物価高対策としての給付と減税の比較

衆議院議員選挙の争点である物価高対策。
自民党や立憲民主党は給付を主張し、それ以外の野党は消費税の減税を主張している。いったいどちら政策が物価高対策として有効なのだろうか。

1 給付のメリットとデメリット


(1)メリット

迅速な効果
 給付は直接的に人々の手元に資金を届けるため、すぐに消費や生活支援に役立つ。
ターゲットを絞れる
 給付は低所得者層や物価高で特に影響を受ける層に集中して行うことが可能だ。これにより、経済的に脆弱な人々を優先的に支援することができる。
消費を促進
 給付金は多くの場合、すぐに消費に回されやすいため、消費を刺激し、経済全体の活性化にもつながる。


(2)デメリット

一時的な効果:
 給付金は一度使われると効果が薄れるため、物価高が続くと継続的な対策が必要になる可能性がある。
財政負担:
 政府の財政に大きな負担をかける可能性があり、財政赤字が問題となる。


2 減税のメリットとデメリット


(1)メリット

長期的な効果:
 減税は持続的な効果が期待でき、物価高の影響を長期にわたって緩和することができる。所得税や消費税を減税すると、家計の可処分所得が増えるため、生活費の負担が減る。
②経済成長を促進:
 減税は企業の投資や家計の消費を刺激するため、経済全体の成長につながることがある。


(2)デメリット

①公平性の問題
 減税は広く適用されるため、所得の高い人も低い人も同じように恩恵を受けることになる。物価高の影響を強く受ける低所得者層に十分な支援が行き届かない可能性がある。
即効性に欠ける
 所得税減税の場合は効果が徐々に現れるため、短期的な物価上昇に対する即効性は給付に比べて低い。
③財政負担
 
消費税減税に伴う財源確保の問題は常に付きまとうだろう。国債で補填するとしても。


3 まとめ


 短期的には、給付が即効性が高く、特に低所得者層への支援として有効だ。一方で、長期的な視点では、減税とくに消費税減税は家計や企業に持続的な恩恵を与え、経済成長を促進する可能性がある。
 日本経済が30年の長きにわたって低迷を続けたのは、バブル崩壊後の対応を誤ったほかに、消費増税や社会保険料の引き上げによって急速に国民負担率が上昇したため、国民の可処分所得が減少しそのため消費需要が低迷し続けたことに大きな要因がある。
 そう考えると、消費税減税の方が物価高対策の政策として優れているようにも思うが、財務省はとても嫌がる。なぜなら、いったん下げた税率を再び上げるのは至難の業であるからだ。同じように財政支出するのなら給付を行った方が支出の際に権限を行使することができるから、給付のほうが好ましいのだろう。ガソリン価格高騰の際に、二重課税になっているガソリン税を減税することなく石油業界に補助金を支出し続けた構造と似ている。
 自民党や立憲民主党が頑なに消費税減税を拒否し給付にこだわる背景には財務省の意図が隠されているのだろう。バカバカしい限りである。


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