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監督の愛人2
セクハラ監督に反抗して逆に生け贄にされてしまった元キャプテン、后野《きみの》アリサの物語。
エロより屈辱分濃いめ(と思う)。
特定のスポーツをおとしめたくはないので、監督や競技の名前は伏せていきます。
しっかりしろ、アリサ。
自分に言い聞かせながら、運動部職員用宿舎までを歩いた。
私たちの選手寮と同じ敷地内の建物だ。
ほんの目と鼻の先の道のりの間に何度同じことを口にしただろう。
「ファイトぉ!」
それでも怯みそうになる気持ちに渇を入れるため、ひとりで円陣の真似事をまでした。
以前は監督は私たちと同じ寮内で寝起きしていた。
もともとあの男の実績のお陰で新築がなったようなものだ。
昨年の私たちの「反乱」まで誰も疑問にも思わず、問題視もされなかったというのだから、つくづくふざけている。
玄関の脇の喫煙コーナーで、ふたりの男性が立ち話をしていた。
一方は私も授業を受けている国語科教師だ。
こんな時間に女子が訪ねてきたというのに、いぶかしむ様子もなく、「ああ」と納得顔だ。
軽く会釈だけをして通りすぎる。
どちらかの短い、吐き捨てるような笑いが聞こえた気がした。
一々気にしても仕方のないことだ。
ふりかえりたくなるのをこらえ、階段へ急ぐ。
監督の部屋は三階、一番奥。
もう目をつぶってもドアの前まで行けるくらいになっている自分に腹が立つ。
この世で一番大嫌いな男の私室。
その男に抱かれるために、ドアをノックする。
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