独立開業で失敗する人、成功する人。
一 はじめに
2009年に独立したので、独立開業してからはや15年。よくぞ続いたなと自分でも思うけど、とても気になる記事を見つけたので、書いてみたいと思いました。引用している記事にあるようなパターンだと高い確率で失敗しそうだなと思います。
二 開業前に気を付けておくこと、やってはいけない6つのこと
独立開業するときに気を付けないといけないことはたくさんあります。
以下の項目に該当しないように気を付けた方がいいです。ただでさえ不安定な分野に進出するのに、成功確率を高めない手はありません。
①未経験の仕事で独立開業する。
国立大学を卒業して、財閥系の重工業企業に勤めていたのに、あこがれていたパン屋を開業する点にリスクを感じる。
一般的に参入障壁が低い業種は競争が激しいので薄利多売になりやすい。
参入障壁が低いので自分でもできるかなと思うのだが、とくに飲食業界は参入者が多く入れ替えが激しいので、未経験では難しいと思うのが普通だが、安易に考えている。
②パン屋さん開業のためのスクールに通う。
社会人なら誰にでも経験あると思いますが、本や学校で学んだことが実社会では通用しないことが良くありますよね。いくら学んでも経験を積まなければ実践力は身につきません。スクールに通うよりもパン屋に就職して実践的な経験を積んだ方がいいです。これはどんな職種でもいえることです。未経験で独立開業は無謀以外の何物でもない。
③退職してから妻に相談する。
独立開業してから、一番味方になるのは配偶者です。配偶者を説得できないようでは独立開業はおぼつきません。独立前に相談して理解を得るのは必須です。働く時間も含めて家族との共有する時間は会社員時代と比べて激減するはずです。だからこそ、家族の理解を得ることを真っ先に優先しなければなりません。
④退職金と自己資金のみで開業する。
借金がなくて一見理想的に見えますが、借入のために金融機関に事業計画をチェックしてもらうことは大事です。もし、1000万円を借り入れるとしたら損益分岐点や固定費、変動費など事業計画は厳しくチェックされるでしょう。安易な独立開業などできなかったはずです。
⑤労働時間を気にする。
労働時間を気にしている時点で、雇われ意識が抜けていない。たとえ従業員を雇っていたとしても最も働くのは社長であるべきです。経営者自身が労働時間が・・・と気にしている時点で成功確率が低くなりそうです。夢中になって働いて普通です。
⑥撤退基準を設けない
10年続けたと書いてあるので、続けること自体は評価できるのですが、経営がうまくいくか行かないかの見通しが立たないまま惰性で経営を続けた印象が強いです。
損益計算書や貸借対照表、キャッシュフロー表などを作成して、いつまで赤字が続けば事業の継続が難しいのかの見通しを立てておくのは大事です。
3か月赤字が続いて撤退するのは早すぎるけど、3年赤字が続いて撤退しないのはどうかしてる。
撤退は退職や転職以上になかなか勇気のいることですが、見切りをつける基準をあらかじめもっておくことは大事です。
二 事業計画の重要性
事業計画がしっかりしていれば、多少赤字であっても資金繰りがうまくいっており、不動産などの担保があれば信用金庫は貸してくれます。
ざっくり見積もって、パンを毎日200から300個焼いていたというので、仮に完売すれば1個あたり200円とすると毎日4万円から6万円の売り上げがあり、30日働けば120万円から180万円の月間売上を確保できる。20日間でも80万円から120万円の月間売上を確保できる。
平均して100万円ほどの月間売上を確保できていれば、固定費や変動費、原材料費にもよりますが、なんとかやっていけそう。
でも、結局売上の算段や利益の確保は経験がものをいうので、独立開業する前に給料をもらいながら実戦経験を積んだ方がいいでよね。
現実は半分ぐらい売れ残っていたというので、まずは売れ残らない方法を考えなければならないでしょうが、その後続けていくには経営努力と意欲の問題でしょうね。なんで、半分も売れ残ることが分かっていて200個も300個も焼くのか理解に苦しみますが、それは外側からみた素人の判断かもしれません。
心身ともに疲れて・・・と記載されていたので、そうなる前に多くの手を打つべきことがあったと思いました。特に家族の問題は独立開業に重要な課題だと思われます。そこを軽視していたがゆえに大きなブーメランとなって影響を与えたと思えてなりませんでした。
「勝ちに不思議の価値あり、負けに不思議の負けなし」野村克也
経営にも同じことがいるように思います。