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観たり、聴いたり、のまとめ

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深く心にのこった音楽、映画、などを徒然に。
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異次元と共鳴する10月、奇才・鬼才音楽に浸る (その2)

この前ポストのつづき。 10月、秋。欧米ではいにしえの万霊節にちなんだハロウィン、インドでは光が闇に打ち勝つ収穫祭、ディワリが祝われる。そして今年は10月と11月にふたつの月が天上にあるらしいという異様さ。そんな奇妙な月には、鬼才たちが紡ぎ出した音楽をちょっと。下、10人の鬼才・奇才を集めてみた。 [ポーランド] その6、ハニア・ラニ。ポーランドのショパン音楽学院で学び、モダン音楽を選んだ鬼才ピアニスト、作曲家。このビデオでは、シェシェン戦火を逃れた移民家族のようすが子供

異次元と共鳴する10月、奇才・鬼才音楽に浸る (その1)

10月、秋。欧米ではいにしえの万霊節にちなんだハロウィン、インドでは光が闇に打ち勝つ収穫祭、ディワリが祝われる。そして今年は10月と11月にふたつの月が天上にあるらしいという異様さ。そんな奇妙な月には、鬼才たちが紡ぎ出した音楽をちょっと。下、10人の鬼才・奇才を集めてみた。 [独/中]その1、ユジャ・ワン。北京出身のユジャ・ワンは、驚愕の技術と表現力で個性的かつシュールな選曲を自在に演奏する鬼才。また、難曲だけでなく、ネオクラシックにも斬新な解釈をもたらす。ドイツ・グラモフ

ダラダラ学べる映画鑑賞の秋

秋がやってきて、やっと涼しくなった。暑かった夏の喧騒も落ち着いて、少しホッとしている。今年は仕事が忙しく、別部署の研究に取り組んでいて自分の時間が全然持てなかった(ポストも今年前半は無理だった)。しかしながら、最近やっとプロジェクトが半分完了したことで少し余裕ができた。 さて、やっと一息ついたところで、芸術や読書の秋にしようかとも思ったけれど、やっぱりちょっとでも暇ができると、つい受け身になってカウチポテトをしたくなるのが人情。しかも、家にいても子育てで疲れる。やっぱり、怠

哀愁の英系ポップ懐メロ(80〜90年代)

以前のポストの続きで、「ほんとうに心に響く音楽」。今回は、80年代・90年代の英系・ポップ懐メロ編。 音楽は、とてもタイム・カプセルのよう。昔よく聴いていた音楽をちょっと聴くだけで、その頃の記憶が蘇る。 90年代に、家族とともに、ポスト・サッチャー時代の英国に移住したとき、あの国は、なんとなくすすけていた。当時の首相は、ジョン・メージャー氏。このインディー系・ポップグループ Bronski Beat クリップにでてくる街並みと雰囲気、電車、すべてがその当時のすすけた様子を

弾き手、ではなく聴き手

前回のポストの続き、だったりする。本当に「心に響く音楽」とはどういう演奏だろう、と思いをめぐらしてみた。自分が演奏することはまず考えない。孤島に一生残される羽目になり、一つだけ持参できれば、どの音楽を選ぶだろうか、という質問。 やはり、私にとっては、バッハ (J.S. Bach) だろう。 上のリンクは、音楽史上最高レベルの傑作だと讃えられている「マタイ受難曲」のアリア、「神よ憐れみたまえ」だ。数あるビデオから選ばせていただいた。このバージョンは、「映像の詩人」と呼ばれ、

ほんとうに心に響くピアノ演奏とは

続行中の心理セラピーがついに、「ピアノ・ネタ」に行き着いた。 ピアノ、か・・・。70年、80年代に子供時代を過ごした日本の方々には分かってもらえると思う・・・。あの時代には、5歳、4歳くらいからピアノを習う羽目になった人たちも多かった。我が家では、私が習い始めたのは5歳半くらい、だった。 なぜ、「我が家」という単位なのかというと、私の意思で始めたわけではなかったから。すべて、当時の「親の期待」によるものだった。当時のトレンドでも、「ちいさな女の子だったら、ピアノだね!」と

英BBC発信:「とある日本人夫婦」とお互いの「境界線」、について

50代になってからとても忘れっぽくなった。心理セラピーを続けていても、セラピストと話した内容や、「これだ」と感嘆したことさえ忘れてしまうことがある。お恥ずかしい限り。また、何かに記しておいても、紙切れをなくしてしまうか、どこに置いたかわからなくなる。その上、私のブラウザーのブックマークさえカオスの世界だったりする。というわけで、自分にとって大事なことは記事に書いておくことに。 今回は、心理セラピーにまつわるネタで、最近見て考えさせられたリンクを貼っておくことにした。 まず

トラウマ:「規律と勤勉」重視、プロイセン式教育の原点をドイツ映画で観る

トラウマについて、書いておきたいことがいくつかある。 まずは、下のクリップを観ていただきたい。ドイツ語だが、口調と重苦しい雰囲気だけでもほとんど伝わる。とりあえずは、このポストの下に意訳を書いておく。それより、子供達の表情に注目していただきたい。 これは、厳格なプロイセン時代を舞台にしたドイツ映画「白いリボン」(2009年)のシーンだ。この映画は、第一次世界大戦勃発とともに終結し、後味がとても悪い。奇才ミヒャエル・ハネケ監督の反ファシズム・メッセージがひしひしと伝わってく