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「きっとそれが、何かを知るということだ」
【ゾワゾワする】
騒がしい音を表す語。また、そのような音をたてるさま。ざわざわ。
嫌悪や不快、また、感情の高ぶりのために身震いするさま。鳥肌が立つようなさま。ぞくぞく。
映画を見たり、本を読んでいると、意図せず自分の心を揺さぶられる言葉に出会う時がある。
いや、映画や本に触れていない時でもそう。誰かと会話している時に
「あ、今この人の使った表現綺麗だな」
「その言葉、そんな使い方したことなかったな」
とかそんな風に思うことがよくある。
会話中にそういう言葉に出会うと一瞬で心を持っていかれるので内容そっちのけで自分の思考の世界に入りがちだ。言葉というのはそのぐらい僕に影響を与える。
しかし今、「言葉」と言ったが細かく言うと言葉ではなく「表現」だと思っている。
例えば、『あの人は月のような人だよね』
という表現に出会ったとしよう。この言葉は、月の穏やかさや優しさを通じてその人の人柄を美しく描き出している。月という言葉自体は誰でも知っている言葉であって、その言葉自体に心動かされるわけでない。
穏やかで優しいという印象を「月」という言葉を使って表現することが素敵だなと思ったりするのだ。
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その言葉に対するイメージは人によって違うものだから、共感できるかはケースによるだろう。だけど共感できるかどうかはそこまで大切ではなく、その人の主観的な表現に触れたことでパーソナルな感性をとても素敵だなと思う。もし共感できた場合には、より一層グッとくるものを感じる。
そんな時僕は、心がゾワゾワするのだ。
冒頭に記載したように「ゾワゾワする」は、身震いするような感覚を表す言葉だが、僕はこれをポジティブな意味でも使っている。心が揺さぶられたり、感情が高ぶった時に、あえてこの言葉を使いたくなるのだ。
嬉しいとか悲しいとかそんなんじゃなくて、そう、ゾワゾワするのだ。
前段が長くなったけれどそんな僕が最近ゾワゾワした言葉をひとつ紹介しようと思う。
「きっとそれが、何かを知るということだ」
これ耳に入ってきた時にゾワゾワしっぱなしだった。
雷に打たれたような、
鳥肌が立つような(実際立ってないのはご愛嬌)、
なんかそんな感じだ。
先に出展をバラすとNHKアニメ「チ。」を観ていた時に使われていた言葉だ。(僕はこのアニメが大好きで、感情をよく揺さぶられる。)
「不思議だ。
ずっと前と同じ空を見てるのに少し前からまるで違って見える」
「だろうな。きっとそれが、何かを知るということだ」
これまで天動説が世界の常識だった時代で、もしかしたら動いているのは空ではなく地球の方かもしれないということが確証に近くなった場面での会話。
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僕はこの言葉を何度見返してもゾワゾワしてしまう。
見慣れた景色が、何かを“知った”瞬間に全く別物のように感じる。実際に目にしているものは変わらないのに、心の中で何かが劇的に動く。きっとこの感覚は、多くの人にも心当たりがあるはずだ。
「知る」ということは結局、世界を変えるのか自分を変えるのかわからないけれど、何かを大きく変えることは間違いない。
日常生活の中で僕らはたくさんの情報を得ているが、情報を得ることはここで言う「知る」とは全く別物だと気付かされる。情報を得ても、見る世界が変わっていないのであればただの「記憶」とか「認識」なのだ。
「知る」という言葉を調べても、世界が変わるという意味は載っていないだろう。けれど、その「世界が変わって見える」=「知る」と表現したことに、真理を突かれたような感覚を覚え、思わずゾワゾワしたのだ。
うまく生きていく上では記憶や認識も重要だが、忘れてはいけないのは『知る』ということなのだろう。同じ景色が、同じ音が、同じ味が、何かを『知る』ことで全く違うものに感じられる。その感覚は、特別だ。
そんなことを経験させてくれる「知る」ことのパワーは計り知れないし、追い求める価値が間違いなくある。きっと世界は(自分は)何倍も輝くのではないかと。
だから僕は、「知る」という感覚を追い求めていきたいと思っている。こうして、またアニメのワンシーンから深掘りしすぎて自分の世界に入り込んでしまったけれど、まあ、これは僕の面倒くさいクセみたいなもんだ。
おしまい。