キプチョゲのトレーニングに学ぶ②:午前メニュー編
では具体的にどんな練習をしているのか見て行きます。今回は、午前枠です。
火:トラック、木:テンポラン、土:ファルトレクを実施しており(完全に曜日で決まっています)、その他の曜日は、基本的には10~12kmの「イージー・モデレート」と呼ばれるメニューもしくは、18~22kmの「モデレート」というメニューのどちらかです。
【ポイントトレーニング:火、木、土】
火・木・土の午前メニューは、それぞれトラック、テンポラン、ファルトレクです。
①火:トラック
・メニュー例:
1)
1200m キロ2分55秒(Mペース)
1000m×5(リカバリ1分半) キロ2分55秒(Mペース)
300m×3(リカバリ1分) キロ2分20秒(Rペース)
2)
800m×12(リカバリ1分半) キロ2分45秒(Tペース)
400m×10(リカバリ1分半) キロ2分30秒(Iペース)
3)
2000m×5(リカバリ100m徒歩) キロ2分45秒(Tペース)
4)
1000m×13(リカバリ1分半) キロ2分45秒(Tペース)
5)
800m×14(リカバリ1分半) キロ2分40秒(Tペース)
6)
400m×10(リカバリ1分半) キロ2分40秒(Tペース)
※「リズムにフォーカスしたリラックスしたトレーニング」
※レース5日前、現地へ移動前の最後のトレーニング
〈考察・気づき〉
「トラック」は、基本的にインターバル走です。ほとんどがTペースもしくはMペースですが負荷自体が軽いと考えるのは早計で、標高をふまえるとIペース、まれにRペース相当の負荷がかかっていると思います。
②木:テンポラン
・ペース:平均3分25秒 (3分15秒~3分40秒) :Eペース
・走行距離:30~40km
〈考察・気づき〉
一般的な「テンポ走」はTペースです。キプチョゲの場合はEペースで、標高をふまえても、負荷としてはやや軽めt。キプチョゲの師匠筋のパトリック・サングもスピードよりもボリューム(走量)の大切さを主張しており、後半で失速することに対しては嫌悪感を示しています。
③土:ファルトレク
・ペース:平均2分55秒 2分40秒~3分00秒
・内容例:
1)Mペースで一回の走行長め
〈10分走+リカバリ2分〉×4
〈3分走+リカバリ1分〉×18
〈3分走+リカバリ1分〉×13
〈2分走+リカバリ1分〉×20
2)Tペースで一回の走行短め
〈1分走+1分リカバリ〉×30
〈1分走+1分リカバリ〉×25
※リカバリは、イージージョギング(ペース不明)
〈考察・気づき〉
トラックと大体同じ、Mペース~Tペースで走っています。標高差補正をかけると、短い距離で頻繁にリカバリを取りながらRペースに近い負荷をかけるか、長めの距離でIペース相当の負荷をかけるかです。
ポイントトレーニングは、以上のたった3パターンです。たとえば、走りと走りの間に完全休憩をはさむ「レペテーショントレーニング」はありません。
【走り込み】
月・水・金・日の午前メニューは、基本的に、イージー・モデレートかモデレートです。天候、体調、路面の状態で決めるのだと推測します。
①イージー・モデレート
・ペース:平均3分55秒(キロ3分25秒~4分25秒) :Eペース未満
・走行距離:10~12km
②モデレート
・ペース:平均3分35秒(3分20秒~4分15秒) Eペース未満~Eペース
・距離:平均20km(18km~22km)
〈考察・気づき〉
両者を比較すると、イージー・モデレートは、「短く遅く」で、モデレートは「長く速く」です。路面などのコンディションが良いときは、長くそして速く走っていると考えられます。