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それは、10年前から始まっていた

新婚旅行は、フィジーだった。

いまから、10年前。はじめて泊まる水上ヴィラ。毎日演出されるロマンチックな夜、二人で過ごす穏やかな時間。

結婚式から夢のようなひとときに、気持ちは高ぶり、結婚生活最高じゃーん!と心の中で叫んだ。

興奮状態で夢心地の私は普段の己を忘れて、夫に言ったもんだ。

「10年後も、また来たいね」

しかし、旅を終え日常にもどり、現実はどうでしょう。ほどなく妊娠し、ツラいつわり、切迫流産からの入院。絶対安静の日々が続き外にさえ出られない妊娠期。生まれてきた子供は、かけがえのない宝物だが、慣れない育児で、うっかりすればうつになりそうな精神状態。

そして、震災が起こり、さらに不安を抱えながらの子育て。その後に続く流産、次の妊娠、出産。

暗黒期到来。

化粧もせず、髪の毛ボサボサで、からだのあちこちは痛み、SNS に載せるかわいい子供の写真と裏腹に、私の心とカラダはボロボロだった。

そんな中でも旅は続けていた。海外も国内も。

二人の子供のダブルオムツ時代の海外は、スーツケースの半分がオムツだった。子供中心に活動する旅は、独身時代のそれとは違い、制限だらけ。楽しいはずの旅行さえも、本気で楽しめない。泣けた。旅を楽しめない神経質な自分に嫌気がさした。

やっと光が見えてきたのが、第二子が3歳になる頃。子供たちが言葉を理解し自分で歩き、自分で食べ、自分でトイレに行くようになってから。

覚えているのは、ハワイのカイルアエリア、家族とドライブ中。ふとした3歳の息子が放った言葉に家族みんなで笑った。
「あー、家族との旅って最高」そう思った。

笑い合える家族と過ごす非日常の時間。やっと私自身が楽しめる旅ができるようになってきた。

そして、今年結婚10年。二人きりでフィジーの水上ヴィラの実現は難しいということは、早々に気づいていたけれど、やっぱりどこかに旅に出たい。
「10周年の旅に出よう」

一年前から、しつこいくらいに言い続けた。

そんなこんなで、いろんな縁もあり、夫婦二人で決めた行き先は大好きな東南アジア。

台風もなんとか逃れ、一安心。

メモのつもりがこんなに長い文章に。。

とにもかくにも「いってきます」。

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