14日間の旅 – デンマークから南アフリカへ −
言葉がなくても、通じ合おうとする姿勢
○南アフリカを選択
エグモントホイスコーレは、17歳半以上であれば誰でも入学できる北欧独自の全寮制の教育機関(フォルケホイスコーレ)の1つである。障害を持った学生と持っていない学生が共に生活をして、どうやったら壁がなく人は生きられるのかを身をもって学ぶのが特徴である。そこに在学中の期末に修学旅行があり、私は南アフリカを選択。他にはイスラエルやフランス、イタリア、日本などいくつか選択肢があった。修学旅行は14日間。とても長いと思ったが、後日知ったのは、人間は日常から離れるのに7日を要し、また日常に戻るのに同じくらい時間を要する生き物らしく、14日間という設定にも意味があるのだと改めて思った。
○肉を食べるときは飼っている動物を捌いて食べる
そんな旅の途中で訪れた、スワジランド(現エスワティニ王国)で数世帯が住んでいる集落を訪れた時のこと。その日には私たちが来るということで料理の準備をしてくれていたのだが、皆が驚いた貴重な経験は、彼らの鶏を私たちに捌かせてくれたことだ。彼らはほぼ自給自足なので、肉を食べるときは飼っている動物を捌いて食べる。自分たちが食べるものを自ら育て、調理して食べる。お客が来たらさらにもてなす。そんな当たり前のことに衝撃を受けた。そして、そこにいる人皆が幸せそうに暮らしていること、私たちに温かさと興味を持って接してくれること。そして自分たちも温かさを持って接すること――。
○異なる文化の国に、異なる文化の国の人たちと旅をする
そうすれば、たとえ言葉が通じなくとも、コミュニケーションなんて取れること。修学旅行のメンバーには目と耳に障害のある人もいたので、その人の手を握りながら手話で伝える(触手話)人もいる。異なる文化の国に、異なる文化の国の人たちと旅をする経験は、何か計り知れない気づきを得た気がする。
尚工藝/風と地と木 合同会社 代表・宮田尚幸
シルバー新報 2021年(令和3年) 8月6日(金曜日)発刊号より
なにかのヒントになっていたら幸いです。