なぜウェブマーケティングには根本的な戦略の見直しが必要なのか
市場環境そのものが変わった
前の章では、現在のウェブマーケティングの多くは今ある商品をどうやって販売するかという戦術が中心となっているというお話をしました。
もちろんそれで多くの成果を出している企業様も多いと思います。
ではなぜ、もっと根本的な戦略の見直しから必要だと言えるのでしょうか?
それはウェブとスマホの登場は、貴社の市場環境そのものを変えてしまったということを考える必要があるからです。
例えばわかりやすい小売業で考えてみましょう。
家具や家電、文房具や衣服など、メーカーから仕入れて販売するのが小売業です。
このような小売店は、地域密着で行っている会社がほとんどあり、岡山市や倉敷市などある程度の商圏が決まっています。
競合となるライバル店も、その商圏内の限られた数件でした。
しかしインターネットができてからはいかがでしょうか?
既にありとあらゆる商品がネット通販で販売されており、仕入れ品であればまったく同じ商品が貴社よりも安い価格で売られているのではないでしょうか?
競合に至っては全国の同業者や、アマゾン・楽天・Yahooショッピングなどがライバルになり、従来の商圏における競合数とは比になりません。
これは小売だけでなく、保険・証券などの金融業、旅行代理店、英会話などのBtoCサービス業にも同じことが言えますし、印刷業、事務機、広告などの一部のBtoB事業者も同様です。
このように爆発的に競合が増加した状況では、どこにでもある商品や他社と似たような商品の集客方法や販売方法を変えるだけでは限界があります。
つまりインターネットで起こった市場環境の変化、特に過去になかった新しい競合への対応を考えることこそが、地方の中小企業のウェブマーケティング成功への近道なのです。
結婚式場や葬儀ホールなどの現地施設利用型ビジネスも
結婚式場や葬儀ホールなど、その場所に行かないとサービスを受けられない商品の場合、前述のようにネット通販やネットサービスに代替されることはほとんどありません。
しかし集客における新しい競合の登場という観点では全く同じなのです。
例えば葬儀ホールの場合なら、「小さなお葬式」「イオンのお葬式」などのポータルサイト(紹介サイト)がたくさんあります。
これらは実際にはホールを持たず、ネットを活用した集客だけを行い、その紹介料で稼ぐビジネスモデルが中心です。
ネット検索していただくとわかりますが、そのようなポータルサイトが何個もあり、それぞれがネット広告やSEOでしのぎを削りあって集客をしています。
このように東京に本社のある大企業が集客の競合になるということは多くあるのです。
歯科クリニック・造園業などの技術提供系の事業者も
技術を提供する企業もなかなかネットサービスには代替されません。
その場で行う必要性が高いからです。
しかし集客における競合は上記の葬儀ホールなどと同じです。
また、歯科クリニックや造園業などは、従来商圏がとても狭いビジネスでした。
特に病院は法律上の問題でテレビや雑誌などで広域に広告をうつことが難しいですから、地域の看板や学区内の口コミでの集客が中心であったと思います。
しかし今ではホームページやSNS、Googleビジネスプロフィール(GoogleMAP)などを駆使して、広域から集客するところが増えています。
そうなると今までの商圏以外の同業者も競合となりますから、やはりウェブの登場で市場環境(競合性)が大きく変わったと理解する必要があります。
このようにウェブというのは自社の集客がやりやすくなったメリットはもちろんですが、今までの概念にはない新しい競合を生んでしまった、超競争環境であるということを忘れないようにしましょう。
戦術中心でなく根本的な戦略から考えるウェブマーケティングに
そう考えると、今まであつかっていた商品をただウェブサイトやSNSを活用して多くの人に見てもらうような戦術レベルのウェブマーケティングではやがて限界が来るのではと思います。
それは商品やサービスの価値そのものは全く変わっておらず、見せ方などのテクニックで集客しようとしているからです。
また、たとえばTwitterでバズらせるような集客がうまくいったとしても、その効果は一時的です。
また、Twitter自体が衰退してしまったり、閲覧者が減ってしまうと意味がありません。次のSNSマーケティングをやり直す羽目になってしまいます。
それよりも商品やサービス自体の価値を高め、新しい競合と比較されたとしても、お客様から選ばれる理由が明確になっていれば、自然とその価値が広がっていきます。
それがウェブの最大のメリットでもあります。
このようにウェブとスマホの登場で市場環境(特に競合性)自体が変わってしまったため、他にはない価値を提供できる企業だけが生き残れる時代となりました。
それがウェブマーケティングが根本的な戦略から考え直す必要がある最大の理由です。