仲田尚央

UX & Technical Writing Team Leader @Cybozu サイボウズでプロダクトのUIテキストやヘルプを書いています。 『ヘルプサイトの作り方(技術評論社)』 http://amzn.to/2lNsRfH

仲田尚央

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最近の記事

子育て本に学ぶマネジメント術

自分で言うのもなんだが、自分は温厚な人間だと思っていた。仕事で誰かに対して怒ったことは、記憶にある限り一度も無い。そもそも怒るようなシチュエーションがほぼ無いというありがたい環境にいることも理由だが、たとえ感情が荒ぶることがあったとしても、それはすぐに抑え込み、けして表には出さない。チームのメンバーに「この人には何を言っても大丈夫」と思われることはマネージャーとして必須だと思っている。 それなのに、自分の子供に対しては、まったくもってうまくいかなかった。4歳と1歳の育児に奮

    • プロダクト開発におけるテクニカルライターの活動の変化

      Cybozu Advent Calendar 2021の12日目の記事です。 年末ということで最近の活動を振り返っていて、プロダクト開発の現場でのテクニカルライターの活動が、ここ数年で大きく変わったなぁと感じた。単純に言えば、面白くなってきている。もう少し具体的には、次のような変化があった。 プロダクトマネージャー、デザイナー、エンジニアとの協働が増えた プロダクトの方針や重要課題をライターが意識するようになった 変化の背景としては、アジャイル/スクラム開発へのシフト

      • 書評:Strategic Writing for UX(UXのための戦略的ライティング)

        UXライティングに関する数少ない書籍の1つ『Strategic Writing for UX』。ソフトウェアやWebサービスのUIテキストを書く人にはおすすめの本だと思ったので、面白かったところを紹介したい。 未経験でUIテキストを書くことになった人は特に、4章「Apply UX Text Patterns(UXテキストのパターンを適用する)」だけでも読むと良さそう。画面タイトル、ボタンやリンク、ラベル、通知メッセージ、エラーメッセージなどの、UIの代表的な各パーツについて

        • プロダクトは「より人間的に」話すことが求められる

          『人はなぜコンピューターを人間として扱うか」(バイロン・リーブス、クリフォードナス著)という本がある。日本語版は2001年刊行だけれど、原書は1996年で、もう四半世紀近く前に書かれた本。IT分野の本としては、もはや古典。でも、今読んでも相当面白い本だ。 本書は「私たちは、目の前にあるモノが人格を持っていると、無意識のうちに感じている」と主張。著者らの研究や実験の成果が、読み物形式で面白く書かれている。 ここで言われている「モノ」とは、コンピューターのUI、映画やテレビ、広

          文章レビューの健全なやりかた

          文章を書くときに限りませんが、何かを作るときには「成果物のレビュー」というプロセスを必ず通すと思います。誰もが経験する、大事なプロセス。 ただ、レビューってけっこう難しいと思うんですよね。やりかたを誤ると、納得感無くただレビュアーのフィードバックを反映するだけになったり、否定的なフィードバックに落ち込んだりということが起こります。そうなると、いい文章にならないだけでなく、チームのモチベーション低下にも繋がったりします。 私はプロダクトのUIやヘルプを書くライターチームで仕

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          プロダクトのテキストを書くときに気をつけていること(UI編)

          こちらのtakejuneさんのエントリーに触発されて、プロダクトのテキスト(UIやヘルプなど)を書くときに自分が気をつけていることも書いてみます。 書き出すと長くなってしまったので、UIとヘルプで回を分けます。今回はUIのテキストについて。細かい文章の書き方よりも、もう少し抽象的な、考え方や姿勢の話。 ユーザー視点UIとヘルプの両方で共通するのは、ユーザーの視点で書くこと。これが一番重要。もっとも基本的な鉄則で、かつ最も難しいものでもある。気を抜くと、つい自分の視点だけで

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          多様性を支えるドキュメントの役割と、研究会運営にあたっての抱負

          4月。春。新しい仕事が始まる季節! この4月から、情報処理学会に数ある研究会の一つ「ドキュメントコミュニケーション研究会」の運営に携わらせていただくことになったので、抱負を兼ねてnoteを書きます。 ドキュメントコミュニケーションって何だ?って思う人も多そう。研究会のサイトでは以下のように説明されています。 ドキュメントを単なる情報を記述する媒体や手段ではなく、人間同士がドキュメントによってコミュニケーションを取ってつながっていくという、ドキュメントそのものをダイナミック

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          Wikiとか仕様書とか書くときに意識したい「読み手の探し方」

          プログラマーなど開発に携わる人は、仕様書、作業手順書とか、業務フローをまとめたWikiとか書くことが多いだろう。ただ、どうしてもプロダクトの開発者視点になってしまうためか、読んでいて「欲しい情報がどこに書かれてるのかわからない」状況になることが多いと感じる。いくら役立つ情報を載せても、読み手がそれを見つけられなければ全く意味がない。 人はつい、自分の視点でものごとを見てしまいがちだ。でも書き手は、伝えたい情報を読み手の視点で見なければならない。書き手視点を読み手視点に変える

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