クリティカルシンキングとロジカルシンキングの違い〜緻密でロジカルな人が苦戦するクリティカルシンキング習得の壁〜
チェックが得意で、他人の成果物をフィードバックすると色々な指摘をくれる。そしてその内容は「確かに」と思える。ミーティングでのディスカッションも得意。色々な人の過去の発言を逐一覚えていたり、ヌケモレがあると指摘できる。
トータルの印象として、細かさと厳しさが強い印象になる。そういうタイプの人、近くにいませんか?頭の良い人に一定割合いる印象です。
こういうタイプの人、実はクリティカルシンキングが苦手な傾向にあるように思えます。
・現在の
・目の前に存在する
・文字・数字・図などのドキュメント
これらを満たす領域が得意すぎて、ついクリティカルシンキングすることを忘れるのです。ロジカルシンキングのスキルは高く発揮されているけど、クリティカルシンキングのスキルは発揮できていない。ここに本質があるようです。
クリティカルシンキングとは
クリティカルシンキングとは、正しい意思決定を行うための思考法です。ビジネスの場では様々な状況下で、正解と解法が見えない中、重要な決断をしなければならない状況が頻発します。そんなとき、いかに、"正解"と言えないまでも"最適解"にたどり着く可能性を高めるか?一つの見方だけでものごとを判断すると間違った意思決定になりやすい。だから、ものごとを多面的に捉えて本質を探し出し、なるべく精度が高い(と思われる)決断をするのです。
ロジカルシンキングとの違い
そもそも、横に並べて比較するものではありません。クリティカルにものごとを捉え、最適な意思決定をするための一つがロジック(論理)であり、ロジカルシンキングです。
クリティカルシンキングをやりきるために必要な思考
・ロジック/ロジカルシンキング
・創造性/クリエイティブシンキング
・視野の拡張
・視座の移動(立場を変えてものごとを捉える)
・時間軸の移動(過去→現在→未来とものごとの遷移する様子)
・抽象的思考⇔具体的思考 の往来
軸やレベル感が違う記載ですが、主な思考はこれらです。改めてロジカルシンキングとの比較という視点にもどると、つまり、ロジカルシンキングが出来てもクリティカルシンキングが出来るとは限らないということです。
ロジカルシンキングマスターがクリティカルシンキングする際の注意
他人にああだこうだ言われることに慣れていない人が多いと思います。自問自答するのが一番です。
「そもそも・何のために」を問う
ロジカルシンキングに強いということは、目の前にある仕事のヌケモレを探すのが得意になっているはず。それは良いことです。
気をつけたいのは、ヌケモレがなくなると「そもそも・何のためにその仕事があるか?」という目的です。論理的に穴のない仕事は質が高いと言えそうですが、大目的にそぐっていない仕事になってしまわないか?は自問自答に値します。
共通の傾向を探す
目の前にある仕事のヌケモレを確認するとき、一つ一つ指摘するのもいいですが、それらに共通する要素はありますせんか?
「あれも…、これも…、それも…、どれも、…」と逐一拾い上げると自分も疲れるし、指摘を受ける相手がいる場合は気持ちが落ちてしまいます。そんなとき、確認した指摘事項を頭の中で並べてみると、一定の傾向がありませんか?
それが見つかると、一気にものごとの捉え方が深みを増してきます。ツリー構造状のレベル感が把握できるようになるのです。
背景に思いを馳せる
「共通の傾向」に近い要素かもしれませんが、目の前にあるアウトプットを見ながら、「どんなことを考えながら(or考えに至らず)このアウトプットを創ったか?」を考えてみましょう。
それが自分のアウトプットだったならば、今まで気づかなかった自分を発見でき、自分に対処ができるようになります。他人のアウトプットならば、その人がアウトプットする時の「創り方」に対してアドバイスが出来るようになり、色々なケースで再現性の高い成長を促すことが出来ます。
ロジカルシンキングをマスター=すごいこと
そもそもロジカルシンキングをきちんと使いこなせるだけでもすごいことです。プレイヤーやサブリーダーとしては素晴らしい貢献が出来ることと思いますし、事業領域や職種によっては大活躍できます。
その先、組織のトップ・リーダーとして人を導くためには、居心地の良いロジカルシンキングに閉じこもらず、幅広い思考を身に着けましょう。