過去分詞の怪
過去分詞は本当に謎が多い。
そう思いませんか?
今日は、過去分詞が使われる受動態に焦点を当てて、文法的特徴に触れながら過去分詞の怪を謎解いてみたいと思います。
次の例文を見てみてください。
The window is broken.
「窓は壊れている」
まずこの文の【文法的特徴】を説明します。
①brokenは、break「壊す、壊れる」の過去分詞。
②be動詞のisと、過去分詞のbrokenで受動態が作られる。
◇◇ 受動態は、受け身で使われることが多いが、必ずしも日本語訳で「〜される」となるわけではなく、あくまで『主語が、される側の立場である』ことを表す。
さて、この文The window is broken.ですが、意味は「窓は壊れている」です。
窓ガラスが割れているのか、枠が歪んでしまって開閉しにくいのか、とにかく正常に機能していない様を表しています。
よく、学校の英語の授業では、「窓は勝手に壊れるものではなく、故意か事故かはさておき、誰かの手によって壊されるものだから、受動態になる」と説明されることが多いと思います。
僕も以前はそう説明していました。
その説明が、一番シンプルでわかりやすいと思っていたからです。
ですが、よく考えてください。
窓が自然に壊れることだってありますよね?
木枠の老朽化や金具部分の錆びなどによって、自然に壊れることもあります。
これを、「受動的」と解するのは無理ではないですが、納得できる解と言えるでしょうか。
言葉である以上、できればしっくりしておきたいと思いませんか?
過去分詞は、【受動】だけでなく、【完了】の意味もあります。
haveと過去分詞とで、現在完了が作られますが、この場合の過去分詞は【完了】としての役割を果たしていると言えます。
例)I have finished my work. 「私は仕事を終えてしまったよ」
【完了】。つまり、「すでにことは済んでいる」ということ。
これを先ほどの窓が壊れている状況に当てはめればいいのです。
The window is broken.
理由はどうであれ、窓は壊れてしまっている状態ということになります。
意図的に誰かに壊されていようが、事故で枠が歪んだのであろうが、はたまた老朽化で動かなくなったのであろうが、「窓が壊れている」という事象は、すでに済んでしまったことで、今はとりあえず正常に動かないんです、ということを表しています。
つまり、この場合の受動態は、【受動】と解するのではなく、【完了】と解した方が自然であると言えます。
いかがでしょうか?
過去分詞の理解は進みましたか?
もう少し過去分詞を深めるために、過去時制の状況も考えていきましょう。
過去時制とは、動詞を過去形に変えることで過去の出来事を表す方法です。
The window is broken. の文は、
現在形isを過去形wasに変えることで、過去形が完成します。
The window was broken.
となります。
では、この文はどのような意味になるでしょうか。
現在形:The window is broken.
の意味は「窓は壊れている」です。
過去形:The window was broken.
の意味は「窓は壊れていた」となりますね。
しかし、この「窓は壊れていた」という日本語、実は半分正解で、半分不正解です。
もし、学校のテストで
という問題が出された場合、2つの解答例が考えられることになります。
The window was broken. の意味をとるとき、過去分詞の2つの役割【受動】と【完了】に分けて考える必要があるのです。
【受動】のとき
The window was broken.
「窓は、壊されました。」
この文は、(誰かを明示するかどうかは別として)誰かによって壊されたことを表します。勝手にガラガラと音を立てて崩れたのではなく、あくまて「壊された」という受け身的に影響を受けたことを表しているということになります。
【完了】のとき
The window was broken.
「窓は、壊れていました」
これは、次のような文脈が考えられます。
「私が部屋に入ると、その部屋の窓は既に壊れていました。」
つまり、「いつの時点でかはわからないけど、私が見たときには、既に壊れていました」と解釈することができます。
事件現場みたいですね。
以上をまとめると、
1.The window is broken.
「窓は壊れています」
2.The window was broken.
①「窓は壊されました」
②「窓は壊れていました」
過去分詞って、奥深いですね。
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