国政選挙ストレスから逃れたくて家の近くの大阪系回転寿司チェーンに行ってきたので一小説を書いてみた。
魔女木直樹は、久しぶりに外資系ピザチェーンの味を懐かしむでもなく、今日は「庶民の回転寿司屋さん」へ足を運ぶことにした。現在は熱心な撮り鉄として知られる彼の日常には、ちょっとした非日常が必要だった。さらに、彼は4歳年下のペットである雷の妖精さんを伴っての外出だ。雷の妖精さんは、その名の通りどこか神秘的な雰囲気を纏った青年で、直樹とは異なる視点で世界を見ていた。
午前11時、空は高く、雲一つない秋晴れの下、二人は自宅から歩いて5分の場所にある回転寿司屋さんへと向かった。店内に入ると、寿司が回る軽快な音と、客の楽しげな話し声が彼らを迎えた。
「久しぶりの寿司だね、直樹さん」と、雷の妖精さんが目を輝かせながら言う。
「うん、せっかくだから、いろいろ食べてみようか」と直樹。
彼らは席に着き、まずは130円の寿司を注文した。昔は回転レーンからそのままとる形式だったが、防犯対策とやらでタブレットから注文してそれを注文品レーンで運ぶ形式となったらしい。昔の風情がなくなったことは正直言って悔やまれるが。マグロの赤身は、口の中でとろけるような食感で、二人は思わず頷き合う。次に280円の寿司、3種類の軍艦巻きを選び、これもまた一口でその違いを感じ取った。
「やっぱり、ここの寿司はコスパがいいね」と直樹。
「うん、特にこの軍艦巻きは美味しい。でも、次は何にする?」と、雷の妖精さんは回転レーンを眺めながら問う。
そこで直樹は、少し冒険してみようと280円のラーメンを注文した。ラーメンが運ばれてくると、湯気と共に広がる出汁の香りが食欲を刺激する。
「ラーメンもいいね。こういう庶民派の味、たまにはいいもんだ」と、直樹はラーメンをすすりながら言った。
二人は食事を楽しみながら、最近のSNSの話題に触れた。直樹は、SNS上で見かける根拠の薄い陰謀論について、少し苦笑しながら話す。
「最近は、笑えるネタだって思ってたら本気で信じちゃう人が多いんだよね。実害も出てるし、ちょっと心配だよ」と彼は言う。
「情報の海は広大だから、どこに真実があるか見極めるのが難しいね」と、雷の妖精さんは静かに返す。
食事の終盤、直樹はふと、昔のピザの味を思い出しながらも、今この瞬間の寿司とラーメンの味に満足感を覚えていた。食事の後、二人は再び秋の陽光の下を歩いて帰宅する。SNSの荒波を笑い飛ばしながらも、現実の小さな幸せをしっかりと握りしめる。そんな一日だった。
「また来ようね、次は違うメニューも試してみたい」と、雷の妖精さんが言うと、
「うん、そうしよう。次はデザートもね」と、直樹は笑顔で答えた。
こうして、特別な一日の終わりに、彼らは小さな冒険の余韻に浸りながら、明日への小さな期待を胸に家路についた。