通訳学校振り返りpt.1: そうだ 通訳学校、行こう
こんにちは、なおきまです。
医師として勤務しながら英語の学習を継続し、時事英語や医学英語、技術英語を中心に学んできました。2023年10月期をもって大手通訳学校の本科(逐次通訳科~同時通訳科)を修了、昨年からは医学系招聘講演等の場で通訳をする機会もいただくようになりました。
この「通訳学校振り返り」シリーズでは、2024年3月に通訳学校を卒業した私の「通訳学校に通うきっかけ〜卒業するまで」を振り返ってみたいと思います。
通訳学校を修了した人が在学時の経験を情報発信している例は多くないと感じます。そのため、病院で医師として働きながら通訳学校を修了した私の経験を記事として残しておくことには一定の意義があると考えました。
英語学習について、通訳技術について、通訳学校について、通訳学校に通う期間に考えた色々なことを書いていきたいと思います。
英語学習に励む、あるいは通訳学校を目指す皆様の参考になれば幸いです。
今回はそのpt. 1として、①当時の英語学習の進度や実務での運用状況、②通訳技術を学ぼうと思ったきっかけ、③通訳学校への入学を決めたところまでの3点について書いていきます。
●当時の英語学習の進度や使用機会
通訳について明確に意識し始めたのは2019年後半~2020年初期の頃でした。
当時は検定として英検1級、TOEIC LR990点、国連英検 特A級、全国通訳案内士、工業英検1級、TOEFL iBT 113点、JTFほんやく検定1級(医学薬学/日英)&2級(科学技術/日英)などメジャーな検定を取り切ったくらいの時期で、技術英語協会が実施する技術英語指導者養成基礎コースも修了していました。
私は帰国子女でもなく長期滞在の経験もありませんが、海外経験としては短期留学や出張という形で種々の教育研修に参加するほか、自身も教官として国際機関の事業に参加して貢献してきました。
英語圏の仕事では初めてのこと、複雑なこと、不測事態などで大変なことも多々ありましたが、上記のような業務をこなしつつ普段は病院での診療・手術を行っておりました。
とはいえ私自身英語そのものも大好き、英語学習そのものも楽しんでいましたし、継続的に語学力を磨き続ける重要性も感じていました。
常に実力を発揮できるよう爪を研ぎ続けている、そのような状況でした。
●通訳を目の当たりにして
2019年後半でしょうか、たまたまYouTube動画で記者会見の日英通訳を見ました。
通訳者は高松珠子さん。
当時の私は知らなかったのですが、トップ通訳者の1人としてご活躍されている方です。
その通訳を聞いてあることに気づきました。
『日本語を聞いた時の理解(頭の中で内容が概念化された時のイメージ)と、通訳された英語を聞いたイメージに違いがない、または非常に少ない。』
訳しているんだから当たり前だ、と思いますか?
これ、普通ではないんです。
日本語と英語は言語間距離も遠く、背景の文化も全く異なるため、そのまま訳して言葉尻を合わせただけでは「同じ理解」になりません。
技術英文ライティングを学ぶ中で「原文と訳文をそれぞれのネイティブが読んで、脳内に形成される理解が同じ」であることの重要性を常々認識しておりましたので、「通訳でも重要なことは同じなんだ」と感じました。
この動画の通訳では事前に原稿を配布されたかは分かりませんが、その場で整えて訳出する技巧は、私の目(耳)には魔法のようにさえ映りました。
そして、これを出来るようになりたいと思いました。
通訳技術とは何なのか?習得にはどうするべきか?
通訳ができると、自分の何が変わるのか?
色々調べてみようと思うには十分な興味がわきました。
●そうだ 通訳学校、行こう
通訳技術を身につけようと思った私は、まず下記のことを調べてみました。簡単に調べたことと、考えたことを書き留めておきます。
①「通訳」という技術について
・通訳とはそもそもどういう技術なのか?
・通訳者の心構えとは?
・どうやって技術を身につけるのか?
・独学で可能か?学校に通うべきか?
⇒書籍やネットで調べた結果、「独学でも不可能ではないが、プロの技術はプロに習うべき」と判断しました。
②通訳学校の授業日程
・医師として働きながら通えるのか?
・カリキュラムとして通訳学校修了まで何年かかるのか?
⇒キツイが、おそらく可能。本科から入れれば6クラス3年。業務多忙等で学習が思うように進まないことを想定、2回進級試験に失敗&再履修になると仮定⇒4年で6クラスと見積り。
③私が通訳をできることの意義
・周囲からの求めがあるのか?
・医師として通訳ができる意義は?
⇒周りからは既にできると思われている(勘違いされている)。プロレベルの通訳ができることにより、自分が直接絡まない仕事でも英語を理由に声がかかり、知見を広げることができる可能性がある。新しい仕事に繋がるかも?
⇒医師以外の働き方にも興味がある。早いうちに他業種の世界を見たり、医学以外の技術を身につけておきたい。
⇒医学薬学分野では専門性の高い人材は常に不足&医学の世界の外を知っている医師はそれだけで希少
④通訳者という職業の将来性
・AIに取って代わられる可能性
⇒携帯翻訳機、翻訳サービスなどは確実に普及するだろう。一方でスピーチの正確な訳出は文章以上に困難。大きなお金が動く事業、政治的な話など責任範囲の設定や取り返しのつかなさ、コンテクストの複雑さから人間の通訳者が介在する余地は当面残りそう。
⑤本当にやりたいのか?
⇒やりたい。
特に⑤は決定的でした。
内的にも外的にも動機づけは十分。
レベルチェックを受け、本科からの入学を目指すことにします。
特に不安はありませんでした。英語力や実力が足りなければ入学を断られるだけです。今回だめでも、本当にやりたければ鍛えなおして再チャレンジすればよいと考えていました。取り返しのつくことに悩むのは時間がもったいないので、さっさとレベルチェックを受けてみようと思いました。
しかしその時、世界を混乱に陥れる大事件が起きるのでした…
…ここまでお読みいただきありがとうございました。pt.1としてはここで締めたいと思います。
次回はpt.2として、通う学校を選定〜レベルチェック〜入学くらいの範囲について書いていきたいと思います。
最後に、Xの投稿から来られた皆さまへ。元の投稿に「いいね」やリポストいただけますと多くの方の目に留まりますので、もしよろしければそのようにシェアしていただきますと泣いて喜びます。
引き続きお読みいただけると嬉しいです。