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ある受刑囚の手記8

ある受刑囚の手記1
ある受刑囚の手記7

前にも書いた通り、したいとなったら交渉も同意もあったものでなく、すぐ始まるのが受刑者たちの交尾だ。

たまたま目に留まったとか、体臭が気に入ったとか、始めるきっかけなどどうでも良かった。
場所など当然選ばない。
思いがけないところで突然犯されたことも一度や二度ではない。

人間たちからは忘れ去られたような廃屋をのぞいては、まず屋外であることが多い。
道端や公園の片隅などならマシな方だ。
商店街のゴミ置き場にもぐりこんで食餌を物色しているところを襲われたことも少なくない。
こちらはゴミ袋を食い破って頭を突っ込んでいるところだから、背後に注意は向かないし嗅覚もやられてしまうからまずその瞬間まで気付かない。

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