"Take Two"に、現実性(リアリティ)を超える真正性(オーセンティシティ)、というBTSの現在地を見る
Take Two。
"第二章"、そしてARMY/BTSでTwo。
花様年華を彷彿とさせるジャキジャキとしたギターの音に懐かさがあり、同時に空を浮遊しているような神秘的な雰囲気が前面に出てた曲でした。
なんかこの、Take Twoの、どこか地に足がつかないような、でも言いたいことを真っ直ぐ目を見て伝えてくれるような感じが、今の彼らの最大限のメッセージであるように思います。ジンくんの"The Astronaut"7人版に近い(個人的な意見です)。
というのも、
この前の記事でも少し述べた、
『時間や空間を共に過ごす現実性(リアリティ)がなくても、彼らと作り上げた真正性(オーセンティシティ)がそのまま価値を発揮し続けている』
そんなBTSの現在地を改めて感じたからです。
ファンは、応援している相手の尊さや自分たちに向けてくれる気持ちが、嘘や偽でない真実である信じたいものです。恋愛もそう。いろんな理由を寄せ集めて、これは最後の恋だとか、運命の相手とか永遠の愛だとかいいたい。
その真実の求め方って多分2つあって。
1つめの真実、"リアリティ"は、コナンくんの決め台詞のアレに近い概念。物理的に証明できる真実。嘘とか偽とか虚構ではないということ。だから、私たちファンにとって、彼らが配信するブイラ(Wラか)で"リアルタイムで編集なしの発言する・繋がりを持ってくれる" ことは、1つの真実の担保の方法だったと思います。アリバイがあるって感じ。逆にちょうど去年はそれが見えない時期があり、隠されているだろう真実を求めてやきもきする、しんどい思いもありました。
一方、リアリティと違ってオーセンティシティは、"どこを切っても同じ答え"である金太郎飴のような真実、と私は見ています。Take Twoの中にある"魂の積集合"という言葉にめちゃくちゃ近い。隠された事実ではなく、自明すぎる真実。
今のBTSとARMYの関係性は物理的には現実味のない信頼関係とか繋がり、約束によって作られていて、現実感のない概念的なもの。その不安と関係性への強い思いが、Will you stay? Will you go?という歌詞にも表れています。でもきっと、どこを切っても、どう切っても、感謝と愛が出てきてしまう。呆れるほど、だばだばと。それが、きっと逃げも隠れもしないBTSのオーセンティシティであり、彼ら(とARMY)が10年かけてたどり着いた真実なのではないかと感じました。
↓の動画だって、もう彼らのバカ彼氏、いやスーパーダーリン略してスパダリ感がすごかったもんな。見えない関係性を、シンプルに形にしようという無邪気な思いを感じてほっこりした。(あとこのジンくん、LINEにデフォルトではいってるRJスタンプかよって思った。)
新規なりにBTSのこの10年の歩みを追いかけてみると、リアルな豊かさ(ベップセとかGo Goとか)を皮肉りつつ、"揺るぎないリアリティとしての真実"、例えばヒットチャート1位とか、そういうモノを求めて邁進するという微妙に矛盾した側面を合わせ持っていたようにも思います。
その中で、あのウェンブリーの大合唱もあって、Boy with Luvで改めて"ARMYとのオーセンティックな真実"にフォーカスオンするよと宣言し、ここまでやってきた。リアルな繋がりが見えづらくなったここ数年は、"世界をとる"というリアリティで心を一つにしてもくれていましたね。現実=たった1つの正解(グラミーかな)なので、それはある意味叶わないという結果に終わったし、賛否両論もあったと思います。
そして今、Yeah we never felt so right?と、結局どこをどう切っても僕たちは真実だったんだよ、と全開のオーセンティシティを私たちに届けてくれている。まあそんなに単純なストーリーではないと思うんですけど、私はそんな風に受け止めました。
それが、砂漠、クジラ…と過去の歌詞を拾っていく構図にバチバチに表現されていて。現実味がない信頼関係に基づいてメッセージを発信しているからこそ、"Young Forever"という物理的にはあり得ないことも言い切れちゃう。そんな素敵な世界観です。作詞はナムさんとホビなのかな?やはりクサズはロマンチストでスパダリだわ…!
そして、テイク2ってって"チャプター2"でなく"撮り直し"って意味の方が一般的にすんなりくると思うんですよね。なので、もう一回原点回帰で歩んでいこうよというニュアンスをも感じてしまいました。なんならもっかいやり直してみる?くらいの軽い気持ちなのか、来世でも一緒だよみたいな感じなのか。花様年華×ループはビールと枝豆くらい定番でARMYの大好物ですが、これ以上やるとジンくんさすがに疲れちゃうぞ。
時間と空間という現実的なリアリティを超えてBTSが見せてくれたオーセンティシティ。
敢えて未来に関する約束を一切行うことなく、Can’t you see the take two?とただただ繋がりを確かめる問いかけを投げかける彼らの思いを、しっかり受け止めたいなと思ったのでした。