国債の償還について

 2024年3月28日に令和6年度の予算案が参議院本会議で可決成立した。
 一般会計の総額が112兆円で歳入に占める国債の割合は特例公債、建設公債あわせて31.2%、額にして約35兆円である。
 一方歳出に占める国債費の割合は24.1%で額にすると約27兆円になる。

歳出のほぼ4分の1が国の借金の返済に充てられ、2024年度予算の一般会計では、社会保障費と地方交付税交付金、国債費の3つの経費が歳出全体の73.6%を占めている。

高齢化や国債の発行残高の増加に伴って、ほかの政策に使える予算の余地がどんどん小さくなり、財政の硬直化が進む状況と指摘されている。
 

借りた金は返すというのは当たり前のように思うのだが、財務省の資料によれば、国債償還のルールについて諸外国は財政黒字になれば償還すればよいとして明示的なルールを設けていない。
 これに対して日本だけが財政赤字でも償還するというルールを設けており、60年かけて償還している。
 しかも、借換財源についても諸外国は国債発行により調達と明快であるのに対して、日本は一般会計からの償還費の繰り入れにより調達としている。
 表面的に国債発行を繰り返し財政支出をしているように見えても、まったく景気に対する効果を発揮せず、景気を低迷させ、かえって財政赤字を拡大させている要因になっているのではないだろうか。

 国債を35兆円を発行しているように見えて、実質は8兆円しか発行していないことになる。しかも諸外国では財政赤字であれば償還していない17兆円を償還しようとしている。
 さらに想定金利を1.1%から1.9%に上げて利払費をあえて10兆円近くに見積もっている。
 確かに日銀はマイナス金利を解除する方針を発表したものの緩和的金融政策の方針は継続して維持するとも語っており、市場は株式市場も為替市場もその意図を正確に読み取っている。ひとり財務省だけが想定金利を都合よく上げて利払費を増額しているのである。
 おそらく、実際には実質金利はずっと低くこれほどの利払い費を払うことなく、返す必要のない債務の償還に充てられることになる。

 このように財政支出を抑制して債務の償還に回してきたため、国民は老後に備えて消費を抑制し景気が低迷し需要不足により、物価が低迷しデフレスパイラルが起きていた。国債発行しても償還を続けている限り景気が高揚することはないから、需要不足が発生しさらなる国債発行の要望が強くなる。国民の貯蓄残高が高くなっても老後が不安である限り生活防衛のため国民が消費に回すことはない。
 賃金が高くなっても、物価高に加え、国民所得の公的負担割合が50%近くになっている以上、これまた国民が消費にカネを使うことはない。
 
 財政赤字は実は財務省が主導する財政政策が作り出す結果に他ならない。

 このような政策を採り続ける限り日本の景気が真の意味で浮揚することはないだろう。

参考文献
諸外国の債務管理政策等について

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/gov_debt_management/proceedings/material/d20150417-4-2.pdf.pdf



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