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インフルエンザ

自分の身体を知る

健常者と障がいを持つ生徒が共に暮らして学ぶ、エグモントホイスコーレに入学して3カ月が経った頃、インフルエンザのような症状に見舞われた。デンマークでは住民になるとイエローカードと呼ばれる保険証のようなものをもらえ、外国人も医療費は無料になる。

2日目には我慢できなくなり、先生に「病院に行きたい」と相談すると、衝撃的な答えが返ってきた。「デンマークでは、そんな風邪は1週間寝てくださいと追い帰されるだけだよ。」

これが医療費無料の国の代償?熱は上がるし身体中が痛いのに…。だが郷に入れば郷に従えかとも思い、とにかくひたすら「寝る」ことに。

すると4日目には熱も引き、6日もするとほぼいつも通りの体調に戻っていた。「治った…!」。この時、心から自分の治癒力に感動。早めの対応が良かったこともあるかもしれないが、これまでいかに自分の身体を信じていなかったのかと反省した。

のちにこのエピソードを他のデンマーク人に話してみたが、やはり皆が大笑い。「日本ではインフルエンザはそんなに大きな病気なのか」「強い薬を飲んでいたら、必要な時に効かなくなるんじゃないの?」。

薬を否定しているわけじゃない。体調が悪かったら会社でも学校でもしっかり休む。それが当たり前のことなのだ。

ランニングやエクササイズ、ヨガや瞑想、寒中水泳、アウトドアなどを楽しむ人が多い。それも常に身体の状態を知り、自分というものと向き合っているということなのだろう。インフルエンザにかかったことで、こんなにも新しい視点に気づけたことに感謝。

でももうかかりたくはないが。

(尚工藝代表・宮田尚幸)

シルバー新報 2019年(令和元年) 12月13日(金曜日)発刊号より

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