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一目惚れ。
高校を卒業して、専門学校へ入学した私。
都会の生活にも慣れてきて、友達のユウミとおしゃれな飲食店に入ってみようと、店を探していた。
駅前にある、一際オシャレな飲食店。店内にはステージがあり、Stevie WonderやBoyz II Menを黒人歌手が歌っていた。
田舎から出てきた私たちには、まだ敷居が高い気がするその飲食店。外から店内が見えるので、ガラス越しに覗いてみると、オシャレな店内は勿論、店員もみんな垢抜けていた。
白のブラウスに黒ネクタイ、黒の腰エプロンの制服。その中で1人、その制服に黒のベストを着用した男性。スラッと細身で高身長、黒髪を立たせたベッカムヘア(当時流行ってた笑)。
なんだか目が離せない。
この店に決めた私たち。
席を案内されて、ドリンクとフードを注文。キョロキョロしてると、さっきのベッカムが現れた。
「いらっしゃいませ、初めてのご来店ですか?」
業務的な会話だけど、表情と声のトーンに親しみがあった。ベッカムは、見るからに自信に満ち溢れていて、人慣れもしていた。アッサリした顔立ちの都会的な大人な男性。
そう、この男性(通称ベッカム)。私は初めての一目惚れをした。
当時私は18歳。恋をしたと自覚してからの行動は早く積極的だった笑
飲食店は2階建で、1階はステージを見ながらの飲食するフロア、2階はショットバーがあった。ショットバーのお兄さんはとても気さくで、私は1人でも通えるほど親しくなった。
私は、ベッカムに好意がある事を打ち明けていたので、お兄さんはベッカム情報を横流ししてくれてた笑
【ベッカム情報】
・21歳。
・身長176cmくらい。
・体重59kgくらい。
・彼女と別れたばかりらしい。
・大学生で歌の仕事(結婚式で歌ったり)もしている。
・アカペラグループを組んでいてメインボーカル。テレビに出たこともある。
・何よりモテる笑
ベッカムも、私の好意には気づいていた。お兄さんから聞いていたのかもしれないし、何より私の好き好き光線は漏れていた。
ショットバーに遊びに来るたび、ベッカムは私に声をかけに来てくれた。
敬語もいつのまにかタメ口になり、確実に距離が縮んでると実感していた私。
今考えると、本当に単純…笑
通うこと1ヶ月くらい。お兄さんからの紹介で、ショットバーで働くことになった私。こんなオシャレな店でバイトできて、何よりベッカムともっと仲良くなれる!と舞い上がっていた。
楽しいことしか想像していなかった私。
この先起こる出来事、想像してなかったなぁ笑
つづく