オオミズアオの生涯
夏の1コマという投稿企画があったので投稿してみる。
つい先週のこと、歯医者に出かけると道端に大きな葉っぱ?が落ちていた。
右折禁止が異常に分かりづらい交差点で、今日も警官がうっかり右に曲がってしまったドライバーを捕まえるために白バイを止めて待機している。
この酷暑の中、何時間立ち続けるのだろうか。
その警官の真後ろあたりに、そいつはいた。
おやおや、葉っぱじゃなくてどうやら生き物らしい。
鮮やかなライトグリーンに、赤茶色の縁取りは木にとまっていたら恐らく
木と見分けがつかない。
私はこの子の名前を知るために、写真を撮ってXに投稿した。
#昆虫博士
#誰か
#名前を教えて
10分ほどで、「オオミズアオです!」というコメントがついた。
僕は感謝のいいねを押して、オオミズアオについて調べる。
オオミズアオ
大水青、学名 Actias aliena、旧学名 Actias artemis
このオオミズアオという蛾は、その美しい姿から女神の名前を冠している。
東北から九州まで広く分布しているが、成虫は口が退化していて一切の水も食べ物も摂ることができない。そのため、1週間ほどでその儚い命を終えて死んでしまうそうだ。
なので、出会えるチャンスが少ないことからこの姿を見た者には幸運が訪れるという言い伝えがある。
なんともロマンチックな生き物じゃあないか。
パートナーを探すためだけに、夏の短い間懸命に生きて散ってゆく。
この暑さでアスファルトの上にいたら、干からびたり踏んづけられたりしないかと思い動かしてやろうかと思ったがやめた。
きっと、人間が余計なことをせずともこの生き物は一生を遂げるだろう。
しゃがんで写真を撮った時、地面にスレスレからスマホを構える36歳独身男性の姿を確かに振り返って見た警官に職質されなかっただけでも幸運をもたらしてくれたといえるだろう。
ありがとう、オオミズアオ。都心もまだまだ、生き物が生きているね。