2次試験対策における「切り口」についてのご紹介
本日は、2次試験対策において重要なテーマ、「切り口(=フレームムワーク)」についてご紹介します
切り口(=フレームムワーク)の役割について
その役割としては、「与件文や自分の頭の中からキーワードを拾ってくる際、MECE(もれなく、ダブりなく)に取り出すための枠組み」とでもいいましょうか。
このことは、中小企業診断士やコンサルタントとして重要な「多面的視点」での考えや、分析・助言に「説得力」を持たせるためにとても有効なツールです。
切り口の実践
以下のような設問について考えてみます。
平成24年 事例1 第1問(20点)
A社のような中小企業が近年、海外での事業活動に積極的に取り組むようになっている。A社のような企業の場合、どのような外部環境の変化が海外進出を促していると考えられるか。
その要因を2つあげ、それぞれ40字以内で簡潔に述べよ。
この設問の題意は、「A社のような企業が海外進出を促されている、外部環境の変化の要因について述べよ」です。
こうした場合は「外部環境分析」を行うことが必要ですので、1次試験で培った知識(以下、1次知識)から使えそうな切り口を思い出します。
例えば以下のようなものが上がってくると思います。
PEST・・・Politics:政治、Economic:経済、Social:社会、Technology:技術
5フォース・・・自社、競合、買い手、売り手、代替品
3C・・・(自社)、他社、顧客
これらをもとに、与件文や1次知識から解答として使えそうなキーワードを拾い集めてきます。
例として、市場分析(=外部分析)の切り口となります「PEST」「5フォース」を用いてキーワードを抽出してみます。
政治: 経済特区
経済:東南アジアの経済発展、国内市場低迷
社会:ビジネスインフラ整備
技術:–
競合、他社:–
買い手、顧客:海外生産体制を強化、金銭的補助
売り手:–
代替品:–
切り口を利用する際のポイントとして、「切り口はなるべくたくさん候補をあげる一方で、必ずすべてを項目を埋めることにこだわる必要はない」ということです。
切り口をたくさんあげる目的には、「たくさん枠がある」ということで、そこに「何か埋めたい」という心理が働き、与件からのキーワードの抜き出しや1次知識を当てはめる意識がわいてくることにあります。
ただし、全ての項目を埋めることにこだわると、無駄に時間を割いてしまいますので、あくまで「切り口=キーワードをなるべく多く見つけるための手段」程度に抑えておいてください。
こうして抜き出したり、拾い集めてきたキーワードを、因果でつなぎ合わせてロジカルに文章化することで、分析・助言解答が作成できるようになります。
切り口の集め方
さて、切り口の重要性は理解して頂けたかと思うのですが、次に来るのは「どんな風にして切り口を覚えていけばいいの?」ということでしょう。
私が利用した手段としては、以下のようなものです。
1)同友館出版の「二次試験合格者の頭の中にあった全知識」を読む
2)受験校の模範解答や「ふぞろい」、AAS合格答案を参考に、切り口集を作る
3)勉強仲間との議論で出てきたものをメモする
とくに「全知識」は2次試験対策として切り口を集めるには最高のツールとなります。
内容については毎年多少の変化はありますが、どれか1冊あれば十分です。
他の切り口の収集方法として、常日頃からアンテナを広げておき、気になったものはノートなり単語帳にメモして取り出せるよう工夫しておくとよいでしょう。
試験当日に反射的に思い出せるよう、通勤時間等の合間に見直して習慣づけておくとよいと思います。
参考に、私が利用した切り口を以下に挙げてみます。
*フレームワークの細かな使い方や、得点に結びつくポイントなどは、別途個別の記事でご紹介していきたいと思います。
汎用的なフレームワーク
1)ビジネスモデルキャンバス・・・パートナー、主要活動、リソース、価値提案、顧客関係、チャネル、顧客セグメント、コスト構造、収益の流れ
2)3C(自社、顧客、競合)
内部分析のフレームワーク
1)人・モノ・カネ・情報
2)誰に・何を・どのように・・・戦略解答の基本
3)組織変革の7S・・・ハード(Strategy、Structure、System)とソフト(Skill、Staff、Share Value、Style)
4)組織を構築する3要素・・・共通の目的、貢献意欲、コミュニケーション
5)VRIO・・・競争優位性(価値、希少性、模倣困難性、組織的体制)
茶化・・・採用、配置、報酬、育成、評価
6)ハーズバーグの二要因理論・・・内部動機づけ(達成、承認、仕事そのもの、責任、昇進、成長)と環境要因(給料、職場環境、労働条件、コミュニケーション、会社の方針)
7)シブコギノチケ・・・無形資源(信頼、ブランド、こだわり、技術、ノウハウ、知識、経験)
外部分析のフレームワーク
1)5フォース(売り手、買い手、新規参入、既存競合、代替品)
2)PEST(政治、経済、社会、技術)
3)サプライチェーンマネジメント・・・企画、調達、生産、営業、物流
4)セグメント分析・・・地理的(住居、職場)、人口統計的(性別、年齢)、心理的(ライフスタイル、朝・昼・夜)
事例1のフレームワーク
成果主義制度導入時の留意点・・・公平性、透明性、納得性
事例2のフレームワーク
1)売上=客単価×客数
2)客数=新規顧客+既存顧客
3)客単価=購買頻度×単品単価
4)利益=売上-コスト
5)4P(サービスは7P)
6)広告宣伝の4媒体(+1)・・・テレビ、ラジオ、チラシ、新聞、インターネット
7)広告宣伝手法:オンラインとオフライン
8)ユーザーエクスペリエンス・・・体験、感動、見学、5感を生かす(触れる、試食、見る、視聴、香り)
9)5W3H・・・What、Who、When、Whom、Why、How many、How much、How to
事例3のフレームワーク
1)QCD
2)DRINK・・・データベース、リアルタイム、一元管理、ネットワーク、共有
3)生産統制・・・現品、余力、進捗
4)ECRS(効率化の検討順序:除外、同時実行、削減、単純化)
事例4のフレームワーク
効率性、収益性、安全性
まとめ
切り口はあればあるほど使える場面が広がりますし、実務においてブレインストーミングをする際に役立つなど、いろんな場面で役立っていくと思います。
ぜひ、試験対策だけにとどまらず、いろいろな場面で使用できるよう、身につけていってください。
ではでは。