naoki0921

小さな会社を経営 政治・経済・経営・法律・行政・読書に興味あります。

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最近の記事

仮説と憶測

1 はじめに  SNSでは、事実なのか意見なのか判然としないまま記述する方をよく見かける。事実と意見を区別して論じることは大事だ。ただ、意識的に事実と意見を混在させて読む人を自説の結論に導こうとする高等テクニックを使う人も中には存在しており、読み取る力が必要だ。  事実に基づかない意見には仮説と憶測がある。 「仮説」と「憶測」は、どちらも事実に基づかない推測や考えを指すが、その使われ方や目的には明確な違いがある。

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    • 兵庫県知事選挙について思うこと

       テレビや新聞は選挙期間中あまり選挙については報道せず、選挙後になって期間中起こっていたことを報道するので、選挙には影響を与えないとはいうものの、選挙に関する情報があんまり得られないまま投票することになりかねない。  もちろん選挙公報等は参考にするのだけれど政策で決めろと言われても、どの候補も抽象的で美辞麗句を並べているにすぎず、決め手にはならない。  そこでネットニュースやSNSを閲覧することになるわけだが、これが凄まじい選挙戦を繰り広げているようなのだ。ようなのだという

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      • 物価高対策としての給付と減税の比較

        衆議院議員選挙の争点である物価高対策。 自民党や立憲民主党は給付を主張し、それ以外の野党は消費税の減税を主張している。いったいどちら政策が物価高対策として有効なのだろうか。 1 給付のメリットとデメリット (1)メリット ①迅速な効果  給付は直接的に人々の手元に資金を届けるため、すぐに消費や生活支援に役立つ。 ②ターゲットを絞れる  給付は低所得者層や物価高で特に影響を受ける層に集中して行うことが可能だ。これにより、経済的に脆弱な人々を優先的に支援することができる。

        • 兵庫県知事の「自分は正しい症候群」について

          1 「自分は正しい症候群」(または「正しさの幻想」)とは、自分の意見や信念が常に正しいと感じ、他者の意見を認めることができない心理的傾向を指す。これは、特に議論や意見交換の場で目立つ現象で、個人が自分の考えに固執し、他者の考え方を柔軟に受け入れられない状態を表す。  兵庫県知事のふるまいを見て違和感をもつのは、百条委員会において、公益通報者保護法の運用に誤りがあったとする専門家の指摘が相次いでいるにもかかわらず、当初の通報者探しは誤っていないと主張する頑な態度だ。  行政

          「日本の財政」(佐藤主光著)を読んで思ったこと

           戦後、1965年、佐藤栄作内閣の時代に赤字国債が発行されて以来、いまや国債、地方債の残高はあわせて1200兆円に上る。  この一見膨大な量に見える国債残高を評して、財政破綻の可能性や、財政の持続可能性、財政緊縮や財政再建を主張するのが財務省、財政学者の立場である。  本書の著者もガチガチの財政学者なので、当然ながら財政赤字の問題点を指摘し、財政再建のための緊縮財政を主張する。  その骨子は、  ①効果的な支出「ワイズスペンディング」へ(第四章1節)  ②企業・産業の新陳

          「日本の財政」(佐藤主光著)を読んで思ったこと

          企業にとって大事なこと~売上か利益か

          1 売上とは  売上=単価×顧客数に因数分解されるから、売上を上げようと思うと、単価を上げるか、顧客数を伸ばすかのいずれしかない。  デフレと言われる経済状況では、単価を上げると顧客数が減少してしまうことが明らかだったので、企業は単価を現状維持どころか価格競争をしてまで単価を引き下げ、顧客数を獲得して売上を維持してきた。  単価の現状維持や価格競争による単価の引き下げは、従業員の賃金抑制や非正規労働者の増加すなわち総人件費の抑制という形でしわ寄せされた。  しかし、コロ

          企業にとって大事なこと~売上か利益か

          財政再建の是非(3)

           朝日新聞と東大谷口研究室が共同で、財政赤字についての自民党総裁選の候補者にアンケート調査を行っている。 (A)国債は安定的に消化されており、財政赤字を心配する必要はない (B)財政赤字は危機的水準であるので、国債発行は抑制すべきだ  聴き方がいやらしい。財政再建の要否もしくは是非を端的に尋ねればいいものを、国債の発行に絡めて聞いているので、答え方が難しくなる。  日銀が国債を大量に引き受けている状況ならば、国債は安定的に消化されていると評価できるだろう。しかし、日銀が国

          財政再建の是非(3)

          緊縮財政がもたらす日本経済への影響について

          一 緊縮財政によるメリット1. 政府債務の減少  緊縮財政が成功すれば、政府債務の削減につながる可能性がある。これにより、長期的には財政の健全化が進み、将来の財政危機を回避することが期待される。この過程で非ケインズ効果が唱えられることがある。すなわち、財政引締めによって財政再建がなされると、財政に対する人々の将来への不安を打ち消すことになり、その効果で現在の消費や企業の設備投資が刺激され、経済が成長するという理論である。つまり、緊縮財政により経済成長が見込めるというのである

          緊縮財政がもたらす日本経済への影響について

          財政健全化の是非(2)

          #日経COMEMO #NIKKEI  この文章だけを読めば、GDP比200%以上の政府債務残高を抱える日本の財政は、英国と同じように「金利が急騰して国債や円、株価が急落」しそうなものだが、日本では起きていない。その理由を指摘しないまま、巨額の政府債務残高を抱えた国が拡張的財政運営をすれば、国債金利が急騰し財政運営の修正を迫るはずだと主張するのはミスリードにほかならない。  対外純資産/GDPや政府債務対外債務比率で比較してみれば、英国に比べ日本の財政は健全である。だから金利

          財政健全化の是非(2)

          財政健全化推進の是非

          政策研究大学院大学客員教授の井堀利宏氏は日経新聞の経済教室欄で財政健全化の推進を強力に主張した。以下氏の論考について検討してみたい。 1.日本の経済状況についての認識と欧米との比較  平時の経済状態とはいったいどのような状態を指すのだろうか?コロナ以前から日本経済はデフレと評価され金融緩和を実施していたではないか。コロナ危機の非常時から脱して日本経済はデフレ状態からも脱し、景気が上昇している経済状況と認識しているのだろうか。  欧米が財政・金融両面から引締め政策を実施し

          財政健全化推進の是非

          「人質の法廷」里見蘭 著 読書感想文

          ときにフィクションはノンフィクションよりも現実の問題点を浮き彫りにすることを示唆する作品だ。 国連からたびたび人権侵害を指摘されながら、21世紀の今日でも被告人の起訴後勾留を延々と続け、身体を拘束して自白を強要し黙秘権を事実上侵害している現実。 前近代的な糾問裁判観を引きずりながら、弾劾裁判観の法律の下で旧来の運用を維持し続けている。  大河原化工機事件やプレサンス事件、村木事件のような事後明らかな無罪事件なら、そもそも無実の人をずっと拘束していたのだから、起訴後勾留の

          「人質の法廷」里見蘭 著 読書感想文

          刑事司法の前近代性

           日本の文化に多大な貢献をしてきた角川歴彦氏も自分が逮捕・勾留される立場に置かれる日が来るとはよもや思わなかっただろう。自分が被疑者・被告人の立場に立ってはじめて日本の刑事司法の前近代性、世界の潮流から全く遅れた人権保護とは程遠い現実を目の当たりにすることになる。犯罪を犯している自覚があるならともかく、違法性の意識が全くなければ、この状況は耐え難いはずである。  しかし、善良な一般市民と同様角川氏も自らが被疑者・被告人となるまではこの前近代的な刑事司法の在り方を強烈に批判す

          刑事司法の前近代性

          いったいどっちが正しいのか

          最近読んだ二つの記事。積極財政論と緊縮財政論、いったいどっちが正しいのだろう。 日本経済がこの30年間ずっと低迷していたという事実と財政赤字の拡大という事実、この二つの事実を前にして、まったく異なる評価をする主張が存在する。よって立つ立場が違うといえばそれまでなんだろうが、いったいどちらの主張が正しいのだろうか。 財政制度等審議会財政制度分科会において財務省は、『拡大する財政出動の結果、過去20年で政府債務残高は約2倍となったが、名目GDPはほぼ横ばい。積極的な財政運営が

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          日本経済の現状と将来についてChatGPTに聞いてみた!

          一 はじめに 1 消費増税や社会保険料で可処分所得が減れば、需要の拡大は見込めないのでは? 2 社会保障制度が不安定なまま、老後の自助努力を国民に求めるのでは、ますます消費は低迷するのでは? 3 政府の政策に対し国民が対策を施した結果デフレが続き、岸田政権の政策が明確でないから混乱が続いているのでは? という疑問に対しChatGPTにきいてみた。以上の質問は論者の立場によって異なる解答が予想されるが、ChatGPTならどう答えるのだろうという素朴な疑問からだ。 二 C

          日本経済の現状と将来についてChatGPTに聞いてみた!

          MMT(現代貨幣理論)はどこがまちがっているのか?

          一 MMTとは  MMT(現代貨幣理論)とは、通貨発行権を持つ国では、自国通貨が自由に創出されるため、自国通貨建て政府債務の不履行(デフォルト)は生じないと説く理論である。したがって、この理論に基づけば、巨額の財政赤字を抱えている国でも、景気安定に必要ならば自国通貨建ての債務を更に増やし、インフラ投資などを行うべきということになる。    しかし、この理論には主流派経済学と言われる新古典派経済学者からの批判が強い。中央大学法学部の国枝教授が、公益財団法人日本証券経済研究所での

          MMT(現代貨幣理論)はどこがまちがっているのか?

          生産性の向上についての考察

          巷間でいわれる、経済成長を遂げるためになぜ「技術」の向上が大事なのか、いまいちピンときてなかったが、本書を読んで納得できた。 GDPを拡大させる、すなわち経済を成長させるためには、「資本」と「労働力」と「技術」の三要素が重要で、「資本」と「労働力」があっても「技術」がなければ付加価値を向上させることはできないという。 資本には内国資本と外国資本があり、国内への投資を増やすためには魅力的な市場にならなければならない。 労働力は、少子高齢社会の日本では「高齢者」「女性」「外

          生産性の向上についての考察