スペシャルティコーヒーとはどんなものなのか?

こんにちは!
コーヒーライフパートナーとのNaoです。

今回の記事では、前回も少しお話ししたスペシャルティコーヒーについてより深く
お話しできたらなと思います。

ぜひ最後までお読みいただけると嬉しいです。


では早速、始めていきますね。


グレードの違い

まずコーヒーにはそれぞれグレードというものがあります。
これは決められた規格によって呼び名が変わるということ。

以下の図を見てください。

コーヒーピラミッドとも言われます。

上の図を見ると、コーヒーがピラミッド状に4つに分かれているのがわかります。

コーヒーピラミッドとも言われるこの三角形は、まさにコーヒーのグレードの違いを端的に表したものなのです。

ではその4つのグレードについて簡単に説明してみましょう。

まず一番上、三角形の頂点にあるのがスペシャルティコーヒーです。

のちに説明しますが、COE(カップオブエクセレンス)という国際基準により80点以上のスコアを取った高品質なコーヒー豆がスペシャルティコーヒーと一般的に呼ばれます。

流通量は市場の5%と言われています。

続いてその下にあるのがプレミアムコーヒーと呼ばれるものです。

キリマンジャロやブルーマウンテン、マンデリン、モカ、コナコーヒー、ブラジルなど皆さんが一度は聞いたことのある名前がある産地の豆がここに当てはまります。

喫茶店などで出されるコーヒーの多くがこのプレミアムコーヒーだと思います。

そしてさらにその下にあるのが、コモディティコーヒーと呼ばれるものです。

前回「スペシャルティコーヒーとの違い」という記事の中でも書きましたが、
もっとも流通量が多く、消費量も多いのがコモディティコーヒーです。

安価なのが特徴で、量販店などでは様々なタイプが売られています。

そして最後に三角形の一番下にあるのがローグレードコーヒーです。

ローグレードコーヒーは、缶コーヒーなどに使用される豆のことを指します。
ローグレードという名前の通り高い基準を満たしていなくてもコーヒー豆を名乗ることができます。

このようにコーヒー豆はグレードによって上から下まで様々な品質と流通量、価格帯に分類されます。

そのなかでもトップに位置するのがまさに、今回のテーマであるスペシャルティコーヒーなのです。


普段みなさんが飲んでいるコーヒーは、その多くがコモディティコーヒーかプレミアムコーヒーだと思います。
通常スペシャルティコーヒーというのはスペシャルティコーヒー専門店でしか買うことも飲むこともできません。

ぜひこれをきっかけとして、コーヒーを買ったり飲んだりする選択肢のなかにスペシャルティコーヒーを入れてみてください。

きっとコーヒーに対して抱いていた世界観が変わるのではと思います。


スペシャルティコーヒーが生まれるきっかけ

ここからは、スペシャルティコーヒーが誕生するきっかけや経緯の話をしていきたいと思います。

コーヒーが一般的に飲まれるようになったのは17世紀頃と言われています。
その後、世界的にコーヒーブームが起こりコーヒーを楽しむ人たちが増えるとともに大量生産大量消費の作物となりました。
一気に豊かになると思われたのもつかの間、コーヒーの価値は暴落し、生産者も苦しい経営のなか、質より量を求める時代が長く続ことになるのです。

しかしそのような状況を危惧した人たちがいました。
「コーヒー生産者を守り、コーヒーの品質を上げていくことが、消費者のためにもなりコーヒーの未来をつくる」という意識のもと、アメリカで1982年にスペシャルティコーヒー協会(SCAA=Specialty Coffee Asociation of America)が設立されました。
SCAAは、品質を大切にし、優れたコーヒーには適正な価格をつけ、安定した生産を実現させるために生産者に還元することを目的として掲げています。

さらに日本では2003年に、日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ=Specialty Coffee Asociation of Japan)が設立され、今現在まで日本におけるスペシャルティコーヒーの普及に努めています。

こうした協会が生まれたおかげで、スペシャルティコーヒーが享受できるメリットは大いに増えました。

最大のポイントは、「コーヒー生産者を守り、コーヒーの品質を上げていくことが、消費者のためにも生産者のためにもなりコーヒーの豊かな未来をつくる」ということ。

これがスペシャルティコーヒーにおいてとても重要な点なのです。


スペシャルティコーヒーの定義と特徴

スペシャルティコーヒーには、SCAJが定義している基準というものがあります。

以下に列記してみます。

  1. 消費者の手に持つカップの中のコーヒーの風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。

  2. 際立つ印象的な風味特性があること。

  3. 爽やかな明るい酸味特性があること。

  4. 持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。

  5. コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していること。(from seed to cup)

  6. 生産国においての栽培管理、収穫、生産処理、選別そして品質管理が適正になされ、欠点豆の混入が極めて少ない生豆であること。

  7. 適切な輸送と保管により、劣化のない状態で焙煎されて、欠点豆の混入が見られない焙煎豆であること。

  8. サステナビリティとトレイサビリティがあること。


以上8項目が、SCAJが定義しているスペシャルティコーヒーの基準です。
これをクリアしていなければスペシャルティコーヒーと認められることはありません。

大きく分けると2点が重要なんですね。
1つは「消費者が美味しいと評価するコーヒー」であること。
2つ目として、栽培から流通までの工程における妥協のない管理がされていること。

これらの要素はスペシャルティコーヒーにおいて大変重要なものであり定義とされています。


スコア

スペシャルティコーヒーの最大の特徴はその品質です。
美味しさの判断は個人の嗜好にもよる部分もありますが、公平公正に評価するためにSCAAでは以下の10個の評価項目を設け点数/スコアをつけています。

これを覚えておくと、よりスペシャルティコーヒーが美味しく感じられるはずです。

  1. アロマ(香りの質)

  2. フレーバー(風味)

  3. アフターテイスト(口の中の余韻)

  4. アシディティ(酸味の質)

  5. スウィートネス(甘さ)

  6. ボディ(口当たりと広がり)

  7. バランス(フレーバー・アシディティ・ボディのバランス)

  8. クリーンカップ(欠点や雑味のなさ)

  9. ユニフォーミティ(サンプルの質の一貫性)

  10. オーバーオール(総合評価)

各項目の配点は10点。そして100点満点中80点を超えるものだけが晴れてスペシャルティコーヒーと認められます。

ところで、項目の中に「Acid(酸味)」があるのに気づきましたか?
コーヒーの品質を評価するのに「Acid(酸味)」は重要なポイントです。
ここでいう酸味とは「酸っぱさ」のことではなく「酸の質・心地よさ」を評価しています。
他にもアフターテイストと呼ばれる余韻はどのような質で長さを伴うか、雑味のないコーヒーであるかなど、10項目でコーヒーの美味しさや美しさを総合的に評価していきます。

「酸味のあるコーヒーは苦手」という声は非常によく聞く言葉です。
確かに酸っぱいコーヒーって飲みにくいですよね。
特に品質のあまり高くないコーヒーの中には、未熟なまま収穫された豆や欠点豆が含まれているなどの理由で、冷めてくると雑味と共により強く酸っぱさが表れてくるものも多いので、「酸味」に苦手意識のある方が多いのかもしれません。
しかしコーヒー豆はもともとはコーヒーチェリーという「果実」ということを忘れてはいけません。
美味しいコーヒーが持つフルーツのような心地よい酸味は、コーヒー豆が持つ本来の「味」です。こう考えると、酸味のイメージが変わってくるのではないでしょうか?

事実、スペシャルティコーヒーにとって酸味は大きな要素と言えます。
品があり、華やかで、鼻をスーッと抜けるような酸味が感じられるとコーヒーはとても美味しく感じられることも確かです。


多様な味の表現

これは前回の記事でもご紹介した部分でもありますが、あらためて説明をしますと、スペシャルティコーヒーの味の表現には、Aroma、Flavor、Acidity、Sweetness、Bodyなどのなかでも特にFlavorが重要な意味を持ってきます。

スペシャルティコーヒーでは、味をとても細かく表現します。
フローラル、ハーブ、キャラメル、ミルクチョコレート、ナッツ、オレンジ、
グレープフルーツ、ベリー、レーズン、レモンティー、ピーチなど本当に様々な表現があります。

また、これらのうち1つだけで表現されることはあまりなく、大抵が3種類以上のフレーバーで表現されたりします。
それだけスペシャルティコーヒーは複雑な(コンプレックスな)味わいが魅力であり特性であると言えます。


トレーサビリティー

スペシャルティコーヒーにおいてトレーサビリティ(追跡可能性)は需要なキーワードです。
どこで誰が作ったのか、また場合によってはコーヒーチェリーの収穫日までわかるものも中にはあります。
産地と品種や精製方法は味わいに大きく影響します。
同じ国でも、これらの要素が変わると異なる味わいが現れるのは、ロット分けが管理されたスペシャルティコーヒーならではのコーヒーの面白さ。
少々マニアックですが、一期一会の楽しみもあります。

スペシャルティコーヒー専門店の多くは、可能な限り生産地や農園を訪れ、生産の現場を視察し買い付けを行っていることがほとんどです。
そのため、扱っているコーヒー豆には「生産国・生産地域」「農園名/精製所名」「品種」「精製方法」「生産地域の標高」が必ず記載されています。
この点も、高品質なスペシャルティコーヒーならではと言えるでしょう。


COEと価格

スペシャルティコーヒーでは品質のため、赤く熟したコーヒーチェリーだけを一粒ずつ手で摘み取り、収穫したチェリーからさらに比重選別やハンドピックで欠点のある豆を取り除く工程があります。
チェリーの熟度に関係なく機械で一気に実を落としていく方法と比べ、効率、収穫できる量は全く変わってきます。
生産者のたゆまぬ手間や労力が味に現れたスペシャルティコーヒーの価格は高いですが、当然と言えるでしょう。

さて、スペシャルティコーヒーを語る上で外せないキーワードがCOE、カップオブエクセレンスです。カップオブエクセレンスは国際的なコーヒーの品評会として有名で、COEは生産国ごとに開催されていますが、世界でも有数のコーヒー生産国であるエチオピアでは2020年に初めて行われました。
その際1位に輝いたNegussie Gemeda MudeさんのコーヒーはCOE基準のスコアで91.04を獲得。1ポンドあたり185ドルの落札価格が付きました。なんと100gあたり4425円です!ここまで高価なコーヒーは日常的に飲めるようなものではありませんが、コーヒー体験としては気になるところです。

それまでコモディティコーヒーとして最低限の対価しか得られていなかった生産者たちも、COEのように適切に評価してもらえる機会を得てはじめて自分たちが作っているコーヒーの本当の価値を知ったという例もあります。まとまった収入は継続的な高品質のコーヒー栽培に役立てられることでしょう。

「美味しいコーヒーを生産すればスペシャルティコーヒーとして高く売れる→高く売れたらより生活やコーヒーの品質を向上させるための資金投資ができる→継続して美味しいコーヒーができる」という好循環が生まれます。
これはスペシャルティコーヒー専門店のすべてが理想とする道であり、コーヒーに関わるたくさんの人々の日々のたゆまぬ努力により実現されているという事実です。

私もコーヒーライフパートナーとして、なるべくコーヒーを飲むときはスペシャルティコーヒーを選ぶようにしていますし、そうしたお店との関係性をより強めていくことを目指しています。

ぜひ皆さんにもぜひ「スペシャルティコーヒー」を選んでほしいと思います。

風味豊かで、健全で、サスティナブル(持続可能)なその一杯が、未来の美味しいコーヒーを育てます。

また、スペシャルティコーヒー専門店でCOE入賞カップであったり、COEで高得点を獲得したものと出会った際はぜひそちらを購入してみるのもいいと思います。


以上が、スペシャルティコーヒーについての説明になります。
最後までお読みいただきありがとうございました(^^)

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