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#57【往復書簡⑬】映画から芋づる式にあれやこれや考える日々

きゅーちゃんへ

なんか急に寒くなってきたね。風邪ひいてませんか?
ママは2年間飲み続けている養命酒が効いているのか、最近はあまり体調を崩すこともなく元気にしています。

8月に「違国日記」を見てから、しばらく映画は見ていなかったのだけれど、最近は立て続けに見ています。
きゅーちゃんが「アマプラでやってるよ」って教えてくれた「あんのこと」を家で見て、次の日に「ナミビアの砂漠」をシネコヤで一緒に見て、シネコヤでチラシを見た「あなたのおみとり」を横浜シネマリンで見て、ナミビアのときに予告を見た「ぼくのお日さま」をまたシネコヤに見に行って……という感じ。
本はコンスタントに読んでいるけど(1ページも読まない日ってないかも。)、映画って別にしばらく見なくても平気で、だけど見ると自分の中の何かが刺激されるのか続けて見にいくことが多いです。

「あなたのおみとり」は、ママにとってとてもタイムリーな映画でした。映画を見てパンフレットを買うなんて何年ぶりだろう?
おばあちゃんが100歳になったこと、自分が死んだあとの手続きに必要な情報(銀行口座や保険、サブスクなど)をアプリにまとめて、家族と共有できるように準備を始めたこと、友人から頼まれて海洋散骨について調べていたことなどもあって、介護や死んだあとのことばかり考えていたので、知りたかったことがやってきた!という映画だったなぁ。

映画の中でお父さんの死が近づいたことが分かったとき、お母さんが椅子を運んできてベッドの脇に座って歌を歌うシーンがありました。お父さんは元小学校の先生で、お母さんも児童福祉施設に勤めていたことがあって、だから童謡を歌って聞かせるの。
人は亡くなるときに、耳は最後まで聞こえるらしいから、じゃあわたしが最期に歌ってほしい歌はなんだろうと思って考えてみたら「にじ」だなぁと。庭のシャベルが〜🎵ってやつ。あれをきゅーちゃんに歌ってほしいので、ぜひ3番まで覚えておいてほしいです。

「あんのこと」を見たあとは依存症のことが気になり、「酒をやめられない文学研究者とタバコをやめられない精神科医が本気で語り明かした依存症の話」という長いタイトルの本を読みました。

あんのお母さんに何があれば、娘を売春させるような人にならなくて済んだんだろう、と考えて読んだ本です。
本の中に「依存症というモンスターの好物は秘密と孤立。そして、人生において最悪なことはひどい目に遭うことではない。一人で苦しむこと。」と書いてあったの。どん底から何とか這いあがろうとしたあんと、堕ちていくだけのお母さんの違いはここだなって。
映画見たあとにきゅーちゃんとしゃべったけど、父親の影が全くない、なくてもストーリーの上では不自然ではないっていうのが、今の日本を象徴しているよね。映画のレビューを見ても、母親がクズすぎる、毒親っていう言葉が並ぶけど、父親のことってあんまり触れられてなくて、透明人間みたい。

さてさて、来週は舞鶴!きゅーちゃんと行くADDress旅も3回目だね。
ママのペンパルがそっち方面に住んでいるので、おすすめの場所など聞いています。
ペンパルってもはや死語?日本郵便が発行している「レターパーク」っていう情報誌があって、そこで見つけた文通相手です。昔は個人情報という概念がなかったから、個人の住所や名前を載せて文通相手を募集してたけど、今考えるとすごい時代だったよね。
10年以上続いた人もいたけれど、みんな今頃どうしてるんだろうと思います。
それにしても封書の切手代が110円ってまだまだ慣れない!60円とか80円で送れた時代(ママが小学生、中学生だったころ)が、人生でいちばん手紙を書いていた時期だったなぁ。自分がものすごく「昔の人」になってしまった気分です。

では、またね。

ママより

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