離婚もオンライン
デンマークでの気づきの1つに、結婚の制度や価値観の違いがある。
デンマークの離婚率は45%近くあり、日本よりも高い。
その要因の1つとして、オンライン離婚が可能なこともあげられるのではないか。
約7千円払ってクリックするだけで、1週間以内に離婚が成立する。
養育費など支払う必要がある場合は、区に支払い、区から振り込まれる。
この制度側のシステムも人間のデリケートな部分をうまく支えてくれていると思う。
「男女の社会的地位がイコールになっている上に、変化が大きい社会で、お互いにとって無理に結婚生活を送る必要がなくなってきているのではないか」
とデンマークの友人は言っていた。
再婚率も高いと思うが、お互いに子どもがいる場合にも、結婚せずにパートナーとして生涯をともにするカップルも珍しくない。
子どもがある程度の年齢になっていれば、1週間ごとにそれぞれの両親の元で暮らすのが、なんとなく一般的とのこと。
今週はお母さんの家、来週はお父さんの家…と子どもが家を行き来する。
そして自然とどちらかの家族の家に、もう片方の今の家族が呼ばれて大きな誕生日パーティーなどもする。
何よりも子どもが優先されているから、親たちは連携するのがごく自然なことなのだ。
単純なことなのだけれども、制度から一家族の中のルールまで、どうやったらうまくいくのかを「対話」し、皆にとっての最善を日々考え作り上げている。
そうした国民性は歴史、風土、政治等が絡み合っているので一概に比較はできないが、異なる文化を様々な角度から観察すると、なぜそうなっているのかが見えてくる。
「ただ一つ言えることは、離婚はとても悲しいものだし、二度としたくない」
と、話を聞いた友人は呟いていた。
尚工藝 代表・宮田尚幸
シルバー新報 2020年(令和2年) 12月11日(金曜日)発刊号より
なにかのヒントになっていたら幸いです。