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マッチングアプリ・モラトリアム|ナオイの日記

湿気の深い森に迷い込んで、だいぶ具合が悪い。
あまりに体調が悪いので、22時ごろには寝たというのに翌朝の寝覚めが悪すぎて会社を辞めそうになった。
すぐ辞めそうになる癖がある。気合いが足りないのだ。
会社の後輩に言ったら、昨晩の湿気はすごかったと言っていたから納得した。冷房をいつもより下げても、全く快適にならなかった。
ドライにするべきだったのかと後悔して、今まさにドライでエアコンを運転させている。
だいぶ良い。人間は考えて行動せねばな。


週末にマッチングアプリの相手とお茶をした。
会うと言うイベントに進むのは久々である。全く出会いがないまま、中年に突入せんとしている状況を憂いて、アプリを登録して2年ほど経つ。
懸命に毎日いいねして返事する期間があれば、なんもかも放り出している期間もある。
1番の友人が、ついに婚活スイッチを入れて頑張り始めたのを機に、私もなんとなく眠らせていたアプリを再開したのが2ヶ月ほど前。
ひとまず送られてくるいいねに、なんとなくいいねを返し、コメントが来たら、好意的な雰囲気のコメントと絵文字を打って返す。
その繰り返し。

彼氏は欲しい。久々に恋もしてみたい。結婚もできるならと思うし、子供だってもうけることができるならばもうけたい。
だから、現実に出会いがないからにはアプリに登録しているわけではあるが、なんというか進まない。
なぜ進まないのかといえば、私にやる気がないに尽きるのだな。
こんな覚悟のない状態でアプリをやっているのは、お金を払っている男性会員様に申し訳ないとは感じているが、彼氏は欲しい。恋もしてみたい。結婚もできるならと思うし、子供だって以下略の気持ちは実際にあるのでやらないよりはやったほうがいいと思っている。

友人からはマッチングアプリそのものがあってないんじゃないかと言われるが、それは確かにそんな気がする。


アプリを使っていて、ずっとモヤモヤしている。
一体このモヤモヤはなんなのだろうと感じていたが、先日その一端に気がついた。

私は自分のことを知られたくない。そして、例え好きな人ができても、私は相手のことを知りたいと思わない、と言う事実にたどり着いたのだ。
『好きになったら、相手のことを知りたくなる』と言う前提で、恋愛漫画や恋愛ドラマを見てきたから、そういうもんだと思ってきた。
ところが、私の中にはそれがないことに気がついたのである。

そういえば十代の頃、素性の知らないできれば名前も知らない人と、惹かれ合うまま結婚することが理想と思っていた。

令和四年の現在、中年に突入せんとする今、名前も知らない人と結婚するなんてことが非現実的だということぐらいは理解しているが、その理想はいまだに遠くない感じで体の中に残っている。


マッチングアプリのように知らない人と仲良くなりましょう、と言う場には、必然的に、お互いのことをわかりあうための質問のやりとりが発生する。
私も形式上、やるものだと思って質問を投げていたけど、知りたくもないのにこんなことしている自分にモヤモヤしていたのだと気がついた。

しかもそれ以上に、私は他人に自分のことを把握されることを絶対的に嫌う性分なのだ。
死んだら、全員私のことを忘れて欲しいと思うくらい、認識されたくないと思っている。

しかし、なんとなくの「人となり」がわからない限り、次のステップ=会うには進まないに決まっている。会わなければ、恋も結婚も何もかも始まらない。
そのくらいのこと、わかっているので、何も知りたくない症候群の自分の性根に大人の対応をして、なんとなくアプリを続けている。
そんな状態なので、とにかく向こうから会いませんかと言われたら、流れに逆らわず基本マストで「いいですね」と答えることにしている。
しかし、私が乗り気に見えないから、一向に誰も会いませんかとは言ってこないのである。


先日、本当に久々に、アプリで誘っていただいてお会いした方は、思った以上にいい人だった。
ひとまわりほど上で、バツイチの方。
自分にはちょうどいいと思っている。何より大学生の娘さんと同居しているというのだから、これは、明らかにちゃんとされている方だ。
信頼できる。
お話しした感じもとてもいい雰囲気だった。

そう、とてもいい人だったのでこれまた困ってしまった。
いい人だと言うことになると、これは本当に恋愛や結婚を前提で進まなければいけなくなる。
困った。
とても人間的に素敵な方だと思うのでこの先もお会いすることは、ヤブサカではないが、全く恋愛感情や好意は無い。
この先いつか生まれるかもしれないが、アプリから出会っている以上、恋愛や結婚を前提にしないで会うわけにはいかないはずである。
お会いすることはヤブサカではないが、会わなくても済むなら会いたくない。

困ったぞ。
次回のランチの打診をいただいてしまったけれど、とても気が重い。湿気のせいかもしれない。返事を返せない。気合いが足りない。
みんなこんなとき、どうしているのだろう。
困った困った。

8月中旬の某日。

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