ローカル・マッスルとグローバル・マッスルについて
こんにちは!理学療法士の和田直樹です。
今回はレッドコード・ニューラック・マニュアルよりローカル・マッスルとグローバルマッスルについてまとめました。
ローカル・マッスルって何?
ローカル・マッスルとは腰椎そのものに付着する筋群であり、深層で椎骨に起始・停止をもち、腰椎の弯曲の制御と剛性を与え、力学的安定性の維持に作用する特徴があります。
横突間筋
棘間筋
多裂筋
胸最長筋の腰部
腰腸肋筋の腰部
腰方形筋内側繊維
腹横筋
内腹斜筋(胸腰筋膜に付着する繊維) が該当します。
<ローカル・マッスルの機能>
筋肉単体のレバーアームは短い為、大きな力の発揮には適していませんが、
いくつもある脊椎の分節間が連結できるように各分節の可動性を制御する働きをもっています。
→これによりニュートラルゾーンの生理的な範囲を維持し、脊柱の分節的な安定化として作用しています。
特に腹横筋と多裂筋が大きく関与すると言われています。
グローバル・マッスルって何?
グローバルシステムとは腸骨稜、胸郭をはじめとする周辺の構成体に付着する筋群であり、骨盤と胸郭を結び、力を直接伝達させ、体幹の運動をつかさどる役割をもちます。
胸最長筋の胸部
腰腸肋筋の胸部
腰方形筋外側繊維
腹直筋
内腹斜筋
外腹斜筋 が該当します。
<グローバルマッスルの機能>
グローバルマッスルには体幹に加えられた外的負荷のバランスを保ち、脊柱の安定化、体幹全体の安定化、トルクの発生をさせる特徴があります。
イメージとしては・・・
このことからグローバル・マッスルが機能することでさまざまな大きさの外的負荷が小さくなりローカル・マッスルで処理できるようになります。
また、参考書には
・ある筋肉が十分に機能するためには静的・動的運動に加わる他の筋群の
共同的活動が必要
・四肢が動くことに対し、体幹の筋緊張が高まり、安定させる
という文もあり、先行性随伴性姿勢調整(APAs)と同じようなことが起きているのではないかと考えられます。
ということは・・・
上記のような連鎖が生じることが考えられます。
この連鎖を断ち切るには・・・以下のような環境でグローバルマッスルがしっかり活動する環境になることが大切
骨盤の前傾・後傾のバランスが整っている
胸郭がしっかりと動く(このことにより呼吸が十分に行えて、肋骨が動く)
上位胸椎と下位胸椎の可動性が得られている。
ローカル・マッスルとグローバル・マッスルのバランス
グローバル・マッスルには運動範囲の制御とアライメント制御を行う機能もありますが、筋肉の動員数のバランスが崩れると機能異常が生じてしまいます。
・可動域低下による運動の質の低下によりローカルスタビリティマッスルが分節的制御を十分に行えず、関節に過剰な力が加わる状態につながる。
・筋動員のパターンが変わると正常な運動パターンやタイミングが障害され、ローカルマッスルとグローバルマッスルの機能異常の結果として複雑な運動機能異常が生じる。
可動域低下→筋動員パターンが変わる→正常な運動パターンやタイミングが障害
↓
運動の質の低下
↓
ローカルマッスルが分節的な制御を十分に行えなくなる→グローバルマッスルの負担増加
↓
関節に過剰な力が加わる状態になる。
読んで感じたこと
このようにローカル・マッスルとグローバル・マッスルのバランスが崩れてしまうことで運動機能異常や関節への負担が増加してしまい、ケガや痛みが生じてしまう可能性が高くなります。
この悪い連鎖を断ち切るには、スタートになっている『身体の硬さ』『可動域の低下』を改善していくことが大切になってきます。
普段の生活にストレッチや上半身を中心とした体操などを加えてみると良いと思います。
参考文献
発行者:青山 智
発行所:株式会社 三輪書店
編集:日本ニューラック研究会
「レッドコード・ニューラック・マニュアル ースリリング・エクササイズ・セラピー」からの進化」
発行:2010年3月5日 第1版 第1刷
2013年8月1日 第1版 第3刷©️