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「お客様は神様」を現役書店員が考えてみる。

「お客様は神様じゃねぇ!」と日々接客業で苦労する人たちがTwitterで愚痴を言っているのを近頃目にする機会が増えた。

僕自身、超大型のショッピングセンターに入っている某大型書店で働く現役の書店員として思うことはまあたくさんあるのだが、まず1つ思うのは

それ、自分の実力不足をお客様のせいにしてませんか?

ってこと。

僕が働く書店は超大型のショッピングセンターに入っているので、老若男女、お一人様からファミリーまでいろんな方が来られるのですが、その分「変な人」も多く来られるわけです。

変な人と一概に言っても内実はさまざまで、例えば

一言も発さない人、声のボリューム調整のつまみが吹っ飛んでる人、終始不機嫌な人、敬語が一言もインストールされてない人、自分が買おうとしたいる商品を雑に扱う人、ガムを店内で普通に吐き捨てる人…

なとなど。これらは可愛い部類ですが、あげればキリがないのが現状です。

まあ中には悪気がない人だっているし、もともと不機嫌な顔の人だっているわけだし、その不機嫌な人だってもしかしたら昨夜飼っている猫が死んだとか、彼氏に振られたとか、不機嫌の背景には必ず理由があることを考えれば一概に彼ら彼女らが悪いとは言えないわけです。

で。

不機嫌な態度を取られたり、迷惑な行為をされたりっていうのは、スタッフの経験が高くなるにつれて許容範囲も広くなっていくので気にならなくなっていくんですよね。

もちろん"超"迷惑な行為は注意するべきだし、Twitterで愚痴りたくなる気持ちもわからなくはないですが、そこで愚痴ってしまうようでは人としてのレベルがまだまだだなとも思うわけです。

「自分の短気な性格や実力不足を、不機嫌で威圧的な態度をとるお客様のせいにするのは間違ってるんじゃないか」と一歩引いて冷静な目で自分を見つめる、つまり、「内省する習慣」がつけば、イライラすることもなくなっていくと思のですが…どうなんでしょう。

そして2つ目は

情報の非対称性

なんだかかっこいい言葉を使いましたが、要は「接客業をやったことない人は、接客業をやっている人の気持ちがわからない」ってことです。

私も昔はレジをしている際によく

「いますぐこの国はレジ業務を学校の授業に取り入れるべきだ!」

と怒り狂ったものです。

小銭やお札を雑に置くな、ポイントカードは1番最初に出せ、咳やくしゃみは手で押さえろ、敬語を使え、いや、敬語は使わなくてもいいからせめて声に出して返事をしてくれ、などなど。

こういうのって言わなきゃわからないのかな?と思ったりするのだが、多分そうなんでしょう。

これは僕がお客様をバカにしているわけではなく、人というのは基本的に言われなきゃわからない動物であり、その人の常識や当たり前は"その人にとっての"ものであり、友達Aや恋人Bがもつ常識や当たり前とは異なるわけです。

なので接客業をやっている人たちは、我々はこうしてくれたら嬉しいです!こういうのはお断りです!と発信していくのがいいんじゃないかなと思っています。

もちろんここで押し付けてしまうと炎上する原因になりうるので、2つ注意しましょう。

1.お客様と我々は神様でもなく、同じでもなく、"対等"であること

2.完璧な人間などいないことを改めて理解すること

1つ目の注意を読んだ時にもしかしたらデジャブを感じた方もいるかもしれないですが、これは200万部を超える大ベストセラー『嫌われる勇気』から引用した言葉です。

結局、お客様も我々も神様ではなく、同じではないが、「対等なんだ」と意識することが、威圧的な態度や言動をしない・させないことに繋がるのではと今は信じている。

2つ目の注意を読んで、何を今さらそんなことを思われた方もいるかもしれませんが、

「ミスをしない人間などいない。自分だっていつも心身ともに完璧なわけではないのに、相手に完璧を求めるのは間違っている」

と僕は普段考えています。

先にも言いましたが、もしかしたらそのお客様は昨日飼っていた猫が死んだのかもしれないし、恋人に振られたのかもしれないし、財布を落としたのかもしれないのです。

そんな相手の状況を考えずに、自分勝手に接客をするのはもうやめよう、と言いたい。

最後に、おすすめの本を紹介して終わります。

それは先にも出てきたが、日本で大ベストセラーとなっている『嫌われる勇気』です。

もう今となってはフロイトやヤングよりアドラーのほうが日本では有名かもしれないけど、彼の理論で僕が最も重要だと感じるのは「課題の分離」という理論。

「自分の課題」と「他者の課題」を明確に分け、他者の課題には踏み入らないようにする。

接客で言えば、相手が敬語を使わないとか横柄な態度をとる、というのは「他者の課題」にあたるので変えようとしてはダメ。

大切なのは「自分の課題」。

相手がどんな対応をしようが、自分はプロの自覚を持ち最高の接客を貫き通すだけ。

そこで相手の反応が最悪でも自分には関係ないんです。

相手の反応に一喜一憂されず、自分の課題を貫き通すことができれば、あなたは今より確実に幸せになれるでしょう。

まだ読んでない方、読んだことのある方はもう一度、『嫌われる勇気』を読んでみてください。






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