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経営者も顧客視点を忘れないためのクライアントインタビューのすゝめ

毎年恒例のGoodpatch Design Advent Calendar2022の最終日を担当しておりますグッドパッチ土屋です。

今年は僕がグッドパッチの経営者として行っている重要な仕事の一つである「CEOのクライアントインタビュー」について書こうと思います。

グッドパッチのメイン事業であるデザインパートナー事業は、これまで数多くの企業をご支援させていただき、UIデザインから始まった提供価値は、オフライン・オンライン体験を接続するプロダクト開発、事業構想から新規事業立ち上げ、ブランドデザイン、デザイン組織支援など、あらゆる領域に広げ、クライアントの事業成長にコミットしています。

グッドパッチでは、クライアントワークでそれぞれのチームが得た学びや経験を社内でシェアし、組織の力とする活動が頻繁に行われています。CEOのクライアントインタビューはその活動の一つです。

CEOのクライアントインタビューとは?

CEOのクライアントインタビューとは、その名の通りプロジェクト終了後に代表の僕がクライアント担当者にインタビューを実施。ユーザー(クライアント)から率直にフィードバックをもらい、今後のクライアントワークの顧客満足度を向上に繋げる取り組みです。

直接クライアントにプロジェクトに対するインタビューを行い、それを映像に残し、書き起こしもして、全社員に公開しています。

目的としては、顧客の声を元に今後のサービス改善に活かす事と、顧客が現場でどんな価値を感じてくれているかの肌感をしっかり理解するためにやっています。

僕は組織が100人を越えたあたりから個別の案件に関わったり口を出したりすることはほとんどなくなり、事業は完全に担当の役員とGMに任せています。営業段階もプロジェクトの進行プロセスにも僕が出てくる事はほとんどありません。(最近は事業の状況で出てくる事が増えてますがw)

ただ、このクライアントインタビューは社長である僕が顧客視点と現場感を失わないための重要な仕事として3年半以上続けている施策です。

全社にこんな感じで共有しています

なぜクライアントインタビューを始めたのか

このクライアントインタビューを始めたキッカケがあります。数年前にある金融機関向けの講演会に呼ばれた時に、UXの重要性を行員のマネジメント層の方々に語る内容で、そこにいた方々に「皆さんここ最近顧客(ユーザー)の声を直接聞きに行ったことはありますか?それをしないと顧客目線でのサービスなんて作れませんよ」と語った事がありました。

それを言いながら、僕は「あれ、そういえば最近現場から離れてて顧客の声を直接聞きに行った覚えないな。。やばい。。」と自分で話した言葉が盛大なブーメランとして僕に突き刺さりました。

ユーザー体験をデザインする会社の社長が、顧客の声に直接触れてないのやばいでしょ・・とそこからすぐにこのクライアントインタビューの実施を始めたのでした。

どんな風にインタビューを行っているのか

今はリモートなのでZoomで時間をもらっているのですが、コロナ前は直接オフィスに伺いインタビューをしていました。

クライアントからするとプロジェクトに一切関わっていないパートナー先の社長がいきなりインタビューをさせて欲しいと連絡が来るので多少びっくりすると思います。笑

まず、インタビューの目的をクライアントに伝えます。そこで必ず伝えるのは、

・あくまでフィードバックをいただき今後の仕事の改善に活かしたい事
・メンバー個別のフィードバックは基本的に人事評価には影響しない事

あくまで今後の仕事の改善に活かしたいだけなので、メンバー個別のフィードバックも人事評価上プラスの影響はあれどマイナスの影響は出ないようにするので、忖度せずに率直な意見を聞かせて欲しいという事を最初にクライアントに伝えてインタビューをスタートします。

どんな事を聞く?

いつも僕が聞いている内容の一部をご紹介します

・元々顧客が持っていた課題感、プロジェクト組成の背景

グッドパッチにお問い合わせ、もしくはサービス内容に興味をもったクライアントがどんな課題を持っていたのか、社内ではなく外部のパートナーに依頼することになった経緯をまず聞きます。先方の顕在化している課題がなんだったのか、背景を知ることは今後のマーケティング施策に活かせるインプットになります
多くのケースは知見のあるデザイナーがいない、社内のリソースがない、外部の視点を入れてブラッシュアップしたい、もしくは顧客が見えてない課題を特定したいなどが出てきます。

・グッドパッチをパートナーとして選んだ決め手

多くのケースでクライアントは複数の競合に同時に問い合わせをしている事が多いので、ここでどんな競合に当たっていたのか、そんな中でなぜグッドパッチを選んでくれたのかを聞きます。ここで営業時にどんなポイントが刺さるのかが見えてきます

グッドパッチを選んだ決め手の一部

意外と驚かれるのが「グッドパッチのプロセス・ノウハウを持って行って良い」という点。デザインパーナー事業のミッションは、クライアントの事業成長に貢献することです。そのため、アウトプットの納品という単発的な支援だけではなく、考え方・ノウハウ・プロセスなど、デザインの文化がクライアント組織に根付き、デザインの力で継続的に価値を生み出し自走する組織を増やすため、ノウハウは惜しみなく提供しています。

最終的に内製化したいクライアントもこれなら自社にデザイナーがいても、グッドパッチと一緒にやりたいと思える部分です。

・グッドパッチに何を期待をしていたか

・期待と違った部分 (期待値より良かった点、期待値に届かなかった点)

プロジェクトの前のグッドパッチに対する認知及び期待値がプロジェクトを通して、しっかりと期待値通りのアウトプットを出せたのか、期待値以上のものが出せたのか、経営者としては最も知りたいところです。

ここも漠然と聞くのではなく、プロジェクトのフェーズごとにモチベーショングラフを書いてもらい、フェーズ毎でどんな期待値のズレや価値を感じたのかを聞いていくのがポイントです。

インタビュー前に記入してもらっているモチベーショングラフ
インタビューを通して期待以上だった部分の一部

・グッドパッチとの仕事で今後に活かせそうな事はあるか

グッドパッチは一緒に仕事をしたクライアントの組織にプロセスなりデザインの資産なり、マインドセットなり、何かしらのお土産を置いていくことを大切にしています。少なくない金額をデザインに投資していただいているので、数値的成果だけではなく、組織やチームの何かしらインストールすることを価値の一つとしておいているので、そこを聞くようにしています。

・総合評価(足りない点を埋めるとしたら)

最後にいつも総合満足度を100点満点で聞いています。いわゆるNPSみたいなものですね。毎回満足度を聞いて、足りない点を埋めるとしたらどんな部分を改善したら良いかを聞いています。
過去最高点は120点、しかし忖度なしにフィードバックを伺っているので、過去一番低い点数は30点をつけられたクライアントもいます。ほぼクレームに近い内容だと思います。それも全て社内にオープンにしています。正直、厳しい意見をいただく事は非常に有り難く、そういったプロジェクトから学び今後の仕事の改善をしていくことが最も重要だと思っています。
ちなみに過去の満足度の平均点は82.52点でした。(80点を越えてて内心ホッとしていますw)

クライアントインタビューの副次的効果

このクライアントインタビューは、現状働いているメンバー達にとって、他のプロジェクトの進め方を参考参考にできる部分もあれば、改めて顧客が感じている価値に気付けるというのもメリットです。様々な事業の顧客の声に触れれるので非常にパターン認知が捗ります。

あとは、良かったのは中途で入社してきたメンバー達が、このインタビューを見ることで、グッドパッチでうまくいったプロジェクト、課題の会ったプロジェクトを見て、プロジェクトの進め方やクライアントとのコミュニケーションの仕方を学ぶ良い材料になります。新入社員のオンボーディングにも役立つというのは最初はそこまで想像していませんでした。

経営者は顧客視点が薄れていく

これは常々思っていることですが、経営者は会社が成長すると現場の顧客の顔がどんどん見えなくなっていきます。どんな経営者も最初は現場の顧客課題に近いところにいて、自ら顧客課題の解決に向けたサービスやソリューションの改善を推進し、陣頭指揮を取っていたはずです。

しかし、会社が大きくなると経営会議に顧客やユーザーニーズの話題が出づらくなっていきます。組織の課題、事業計画、ファイナンス、様々な経営イシューが経営者には降りかかります。経営者は顧客に近い現場の課題は基本的に下のメンバーに任せることになり、結果として、経営会議には顧客の話があまり出てこなくなります。

顧客のニーズは常に変わらないという事はありません。普遍ニーズはあれど、時代が変わるとユーザーニーズも基本変化します。そうなると、経営者は昔の顧客像とニーズからアップデートができず、いつの間にか変わっていくユーザーニーズを捉えきれず、どんどん顧客課題がズレて行ってしまうということが起こり得ます。これはかなりあるあるだと思っています。

やはり、経営者こそ現場の顧客課題の解像度を高く保つために、顧客との対話の機会を持ち続ける事が重要だと思います。

やはり答えは常に顧客の声に触れれる現場の前線にあるものだと思います。

会社が大きくなっても、クライアントインタビューをやり続けれる経営者はなかなかいないからこそ、僕はやり続けたいなと思っています。

余談ですが、顧客ニーズの変化を現場で一番最初に感じ取り、経営にエスカレーションするべきなのはデザイナーであって欲しいとも思います。経営会議にデザイン領域の役員であるCDO、CXOを入れる意味は経営会議に顧客のニーズの変化などのイシューを上程することにあると僕は思います。

経営イシューとして顧客価値の議論がデザイナー主導で行われる様になっていくと良いですね。そのためにはデザイナー自身が他の経営課題にも意見を持てるように知識をアップデートしないといけないですが。経営の議論に正面から入っていけるデザイナーを日本に増やしたいですね。

グッドパッチは企業のデザインパートナーとして、忖度せずに経営課題に切り込んでいきますので、ぜひご相談ください!

最近作ったサービスサイトはこちらから
https://design-partnership.goodpatch.com/

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Goodpatchに入社する人材は美大・芸大出身に限らず、総合大学出身、営業、事業開発、コンサルなど多岐に渡ります。 私たちのバリュー「Go beyond」を体現する、多様なデザイナーたちを紹介するムービー

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Naofumi Tsuchiya / Goodpatch
記事を読んでいただきありがとうございます!これからも頑張ります!