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暁のビーチリゾート
10月も半ばになり、カンボジアの長い雨季も終盤に差し掛かっているのか、今日は天気がいい。眼下に広がるタイランド湾の海が、やわらかな太陽の光を反射させてキラキラ輝いている。
2台のジェットスキーが白波を引いてビーチを横切る昼下がり。僕はシアヌークビルという、この国きってのビーチリゾートにあるコンドミニアムの23階のプールサイドに佇んでいる。
目の前のビーチには「インデペンデンス・ビーチ」という名を、人間が勝手につけている。
インデペンデンス、独立…
好きな言葉ではある。これからの時代、人はこれまでのように会社に雇われて「会社の」仕事をするのではなく、独立した個々がプロジェクトに応じて時にチームを組み、目的を達成していく。そんな働き方になるんじゃないかな。
きっと働き方だけでなく、政治も経済も先が見通せない、これまでの秩序がガラガラと音を立てて崩れていくであろう時代に、僕たちは一人ひとりが精神的、メンタルにも独立する、強くなることが求められると思う。
そんな新しい時代の到来を、みな薄々どこかで予感しているはず。それは、魂レベルでのワクワクを想起させるかもしれないし、あるいは果たしてやっていけるだろうかという不安が先走るものかもしれない。
いずれにしても、このままではいられない、時代のうねりのようなものを、今を生きている僕たちはヒシヒシと感じていることと思う。
僕はフリーランスとしてリモートで仕事をしている。
ほんの4、5年ほど前(コロナ前)の話だけど、当時はまだ場所に縛られない働き方、生き方は、実の親も含めてほとんど理解されなかった。ノマドという言葉はもちろんあったけど、実際にオフィスに出社せず、旅をしながら仕事をするような特異な生活をしている人は、SNSで見かけるインフルエンサー的な人くらいだったんじゃないかな。
それが、コロナというパンデミックを機に、一気に人々の価値観が変わってしまった…
もはやリモートで仕事をしている、なんて言っても、誰も驚かなくなった。
今思えば、コロナ騒ぎも、新たな時代への転換、風雲を告げる促しであったのかもしれない。
いずれにしても、僕はネットにつながって仕事さえできれば、どこにでも旅行に行ったり、そこにしばらく住んでみたりすることができる。
それでは一体なぜ、このシアヌークビルという場所にいるのだろうか…
この土地をまったく知らない人はさておき、名前を聞いたことがあるなら、詐欺の拠点とかチャイナマネーに支配されたカジノタウンとか、ネガティブなイメージしかないだろう。
プールサイドを颯爽と吹き抜ける風を感じるような、新しい時代の夜明けを迎えているこの時期に、お金がすべての権力の象徴であるかのような、ちょっと古臭い時代の遺跡とも言えるカンボジアの新興タウンにいるのは、どんな皮肉だろうか?
それとも、そういう対極的な場所にいるからこそ、最大の学びがあるというのだろうか?
正直、半年前に最初にこの街に来た時は、不快でしかなかった。
それについて詳しくは書かないけど、結局その後、ここに半年以上も滞在することになった。
そして最近、ようやくその意味、意義がぼんやりと理解できるようになってきた。
現に、シアヌークビルに滞在していなければ、わずか数ヶ月という短い期間で体験した様々な奇妙な出来事はあり得なかったわけだし、それにこのnoteだって一生書かれることはなかったのかもしれない。
今だんだんとわかってきたこと。
それは、人生という壮大な旅のなかで、ずっとずっと心のどこかで追い求めていた君という存在に気づき、出逢うためであったこと。
そして何より、自分と繋がるため。つまり、常に自分が自分であるためだということ。
それらが一体どういう意味なのか、これから旅の日誌的にシアヌークビルと、(日本がファーストホームなら)セカンドホームであるタイ・サムイ島での出来事を中心に書いていこうと思う。