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通訳学校振り返りpt.3: 初回授業と通訳I

こんにちは、なおきまです。

医師として勤務しながら英語学習を継続し、時事英語や医学英語、技術英語を中心に学んできました。昨年からは医学系招聘講演等の場で通訳をする機会もいただけるようになりました。

検定・資格としては2024年7月時点で英検1級、TOEIC LR990&SW400、国連英検 特A級、全国通訳案内士、工業英検1級、英単語検定1級、TOEFL iBT 114点、JTFほんやく検定1級(日英、医薬)、ビジネス通訳検定(TOBIS)1級など10種以上保有しています。また、今は能率協会の一部になった技術英語協会主催の技術英語指導者養成基礎コースを修了しています

この「通訳学校振り返り」シリーズでは、2024年3月に通訳学校を卒業した私の「通訳学校に通うきっかけ〜卒業するまで」を振り返っていきたいと思います。

今回はそのpt. 3として逐次通訳科の最初のクラス(通訳Ⅰ)についてです。

本記事はこのシリーズのpt.3になります。下記のリンクからpt.1やpt.2をお読みいただけますのでもしよければ併せてお読みいただければと思います。

本記事はレベルチェックを通過し、初回授業に臨んだ私を待ち受けたものは?

というところからスタートです。


●初回授業の洗礼

コロナの影響で授業は全てオンライン(zoom)で行われました。

ログインすると、講師を入れて10人ほど。

(なるほど、ここから進級とともにふるいにかけられていくわけか…相手にとって不足なし!)

まずは講師からクラスの概要。簡単な説明の後は、

講師「それでは自己紹介をお願いします。」

と自己紹介セッション。1人目のAさん。

Aさん「Aです。〜〜の仕事をしており、……のため通訳学校に入りました」

1分以内に収まった、簡潔な自己紹介。

講師「ありがとうございます。それではBさん、ご自身の自己紹介の前にAさんの自己紹介の通訳、どうぞ」

(ん?)

(通訳してって言った?)

(1分くらい話してたよ?)

(これって普通なん?)

※この時はよく知りませんでしたが、1分の逐次通訳自体は普通です。

Bさん「えーっと、、、」

他の人を観察してみると、みるみる緊張に包まれていくのが分かります。zoomなのに、みんな別の空間にいるのに、緊張感が場を埋め尽くします。

画面がフリーズしたかと思いました、ホントに。

とりあえず私は次以降に備えてバレないようにすーっとノートを開き、ペンを持ちました。

どうせ上手に通訳なんてできないことは分かっていましたが、生き残るにはそれしかなかった。

奇しくも名前の順か、ログインの順番か、自己紹介の通訳をトップバッターでやることになったBさんを不憫に思いながら心の中でエール。

Bさんの通訳のパフォーマンスについてはさすがに覚えていません。

ただ、一言一句正確ではありませんが講師から

「これから通訳になろうとしているならば、他者の発言を集中して聞かなければならない」

という趣旨のコメントがありました。

それはよくわかる。プロが「今なんて言いました?」はNGでしょう。

まあ「鬼だ。鬼がおる」くらいは思いましたが。

初日から強烈な喝が入り、通訳学校の幕開けです。

●通訳基礎訓練

サイマルアカデミーでは2名の講師が交互に授業を担当するため、受講生は異なる観点からのフィードバックを受けることができます。個人的にはこれはとてもいい点だと思っています。

初回授業からしばらくは通訳基礎訓練として、

・要約
・シャドーイング
・メモなしの短い通訳

を主に行いました。

要約は日→日、日→英、英→日、英→英の4パターンを授業では取り扱ったと思います。3分くらい聞いて、1分くらいに要約する練習です。内容の幹を掴み、整理して記憶することに重点をおいたものです。

市販の英語教材では明確な構成がある文章が多いのですが、通訳学校の教材は、例えばいかにも日本語的な文体・言葉遣いで要点を抜き出しにくいものなどが選ばれているという印象です。

シャドーイングでは音を耳から入れながら内容を理解して、咀嚼した上で音声を再現する。英語のみならず、日本語の音声でも行いました。

要約もシャドーイングも、通訳で必要な

聴取→理解→概念化→言語変換&構成→発話

の基礎訓練です。

メモなし通訳は文字通り、短い1-2文を聞いて訳していくという練習です。メモに集中すると最も重要な「聞くこと」が疎かになるので、初期はこのような練習をするそう。

これが意外と難しい。話された内容を正確に、等価で訳出するにはやはり訓練が必要だと思いました。

1つ1つを必死にこなす日々です。仕事との両立はハードで、なんとか日々の予習復習だけでも・・・という日も多かったです。

最初のうちは上達しているのかどうか、全くわかりませんでした。

教わった通りやれているのか?

考え方や頭の中での情報の処理の仕方はこれでいいのか?

講師はアウトプットを聞いて良し悪しを判断する一方、「この頭の使い方でいいのか」は自分で模索するしかありません。訳す時の頭の中のプロセスは、誰もが違うからです。これも必要に応じて講師に助言を求めながら実践と修正を繰り返します。

このような練習をしばらく続けると感じる負荷が少なくなり、要約や訳出での言葉の途切れが少なくなってきます。

何でもそうですが、目に見える変化が現れるには時間がかかるもの。そこまで淡々と続けられるかどうかが技術習得の鍵です。

学習の進捗を見る中間試験では、講師から「学期の途中だが、中間試験後から上のクラスに先に行ってもらうかも検討した。」と意外と印象がよかったのですが、毎回擦り潰されていた私にはそんな自信も手応えもなかったですし、中間試験はやや振るわなかったのもあり、学期途中での飛び級は見送りました。

本科の1つ目のクラスとはいえ、プロの通訳者を目指すコース。レスポンス速度、正確性、訳出した英語の質、話し方に至るまで上のクラスほど厳しくは見られませんが、将来的に通訳者として通用するレベルを想定した指導を受けます。

講師の方針によりますが、基本的にできていないところはハッキリと指摘されます。個人的には細かく指摘をもらう方がありがたかったです。そもそもできないところをできるようにするために通っているので、ズバッと言われたからといって落ち込むことはありませんでした。

一番初めのクラスなので最初は吹き込み教材(学校が授業用に準備したナレーター音声)で聞き取りに負荷のないもの、最後の方は生教材(実際に行われたスピーチ)の中でも聞き取りやすいものが用いられました。クラスが上がれば生教材のみ、それもかなり難しいものが多くなります。

クラスの終盤には進級を決める期末試験があります。一応授業中のパフォーマンスも考慮とされていますが、原則一発勝負です。

英日、日英の逐次通訳。何とか・・・という感じで解答した記憶があります。

緊張の中で実力を発揮するのは大変ですが、私は無事進級を決めることができました。最後の面談で進級を伝えられた時は安堵の気持ちとともに全身の毛穴が開くような、体の表面が一気に熱くなる感覚があったのを覚えています。

レベルチェックという篩(ふるい)に残り、何とか最初のクラスの進級の篩にも残りました。過去の記事で述べた通り、全6クラスを8学期で卒業することを目標としていたので幸先のいいスタートです。

通訳学校のクラスは進級するとどんどんレベルが上がっていきます。

さて今後はどうなるのか。。。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

次以降の記事では本科2つ目「通訳Ⅱ」について、そして番外編として通訳学校の進級について書いていきたいと思います。

通訳学校について興味のある方の参考になれば幸いです。

引き続きお読みいただけると泣いて喜びます。

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