【吉岡直樹のジャズ・ベース・レッスン:その6】右手の強化

こんにちは。名古屋のジャズ・ベーシスト吉岡直樹です。

少しあいてしまいましたが、コントラバスを演奏する方のお役に立てればということで始めたYouTubeのレッスン動画の13本目、14本目を公開しました。

第1回目以降の動画の内容は次のとおりです。

  1. 開放弦のテクニック

  2. 左手の形

  3. 左手の基礎づくり

  4. ポジション移動

  5. メジャー・スケール

  6. メジャー・スケールの3度のインターバル

  7. メジャー・スケールの4度のインターバル

  8. メジャー・スケールの5度のインターバル

  9. メジャー・スケールの6度のインターバル

  10. メジャー・スケールの7度と8度のインターバル

  11. アクセントの練習

  12. ツー・フィンガーのテクニック

  13. 左手の強化

  14. 重音による左手の強化

なお、第11回目、第12回目の動画は、前回の記事からご覧いただけます。

練習の目的

今回あらたに公開した2本の動画では左手の強化方法について説明しています。

日頃、ベースラインやソロ、メロディをステージで弾いたり、自宅で練習したりしていると思いますが、このようにただ曲を弾くだけではじゅうぶんに左手の力が強化されません。

アスリートが筋力トレーニングをするように、ベーシストもある程度左手を強化する練習が必要だと考えます。そうすることで、ステージ上で楽に演奏することができますし、音色の改善やミスの低減などの効果が期待できます。

「左手の強化」の前半では、左手のアーチの形を強化する練習をしています。これにより、弦を指板にたいしてより適切な方向と力で押さえることが可能になるため、クリアで豊かな音色での演奏が期待できます。後半では、ベーシストが苦手な完全4度、短7度、短10度の動き(同一「フレット」の移弦)について説明しています。

「重音による左手の強化」の内容は、そのタイトルの通りです。発想自体は、1つの弦を押さえるよりも2つの弦を同時に弾くほうが左手の強化になる、というとても単純なものです。具体的にはメジャー・スケールの3度を重音のフィンガリングで演奏します。このトレーニングによって、左手の筋力だけでなく、左手のフォームやイントネーションの改善も期待できます。

今回の2本の動画は、左手のトレーニングとして、ぜひ日々のトレーニングに加えていただきたい内容です。

音色の向上

「音色は左手に宿る」といわれることがあります。豊かでクリアな、この楽器本来の音色をいかに引き出すことができるかは、奏者の技量にかかっています。

もちろん、第1回の動画で説明したように右手をはじく向きも音量に影響するのですが、左手が音色にあたえる影響は非常におおきいものがあります。音色の改善には、このことをきちんと自覚して、具体的なトレーニング方法に落とし込むことが不可欠です。

具体的には、弦を指板に対して適切に押さえることです。これについても第2回目、第3回目の動画で説明しました。さらには、スケールやインターバルについての一連の動画でお伝えした内容そのものも、左手の強化につながります。

今回お伝えする内容は、さらにこれらのトレーニングの成果を補強するものです。この楽器が特に苦手とするさまざまな動きを集中的に取り組むことで、曲を演奏する上で行われる「準備」や同一「フレット」の跳躍のような動きを改善することができます。結果的に、音色のムラも徐々になくなっていくことでしょう。

ミスの低減

左手の強化によって、音色の改善とともに見込まれる成果にミスの低減があります。

ミスは、左手がきちんと弦を捉えられなかったり、指のアーチが不十分だったために弦をミュートしてしまったりすることで発生します。一連の左手の強化を行うことにより、このような演奏中の発音ミスを減らす効果が期待できます。

レガートな演奏

ベースラインを演奏する上でも、メロディやソロを弾く上でも、レガートに演奏かどうかが演奏の質、すなわち聴き手が演奏を耳にしたときの印象や、共演者にベースの働きが伝わるかどうかに大きく関わります。

レガートに演奏することは、ベースの存在感を飛躍的に高めます。そのためには左手の強化がなによりも大切です。特に主にピッツィカートで演奏するジャズのような音楽では、クラシック音楽よりも左手に求められるクオリティはさらに高いとさえいえるのではないでしょうか。

動画

動画はこちらです。

2本の動画をまとめて見ると40分近くかかりますので、お時間があるときにでもゆっくりご覧ください。

PDF版

今回の動画に関連してPDF版の教則本も作りました。

今回は上の2本の動画の内容とほぼ同じ内容です。

  • ポジション一覧

  • 第19章 左手のアーチの強化

  • 第20章 完全4度、短7度、短10度

  • 第21章 重音を使ったメジャー・キーの3度

A4版、24ページの内容です。動画よりも譜例も多く、またちょっとしたコラムもございます。有償での提供になりますが、もしよろしければご購入の上、ご覧ください。

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