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変わらないね、きみは。

「10年前と、ちっとも変わらないね、きみは」

そう言った彼の真意はよくわからない。「10年前と変わらずにキレイだね」というお世辞として言ってくれたのか、はたまた「10年経っても進歩がないね」という皮肉だったのか。

女性なら、変わらないね、と言われれば嬉しいのだろうか。わたしは、じつはあんまり嬉しくない。だって、10年前、いや5年前、いやいや3年前と比べたって、明らかにキレイではなくなっている。過ぎ去った時間に比例して、若さは失われてしまった。ハリとかツヤとか、そういうものももろともに。

でも、「進歩がない」という意味なら、そこそこ当たっているという自覚がある。当然、そっちは褒め言葉ではない。だから、嬉しくない。

もちろん、変わったところもある。とくに仕事については、我ながらがんばってここまで来たと思っているし。(技術や実績ではまだまだだという事実は置いておき)

でも、変わらないところだってある。たくさんある。それを、10年前と比べて明らかに変わった人に言われると、言葉に詰まってしまう。まぁ、彼だって、変わってないところはたくさんあるのだろうけど。

べつに無理して変わらなくたっていいと思っている。でも、わたしは本当の本当は、変わりたいんじゃないのかな。だから、「変わらないね」にトゲを感じてしまうんだ。「変わったね」と言われたいから。

変わりたいと思った人間しか、変わることはできない。

それは、これまで生きてきたなかで、イヤというほどに学んだ。変わりたいと思っても、そう簡単でないことも、知っている。

それでも変わりたいなら、今のままではダメなんだ。「でも」「だって」は禁句。変わりたい、変わるんだ。そう思った人間から、飛び立っていけるのだから。

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