After HALLOWEEN
「Trick or Treat…」
人気のないしんとした家の前で、死神の仮装をした少年が呟いた。
「Trick or Treat… もしかして意味がわからなかったのかな?」
死神少年の口元がニヤリと歪んだ。
「お菓子をきれなきゃイタズラしちゃうぞ、って意味だったんだよ」
そう言ってクククと笑った。
「今さら教えてあげても遅いよね」
口元の嘲笑のような歪みを湛えたまま、死神少年は人気のない…あるいは息遣いの絶えたと言うべきか…ひっそりとした家を離れた。
そして死神少年は隣の家の呼び鈴を押す。
「Trick or Treat…」
右手に持つ大きな死神の鎌は、刃先の鋭い光といい、したたる血の色といい、あまりにリアルな出来だった。
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