラソン食に関してもだれにでもあてはまるベストな習慣と言えるものは無いと感じています。
たとえ全く同じものを摂取しても、体という個々のブラックボックスを通すことで結果がAにもなるしBにもなる。その振れ幅が、実は机上で論じられる想定よりもはるかに大きいのではないかという印象を持っています。
基本的に、あらゆる食事を美味しく楽しく食べたらいいと思います。厳格な食事コントロールを修行僧のごとくできる人、しかもそれを愉しめる人はやったらいいし、そうでなければほどほどにやればいい。「食べちゃいけないんだけどなー」なんて思いながらこそこそ食べることこそ体に毒かもしれません。
一方で、「これは避けなければならない」と感じる習慣は、
食べ過ぎ
です。太ると故障につながるからです。
参考までに。八丈流人ランナーの食生活。
・身長:169cm、体重:54.0km
八丈島の我が家にいればほとんど増減しませんが、都内に帰ると太ります、コンビニの誘惑は恐ろしいです(笑) 55.0kg以上の状態で走ると、ああ重くなったなという感じがします。
・酒は飲めない
ランニングのためというわけではなく、もともと下戸です。酒を飲むという習慣がないので、食生活の維持や生活リズムの形成がしやすいです。
・食事はシンプル
近くにマック、ケンタッキー、コンビニもファミレスも無く、ほとんど外食をしません。自炊がほぼ100%です。電子レンジを持ちませんので、レトルト・冷凍食品は食べません。また、保温機能付きの炊飯器も持ちませんので、米は毎食ごとに必要なだけ土鍋で炊いて食べます。野菜や海藻類は、積極的に摂るようにしています。
ちまたの「マクロビ」「玄米菜食主義」もその多くは商業先行の眉唾物と見ていますが、結果論として基本は穀物菜食9割、肉・卵類1割です。ランナーに必須とされている牛乳は、時々コーヒーに混ぜる程度。
・朝食はランニング後。ワッフルを焼いて食べる。
朝食を食べる前に、断食状態で8kmから16kmの走り込みをします。帰ったら、小麦粉80gと水120gを混ぜ、ワッフルメーカーで焼きます。その上にチーズをのせたり、ゴマをペーストしたものをのせます。ご飯を炊くよりも短時間で簡単に作れて、ご飯ほど重い感じがしない一方で、食パンよりも腹持ちが良いです。ドリンクはコーヒーが多いです。自家抽出するなら基本ブラック無糖で、インスタントなら牛乳を混ぜたり。
・昼は何でも食べる
昼の食事内容、分量ともにほとんど気にしません。完全に妻に任せるときもありますし、一人の時は安さ重視で食材を選ぶこともあります。ただ、さすがにタクサン食べすぎたなと感じたら、夕食を抜いたりします。
・間食もけっこうする
ランニングを始めてから、甘いものを好むようになった気がします。菓子パンとチョコレートには目がありません。ウサイン・ボルト氏が、「油ものは控えている。」と言っているのを聞いて、スナック菓子やポテチは食べないようにしています。
・夕食は少な目
夕食後にも走りますので、量は少な目です。ご飯は茶碗半分ほどです。食べるもの自体はこれと言ってこだわりはありません。
次回は、故障の防ぎ方です。
走力は、負荷の高いトレーニングをたくさん積めば向上します。
しかし、負荷がたかすぎたり、たくさん走りすぎたりすると、故障をします。故障を防ぐことは効率的な走力向上のためにとても大事なことなので、一回分の記事を割り当てました。