コモディティコーヒーから見る、「スペシャルティコーヒー」との明確な違い
こんにちは!
コーヒーライフパートナーのNaoです。
今回は、皆さんには少し耳慣れない言葉かもしれませんが、「コモディティコーヒー」と「スペシャルティコーヒー」という二つを比較することで見えてくるコーヒーの豊かな世界観をお伝えしたく、記事を書くことにしました。
よければ最後までお付き合いください。
では早速始めていきましょう。
まず記事タイトルにもあるコモディティコーヒーとは何か。
コモディティ(=日用品)コーヒーとは、スーパーなどの量販店で見かける、一般的に安価で流通しているコーヒー豆のことで、商品先物取引によって価格が決められ売買されるコーヒーのことを指します。
別名「コマーシャルコーヒー」とも呼ばれます。
商品名に”本格派”や”こだわりの”などの言葉がついているものってありますよね。しかし、日本国内で流通しているコーヒーのほとんどがコモディティコーヒーと言っていいと思います。
主に広告収入で収益を得ていることや機械による大量生産が可能なことなどにより安い価格で販売することが可能となっています。
コマーシャルコーヒーという名前がついているのはそのためです。
コモディティコーヒーは流通の50%を占めており、国内で最も消費量が多いコーヒーです。
インスタントコーヒーやスティックタイプのコーヒーなど粉末をお湯に溶かして飲むタイプのコーヒーがこれに当たりますね。
それに対して、スペシャルティコーヒーとはどのようなもののことを言うのでしょう?
まずコモディティコーヒーと明らかに異なる点は、市場の5%しか出回らない希少価値の高く高品質な豆である点。
必然的に消費される量も少なくなります。
ですがファンが多いのは、その品質の高さと独特のフレーバーにあります。
多様な味の表現
スペシャルティコーヒーの最大の特徴として、「多様な味の表現」というものがあります。
コーヒーといえば「苦いもの」とイメージする人は多いはず。
スーパーなどでコーヒー豆(粉)を買う場合には、パッケージに書かれている苦味や酸味、コクなどの情報を元に選ぶことが普通だと思います。
しかしスペシャルティコーヒーでは、味をとても細かく表現します。
味わいのチャートとして参考になるのが、こちらの”フレーバーホイール”という円グラフ。中心には「フルーティー」や「スウィート」などの大まかな分類があり、それぞれが外側にいくにつれ細分化されていきます。
例えば中心に近い「フルーティ」という項目は「ベリー」→「ラズベリー」「ストロベリー」などとより具体的な表現になっていきます。
コーヒーには柑橘系でもレモンのような爽やかな酸味を持つもの、オレンジのような甘さを含んだ酸味を感じるものなど多岐に渡ります。
スペシャルティコーヒーの持つ複雑な味わいを表現するには、このグラフは参考になりますし、自分の味覚の経験から自由に想起してみるのもいいかもしれませんね。
こうした点を理解できると、味のフレーバーの特性を舌で感じる機会が増え、ますますスペシャルティコーヒーが好きになるはずです。
トレーサビリティー(追跡可能性)
スペシャルティコーヒーにおいてトレーサビリティ(追跡可能性)は重要なキーワードです。
どこで誰が作ったのか、また場合によってはコーヒーチェリーの収穫日までわかるものもあります。
産地と品種や精製方法はコーヒーの味わいに大きく影響を与えます。
同じ国でも、これらの要素が変わると異なる味わいが現れるのは、ロット分けが管理されたスペシャルティコーヒーならではのコーヒーの面白さと言えるでしょう。そこには一期一会の楽しみもあります。
一方で、大量に流通させるためにいろいろな地域や農園のものをまとめて、国ごとの規格で銘柄にしているコモディティコーヒーの場合は国までは特定されますが、農園や精製方法までは追跡できません(大手の自社農園はまた違ってきます)。
しかしながら、「トレーサビリティのないコモディティコーヒー=低品質」とも一概には言い切れません。
大量収穫した豆に厳しい選別を施さないことで、良くも悪くも低価格と安定した供給を続けることができるのは特筆できる点です。
価格
スペシャルティコーヒーでは品質維持のために、赤く熟したコーヒーチェリーだけを一粒ずつ手で摘み取り、収穫したチェリーからさらに比重選別やハンドピックで欠点のある豆を取り除く工程があります。
チェリーの熟度に関係なく機械で一気に実を落としていく方法とは効率、収穫できる量は全く変わってきます。
生産者のたゆまぬ手間や労力が味に表れるスペシャルティコーヒーの価格は高いですが、当然と言えるでしょう。
国際的なコーヒーの品評会として有名なのがカップオブエクセレンス(COE)です。COEは生産国ごとに開催されていますが、世界でも有数のコーヒー生産国であるエチオピアでは2020年に初めて行われました。
それまでコモディティコーヒーとして最低限の対価しか得られていなかった生産者たちも、COEのように適切に評価してもらえる機会を得てはじめて自分たちが作っているコーヒーの本当の価値を知ったという例もあります。
まとまった収入は継続的な高品質のコーヒー栽培に役立てられるにちがいありません。
コモディティコーヒーの価格はニューヨークの先物取引によって決められます。栽培にかかるコストを無視した価格付けにより、2001年には1ポンド=40セントまで大暴落。2011年には1ポンド=3ドル程度にまで上がりますが、市場価格は大きく変動し、2021年5月現在では1.5ドル程度で推移しています。
そして、スペシャルティになり得る素晴らしい品質でありながらも適切に価値を付けられず、低品質の豆と混ぜられて安く買い叩かれているという現実も無きにしも非ずなのです。
ポテンシャルがあっても市場価格に左右され経営破綻を余儀なくされるコーヒー生産者も少なくありません。
美味しいコーヒーを生産すればスペシャルティコーヒーとして高く売れる→高く売れたらより生活やコーヒーの品質を向上させるための資金投資ができる→継続して美味しいコーヒーができる、という好循環が生まれます。
これこそがスペシャルティコーヒーの存在意義であり、スペシャルティコーヒーの生産・販売を目指すコーヒー企業が増えていく理由です。
美味しいコーヒーは「搾取」した先ではなく「享受」した先にある。
そう強く感じます。
さいごに。
「コモディティコーヒー」と「スペシャルティコーヒー」を比較してこれまで見てきましたが、どちらも生産者が時間と手間をかけて育てた大切な「作品」であることに変わりはありません。
それでもコーヒーが飲みたいと思ったときには、ぜひ「スペシャルティコーヒー」を選んでほしいと思います。
その選択一つが、これから先、豊かな未来のコーヒー文化を育ててくれるからです。
風味豊かで、健全かつ公平で、サスティナブルなその一杯が、未来の美味しいコーヒーへとつながります。
誰かの明日を良いものにするために。
私たち一人一人の選択が、よい未来を作ります。
もちろん、コモディティコーヒーが完全に悪というわけではないので、ライフスタイルに合わせて楽しんでくださいね(^^)
大事なのは日本に住んでいるだけでこれだけ豊富な選択肢に恵まれているということです。
どうぞ、これからも素敵なコーヒーライフを。