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【スキルアップの秘密】ゲームが教える、成功への点と点の結びつき
前回の記事では、「スキルの掛け算」を活用してあなたのキャリアを大きく伸ばす方法をご紹介しました。とはいえ、「本当にスキルを掛け合わせればうまくいくの?」「途中で挫折したらどうしよう……」と不安に思う方も多いかもしれません。
実は私自身、かつて壮大に空回りしてしまった経験があります。しかし今では、その“空回り”がかけがえのない財産だったと胸を張って言えるのです。今回はそんな失敗談も糧にしつつ、お伝えしたいと思います。
メインスキルを軸に、補完スキルを組み合わせる
まずは「スキルの掛け算」の基本を改めておさらいしておきましょう。あなたがすでに持っているメインスキルは、まさにキャリアの“軸”です。この軸をしっかり定めたうえで、周辺領域の知識やスキルを補完的に学んでいくことで、一気に可能性が広がります。
もう少し具体例を考えてみましょう。
ゲームで考えてみた。
メインジョブを育成する
RPGを始めるとき、最初に「戦士」「魔法使い」「盗賊」など自分のメインとなるジョブを選びますよね。ここがあなたの「メインスキル」にあたります。
戦士なら、剣や斧の扱いに長けている
魔法使いなら、火や氷などの魔法攻撃が得意
盗賊なら、素早さや潜入、罠解除などを得意とする
まずはメインジョブをコツコツ育てることで、得意分野が明確になり、他のプレイヤーからは「戦闘ではこの人を前衛に!」「魔法攻撃は任せよう!」といった形で頼りにされるようになります。
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サブジョブやサブスキルを掛け合わせる
RPGによっては、メインジョブのほかにサブジョブを設定できたり、異なる系統のスキルを学んだりすることが可能です。転職、コンバージョンとか言われますが、転職後も前のスキルを引き継げる場合が多いと思います。
戦士 × 魔法使い=魔法剣士:剣や斧などの物理攻撃をメインとしながら、火・氷・雷などの魔法を剣に付与したり、遠距離魔法を使って攻撃する戦闘スタイル。
魔法使い×僧侶=賢者:攻撃魔法と防御魔法を身につけた万能型
このように、メインジョブの特性を活かしながら“別の強み”を組み合わせると、他のプレイヤーとの差別化が図れたり、より幅広い状況に対応できたりします。
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ゲームの話ばかりしてすみません…もう少し現実的な例でお伝えします。
クリエイターの具体例
例1:イラストレーター × デジタルマーケティング
あなたがすでにイラストを描く技術を持っているとします。それに加えて、SNS運用やデジタルマーケティングの知識を学ぶと、自分の作品を効果的にブランディングし、発信できるようになります。
ファンの獲得はもちろん、企業からの仕事を得る際にも「ビジネスに貢献できるクリエイター」として大きな強みになるでしょう。
そして、こういった知識は会社の中だけではなく、個人で仕事を受注することにも大きく役立ちます。つまり、副業の幅も大きく広がるわけです。
例2:動画クリエイター × データ解析
もう一つだけ別の事例を考えてみましょう。動画編集や撮影技術をベースに、YouTubeやSNSのアクセス解析、SEOといった知識を取り入れることで、視聴者の反応を数値的に把握しながらコンテンツを最適化できます。
いわゆる「クリエイティブ×データ」の組み合わせです。これも視聴回数やエンゲージメント率を着実に伸ばす強力な武器となるのです。例えば自分でコンテンツを作成して配信、そしてそれをどう伸ばしていくかという戦略を取ることができるでしょう。
Connecting the dots(点と点をつなぐ)
このように、一見わかりやすそうな「メインスキル × 補完スキル」の公式ですが、実際はそう簡単ではありません。「せっかく新しいスキルを身につけたのに活かせなかった」「掛け合わせたはずなのに成果が出ない」など、想定外の壁にぶつかることも少なくないでしょう。
そんなとき思い出したいのが、スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で語った「点と点をつなぐ」という考え方です。ジョブズは、大学で何気なく学んだカリグラフィ(書体)の知識が、のちにMacの美しいフォントや字間調整機能につながったと語っています。
演説内容に興味あるひとはこちらに詳細があります。
いずれにせよ、学び始めた当時はまったく予期していなかった学びが、10年後に突然活き始めたのです。まさに「いつ、どこで点がつながるかはわからない」──これこそが「スキルの掛け算」の本質ではないでしょうか。
「失敗しても無駄じゃない」と断言できる理由
実は私には苦い経験があります。PCインフラのスキルにAIの知識を掛け合わせようと、数年かけてAIを勉強し、資格を取り続けていた時期があったのです。一部、業務に活かすこともできましたが、その勤め先では私の試みをほぼ理解してもらえませんでした。
「意味が分からない」
「時間の無駄」
「なんか、面倒くさい人になったね」
と煙たがれることも……
絶対に役立つスキルだと思っていたのですが、周りがその価値を理解できない場合、それはただの「情報」でしかないのかもしれません。しかし、正直、あのころはかなり落ち込みましたね。
ところが今では、当時、習得したAIのスキルがとても役に立っています。先日、あるIT機器の販売会社のコンサルティングを行ったのですが、このPCインフラ×AIスキルという視点が大いに役立っています。「やっぱり点と点はつながるんだ!」と実感できた瞬間でした。ジョブズの言うとおり、学んだ知識がいつ、どこで花開くかは本当にわからないものです。
学んだことは、いつか必ず役に立つ
「スキルの掛け算」が思いどおりのタイミングで成果を出してくれるとは限りません。むしろ、遠回りや失敗だと感じることもあるでしょう。そして、なにより周りの理解がないと辛いものです。
それでも、そこで得た知識や経験は決して無駄にはなりません。時間はかかっても、点と点はいつかつながるからです。
私の新著は、まさにそんな実体験をもとに執筆しました。PCの販売・メンテナンススキルをベースに、AIの知識を組み合わせた内容となっています。それがなんと本日、2025年2月22日に発売となります。「PCやAIを学んでみたい」「スキルの掛け算に興味がある」という方は、ぜひ手に取ってみてください。(kindleunlimitedにも登録しています。登録済みの方は無料で読めます。少々宣伝めいてしまいましたが、ご容赦ください……)
終わりに
最後にお伝えしたいのは、「新しいことを学び続けるのをやめないでほしい」ということです。
たとえ小さなスキルでも、将来どこかで大きな力を発揮する“重要な点”につながるかもしれません。私自身も今後も学びを続け、さらなる掛け算を探求していきます。あなたもぜひ、チャレンジをやめずに進み続けてください。いつかその努力が思わぬ形で花開くことを願っています。