「有事の金」は正しい? 金投資の考えかた
先日、金の小売価格が過去最高額を記録したという記事がでていました。
「有事の金」とも言いますが、金(ゴールド)は投資する価値がある資産でしょうか?
私の考えを書いてみたいと思います。
金に投資する意味
金(ゴールド)の特徴として、経済不況、戦争などの有事に強いと言われています。
一例として、投資信託の値動きを「株式」と「金」で比較してみます。
下のチャートの青色線が「全世界株式」、ピンク線が「金」の値動きです。
2020年の2月~3月に、コロ〇の影響で全世界株式が大きく値下がっていますが、金はそれほど変動していないことが分かります。
このように、株式と値動きが異なる金を持っておくことで、投資している資産全体の値動きを安定化する効果があります。
一般的には、5~20%くらいの割合で金を保有するのが良いと言われています。
いまは有事だから、金を買うべき?
なぜ今、金の価格が上昇しているのでしょうか?
いろいろな背景があるでしょうが、値上がりの理由を一言でいうと、
「買いたい人が多いから」
買いたい人が多いと、「本来の価値より高値になっている」可能性が出てきます。
したがって、「いま金を買うべきか?」と聞かれたら、
私ならこう答えます。
「いまは買うのではなく、売るタイミングです」と。
有事の金というのは正しいと思うのですが、
それは「有事のときに買うのが正しい」のではなく、
有事に備えて、有事じゃないときに買っておく、のが正しいんですよね。
もし、私がいまから金投資を始めるなら、このようにすると思います。
一度に買わず、数年間かけて、少額ずつ積立投資をしていく
もし、今後大きく値下がったら、そのとき買い増しする
プラチナ投資という選択肢
金以外の貴金属投資として、プラチナ投資があります。
近年は金よりもプラチナ価格が高い期間が長かったのですが、ここ数年は逆転しており、金の価格が高くなっています。
とはいえ、「プラチナが買いどき」かは分かりません。
歴史的にみて安値というわけではありませんし、プラチナが金より安くなっているのはそれなりの理由もあります。
(プラチナは金より工業用途の比率が高く、景気変化やテクノロジーの進歩の影響を受けやすい)
プラチナも、もし投資するなら方針は金と同じだと思います。
結局、どうしたらよい?
金投資について、私なりの見解をまとめたいと思います。
(あくまで個人的な考えなので、ご了承ください)
①少額投資なら不要
投資資金が少額の場合は、王道の全世界株式インデックスファンドのみ、あるいは株式や債券などを含むバランスファンドのみでOK。
あえて金を保有するメリットはそれほどない。
②高額投資なら保有してもよい
運用金額が大きくなるほど、運用資産全体の値動きを小さくする必要性は高くなる。
そのため、値動きを安定化するために、金(やプラチナ)を少しずつ取り入れてもよい。
資産運用でもっとも大事なのは、投資のタイミングではなく、資産の保有割合です。
いろいろな情報に惑わされることなく、きっちり自分の資産割合を決めて、それを守っていくことが、堅実に資産を増やすことにつながる。
私はそう考えています。