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中国について考える。
『日本人が知っておくべき中国のこと』は、武田一顕氏が日本と中国の関係を再考し、現代の日本人が知るべき中国の現実を深く掘り下げた一冊です。
本音を言うと、私は職業柄、中国という国に少なからず偏見を持っています。
しかし、そんな私が中国について調べてみようと思う出来事がありました。
実家の庭に長く鎮座していた松の木(枝は10mほど伸びていました)があり、以前から枝が隣の家まで伸びてしまっているので、どうしようか悩んでいました。ところが、先月実家に帰ると、松の木に根巻きがされており、驚いて事情を尋ねると、近所の中華料理屋さんの知り合い(中国人)が、
「うちに置きたいから譲ってほしい」と、その中華料理店のマスターを通じて申し出てきたそうです。
以前からどうしようか悩んでいたこともあり、私の親は快諾したとのこと。驚くべきことに、その10mを超える木を県外に運ぶ費用は約400万円だと言います。それを写真だけで判断し、現物を一度も確認せずにポンと400万円を支払った中国人には、さらに驚かされました。
この出来事を通じて、私はそれまで「日本にいる中国人=若くてお金のない留学生や技能実習生、あるいは中国共産党のスパイのような人たち」という偏ったイメージを持っていたことに気付きました。そして、「もしかして今の中国について全然知らないのではないか」と思い立ち、年末年始の休暇を使って調べ始めました。
調べたところ、現在日本にいる中国人は既に80万人を超えており、その多くがWeiboやWeChatといった中国版SNSを活用して、日本国内でつながっています。さらに、これらのアプリを使えば、衣食住を含む生活のほとんどが、日本にいる中国人コミュニティ内で完結できる仕組みがあるということを知りました。
本書では、そう言った現在日本にいる中国人と言うよりは、なぜ中国という国は日本や世界に対し現在のような外交をするのか?のような経済、文化、政治といった幅広い分野を扱い、中国の急速な発展がもたらす影響について具体的かつ分かりやすく解説されています。著者はジャーナリストとしての経験を活かし、表面的な情報ではなく、現地で現地の言語で取材した生の声を交え、真実に迫っています。
こと本の特徴は、一般的な中国のイメージと現実のギャップを丁寧に説明し、日本がいかにして隣国である中国と向き合うべきかを考察している点です。本書は、中国の問題点だけでなく、そこに潜む可能性や学ぶべき点にも焦点を当てています。そのため、偏見や固定観念を取り除き、冷静かつ客観的に中国を理解するための良書といえるでしょう。
また、平易な言葉で書かれているため、専門知識がなくても読み進めやすく、学生からビジネスパーソンまで幅広い読者におすすめです。日本と中国の未来をより良い形で築くために、読者が自身の考えを深めるきっかけを与えてくれる一冊です。
とはいえ、やはり私は『親中』にはなれませんが🥺