2次試験の各事例の特徴について
中小企業診断士の2次筆記試験は、どれも事例企業の状況や市場動向、経営者にヒアリングした内容が記載された「与件文」と、その与件文を基に総合診断書を作成するための道筋となる「設問文」をもとに、小論文を作成する形式となっております。
本記事では、私が受験生時代に考えていた各事例の特徴と、勉強会で他の受験生の方の答案を見比べていく中で感じた得点につながるポイントについてご紹介します。
事例1の特徴
解答文章に直接使える与件文や設問文内の根拠・キーワードが少ないため、与件文や設問文からの必要となる知識・フレームワーク・理論を推定し、1次知識での補完が必要となります。
また、「社長の思いに寄り添うこと」と、いかに「従業員のやる気を高める」ことへの方向性を意識した解答を作ることが、大切なテーマとなっています。
★加点ポイント
・企業の経営課題が、SWOT分析に基づくものであるか。
・企業の経営課題が、続く人事・組織提案の施策につながっているか。
・各設問間の繋がりを意識して、解答全体で診断書としての体裁が整っているか。
事例2の特徴
事例2はマーケティングがテーマのジレであるため、施策提案のアイディアが色々と浮かびやすいのですが、これにより多くの受験生が失敗してしまいます。
思いついたアイディアに走ってしまうために、事例企業や出題者の意図から外れた解答を書いてしまいがちです。
施策提案には必ず与件にある材料(社内資源や地域連携など)を用いた、ベタで地味とも言えるような施策に抑えるよう心がけることが大切です。
★加点ポイント
・4P(製品、価格、チャネル、宣伝)や「誰に・何を・どのように」、「売上=客単価✖︎客数」などのロジックを意識し、きちんと明記した解答作成を心がけること。
→事例2の施策提案はとても熱が入りやすく、「この施策なら絶対儲かる!」という提案が思い浮かんでしまいやすいのですが、採点のポイントは「提案書としての文章が整っているか」「ロジックに則った文章で、社長を説得する能力があるか」という点ですので、「理由→提案」や「提案→効果」というロジックの繋がりを崩さぬよう意識してください。
*くれぐれも自分の悦に入った解答にならないように、ご注意ください。
事例3の特徴
解答に使えるキーワードが与件文全体にあふれているため、それらを整理して十分に・もれのない文章にまとめることが大変です(^^;;
★加点ポイント
・SWOT分析の内容は、必ず最終問題(新事業提案)に生かすことを心がける。
・長文を書く場合は、「施策・理由・効果」などを多面的に広く書くことで、施策提案の説得性を高める
事例4の特徴
点数配分に置いて、序盤の経営指標のウェイトが高いと言われています。
また、取り扱う財務・会計の知識は、主に「経営指標分析」、「NPV分析」、「損益分岐計算」、「CF計算」に集約されると言われています。
★加点ポイント
・経営指標を選ぶ際は、「収益性」「効率性」「安全性」の3つの視点をなるべく盛り込む
・経営指標から示される課題・問題点は、なるべく与件文に書かれた事象を引用する(数値だけでのコメントは、点数が低いと言われています)
・得点が上がらない理由の多くは、「難しい問題がとけない」よりも、
「計算ミスによる事故」がかなり多い。
→難しい問題を解けるように練習するよりも、ミスをしないことを意識して練習することのほうが、合格につながります。
あくまで、私の個人的な考えによるものですので、ご参考程度に参照頂けますと幸いです。
ではでは。