元祖の味を飲む
由緒あるカレーを食すために、いや、飲むためにこちらへやってきた。
梅雨の蒸し暑さにやられて間違ったわけではない。
丸ノ内線新宿三丁目駅直結、JR新宿駅東口からも至近の、言わずと知れた大型書店・紀伊國屋書店新宿本店。
その地下の名店街を目指す。
目的のお店は
カレースタンド・モンスナック
店内のポスターには「創業昭和39年 元祖サラサラカレー」の文字。
通路を挟んで対面の壁には入店待ちの行列が。
しかし、そこは客回転の速いカレースタンド。
5分ほどで順番が回ってきた。
店内にはテレビ取材の写真や取り上げられた雑誌の切り抜き、来店した著名人のサイン色紙などが貼られている。
おぉ、ピースの二人のサインが並んでいるけど、日付が全然違うな。2年も違う。どうしたんかな。
今回は、名物と言って間違いないカツカレーをオーダー。
合わせてサービスのコーンサラダも注文。
これぞコーンサラダ。
いや、むしろコーン。
サービスだが押し付けないという姿勢がいい。
そして主役のカツカレー
付け合わせは赤い福神漬と刻み青菜。
新宿西口のカレーハウス11(イレブン)イマサと同じ組み合わせだ。
さて、いただきます。
ルーはまさにサラサラ。
粘りは全くない。
今でこそ札幌発祥とされるスープカレーがあるが、その凝った感じとは対極の、安心できる味だ。スパイスを感じるが辛すぎない。
我らが師・ウガンダ先生の名言「カレーは飲み物」が、この店ではそのまま通用する。
そしてカツ。
薄い。が、それがこのカレーには合っている。
揚げたてのカツを噛み締め、カレーを飲む。文字通り、飲む。
サラサラのカレーには、このカツの厚みがちょうどいい。
こちらのお店、全メニューが1,000円以内で、かつ平日は全メニュー100円引き。
全てが庶民のための“いつものカレー”然としていて潔い。
カウンターを切り盛りするお姉さんは無愛想だ。
でも愛はある。しっかり感じる。
カウンターだけのこじんまりしたカレースタンドに、長年愛され続ける要素が満載なのだ。
が、しかし…
あまりに残念。
移転開業するのか、それとも新生・紀伊國屋ビル名店街にラインナップするのか、それとも…
唯一閉店を免れているCLOVEもカレースタンドである。
同じカレースタンドでありながら、フロア内の配置の違いで命運が分かれるのは若干不憫でもある。
閉店まであとわずか。
ぜひ皆さんも飲みに行っていただきたい。