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3.デンマーク教育視察レポート|森のようちえん
2022年8月13日〜22日に、北欧のデンマークとフィンランドの2カ国に、教育視察(概要のnote記事はこちら)に訪れました。
子連れなら子連れなりの学びもあるのではないかと思い、思い切って2歳の息子を連れて行ってきました。
自然の中での遊びが子どもの非認知能力を育むなど、幼児教育でたびたび取り上げられている森のようちえん。
実際にはどのような過ごし方をし、その保育、遊びを支えるために大人はどのような関わりをしているのか。
視察で訪れた森のようちえんの情報をシェアします。
「森のようちえん」
森のようちえんとは、野外での自然体験活動を軸とした子育て・保育、乳児・幼少期教育の総称です。
森のようちえんについては様々な本が出ています。
自然の中での保育や幼児教育で、非認知能力が育まれるという言説がありますが、なぜでしょうか。
自然の中では天候の変化を含め様々なことが起こります。子どもたちはそんな自然の中で起きる出来事に反応し、
「これはなんだろう?」
「なにが起きているんだろう?」
「なぜ起きるんだろう?」
「どうしたらいいんだろう?」
「こうやってみたらどうかな?」
「こんな結果になった。次はこんな風にしてみたらどうかな?」
と、探索的に問いと試行を繰り返します。
そんな活動を通じて、コミュニケーション力や創造性や問題解決能力など多の特性が育まれると考えられています。
視察先の森のようちえんでの保育
視察先の森のようちえん
私たちは、森のようちえん「SKOVBO」(https://www.sskovbo.dk/)を訪れ、実際の森での遊びの様子を見学し、校長先生にお話を伺いました。
”ようちえん”とありますが、こちらのようちえんでは3歳児未満の子もサポートしていて一緒に森に出かけていました。
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晴れでも雨でも雪でも様々な天候の中、外で過ごしているようで、朝から近くの森に出かけてお昼過ぎまで遊び、お昼寝も外ですることがしばしばあると聞きました。
自然遊びと発達について
SKOVBOでは、自然というフィールドの中で遊ぶという経験が、こどもの発達・成長を促すという考え方に立っていました。
・自然は子供と子どものグループが成長する学習環境の 1 つと考えている。
・自然の中で過ごすことによって、様々な状況に対処したり、そこから遊びを作り出したりすることができる。
・遊ぶことは、学習、教育、個人としての発達、社会的な面での発達の基本。
・遊びによって子ども自身のイニシアチブや学びが生み出されると同時に子どもたちの言語、創造性、社会的スキル、共感力の発達に役立つと考えている。
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森のようちえんの教育スタッフの役割
SKOVBOのウェブサイトではこのように説明されていました。
教育スタッフ(大人と表現されています)はそれぞれの子供の幸せと発達をサポートすることを目的に学習環境を開発する役割を負っている
森のようちえんのスタッフは、自然というフィールドの中で子どもたちの学びを支援する上で、どのようなことに力点を置いてをサポートしているのでしょうか。
①学習環境における子どもとの関係性を構築する
1つ目に、子どもたちとの関係性についてです。
土台となる関係性の重要性、関係を構築するためのあり方について語られています。
・子供の発達のための重要な前提条件は、教育スタッフとの関係性。
・すべての子供が、ありのままの姿で見られ、聞かれ、尊重されていると感じられる関係性を築くことを大切にしている。
・大人は、子供の強み、リソース、幸福、そして子供が自分のペースで成長できることに焦点を当てている。
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②遊びの機会を開発する
2つ目に、子どもたちが自然のフィールドの中で”遊ぶ”機会をつくることです。
遊具やおもちゃに慣れ親しんでいると、自然の中でどう遊ぶかわからない子もいる聞いたことがありますが、
自然というフィールドの中で遊びを作り、安全にともに遊ぶ経験ができるようサポートしているのですね。
・大人は遊びのインスピレーションを与えるとともに、開発者であり、フレーマーとしての役割を果たす。
(インタビューの中では近隣の鹿から子ども達を守るためのその日の遊びのルールを決めた例などが紹介されました)
・大人も子どもと一緒になって遊ぶ。
・子供たちに遊び方を教えたり、自分で遊びを始められない子供たちのために遊びを始めたり、共同ゲームを企画する。
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③学びのファシリテーションを行う
3つ目に、自然や遊びの中から子ども達の学びを引き出すことです。
子ども達の目の前の興味関心、経験を深める機会を、様々な形で意図的に取り入れいるんですね。
・子どもたちは、その瞬間に興味を持っていることに突き動かされる学習の創造者と捉え、その学びが促進されるようにファシリテートする。
・子供たちの驚きや疑問に耳を傾けること、子どもの興味を掘り下げることを意識する。
・この注意が、子供たちが具体的な経験を積み、自然の新しい部分を探求し、人間と自然とのつながりについて「もっと学びたい!」という学習意欲を引き出すことに役立つ。
・昼食時には子どもも大人も少人数のグループに分かれ、そこで子供たちと話し、子供たちの話を聞き、未解決の問題についての対話をしている。
・大人は、子どもたちに挑戦し、会話に参加するよう促し、時にはあえて自分の意見を表明する。
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まとめと考察
学びのフィールドとして”自然”という環境を使い、学びを支援するということは、”自然の中に野放しで遊ばせること”ではないのだなとあらためて思いました。
ワークショップで学んだプログラムのデザインとファシリテーションという視点から見たら、自然遊びは、自然という環境特性上プログラムデザインの要素は弱い。
だからこそ、自然という環境そのものよりも、そこから目の前で起きている一人ひとりの子ども達の反応に寄り添い、それらを題材に一緒になって学びを生み出していく即興的かつ能動的な問いかけが、子ども達の成長を支える重要なファクターになっていると感じました。